受験シーズンだ。そこで今回は「受験における正しい努力」ついて書いてみたい。以下の話は某予備校の方や、大学の先生に聞いた話をまとめたものだ。

ひとりでも多くの方に正しい方法を知ってから受験をしていただければ幸いである。

 

大学教授や多くの予備校の講師が言うように、受験はゲームである。

しかし、どのようなゲームかということは、中学生や高校生には殆ど知られていない。ゲームのルールを知らないままに参戦するのはとても不利だ。

 

まず、大前提として受験勉強は「記憶力」のゲームだ。

何を記憶すればよいかといえば、「問題とその解法」だ。要は定番の参考書に出てくる問題と解法全て覚えておけば、ほとんどの問題が解ける。

もちろん全部の問題が完全に解けるわけではないが、そんな問題は他の人も解けないから、無視して良い。

 

勘違いしやすいのは、受験は「思考力」を問われているわけではないという点だ。

思考力を問うなら、このゲームは憶えなければならないことを最小限にして、論理の積み上げや推論のみで回答を導く形にするはずだが、現在のルールはそうなっていない。

このゲームが最も重視しているのは「暗記」であり、それをやることが受験勉強だ。

 

「手元の情報から積み上げて解けるものは、憶えなくても良いのでは」と言う方もいるかもしれない。あるいは「考えれば解けることは、暗記しなくても良いのでは」という方もいるかもしれない。

それはもちろん正しい。

だが、試験は制限時間の決まっている戦いだ。

「考えなくても憶えている人」

「考えないとわからない人」

が戦ったなら、憶えている人が100%勝つ。九九は計算するより憶えたほうがはるかに早い。

だから憶えるのだ。考えているヒマはない。例えば数学なら「青チャート」と言われる定番の参考書の問題と解法を全部憶えれば、それで勉強はおしまいだ。

 

 

では、「覚えればいい」という単純な試験にどうやって勝つか。

それは次の式を見れば明らかだ。

 

成績=「記憶する能力」×「勉強に投入した時間」

 

つまり、量が決まっている中での戦いなのだから、試験ができない人は

「勉強にかけた時間が少ない」もしくは「記憶が苦手」

というだけのことである。

だから本質は「記憶力の改善」と「時間の使い方」にある。

 

 

それを踏まえた上での「受験における正しい努力の方法」は次の通り。

1.「なぜこうなっているのか」を理解することに時間を使わない。例えば、y=ax+1 に対してなぜ dy/dx=a なのかを知る必要はなく、単に公式を憶えてこうなることを知っていれば良い。

2.「点数の取れる知識」は繰り返し出てくるので、一回やっただけで覚えようとしない。よく知られている通り記憶に重要なのは反復である。

3.「教科書」からやらず「問題」からやる。目的は教科書を理解することではなく、問題と解法を記憶することだ。教科書はそのための補助にすぎない。

 

以上の3つだけを改善することでも、まちがいなく劇的に成績が変わる。

また受験は「時間」をつかって「暗記」をする作業であると最初からわかっていれば、割りきって取り組めるので気分も軽くなる。

 

 

ここまできて「単なる暗記かよ」という方もいるだろう。

だが受験というゲームが100%無駄であるかといえば、そんなことはない。

受験はメタ的視点から見ると、「自分を訓練する方法を、訓練されている」と考えることもできる。能力だけ高くても、訓練できなければ埋もれてしまう、というのは実社会と全く同じ構図だ。

 

「仕事ができる人」は、余計なところに時間をかけず、成果の上がる領域だけに努力を集中する。自分でゼロから考えず、過去の事例で学ぶ。

そう考えれば、受験も仕事も「正しく努力する方法」を知ることが、成果をあげる近道だといえる。

 

 

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安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
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(2025/6/2更新)

 

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(Bill Selak)