新卒採用の仕事をしていると様々な学生に会うが、優秀な学生の「起業したい」という割合が非常に増えたと思う。
私が学生だった頃は「起業」なんて夢のまた夢、というよりも選択肢すら存在していなかった。
就職活動ですらまだ就活サイトの黎明期であり、webエントリーなどと便利なものはなく、大量の履歴書を書いて、1社1社に送るという活動をしていたように記憶している。
選択肢が増えている、というのはそれだけ成熟した社会になったということなのだろうか。
話が逸れた。
だが「起業したい」という学生はこうも言っていた。
“「意識高い系」って言われることもあります。そう言うふうには言われたくないです”
そこでフト考える。
意識高い系と、本物のちがいはどこにあるのだろうか。「覚悟」なのか。「思い」なのか。しかしそういった言葉で表すのも何か陳腐だ。
実際「起業」というは非常に泥臭い活動で、それがかっこいい言葉で言われると、本当に伝えたい事が、伝わらない。
むしろ、起業については、私が昔ある経営者に教わったことが現実に近い気がする。
1.結果のみで判断される世界へようこそ。
起業はただ、「どれだけ稼いだか」という結果のみが問われる。プロセスは2の次、3の次。結果が出せない人は、見向きもされない。
特に起業そのものが目的となっているような場合は、「意識高い系」と言われるだけ。
2.仕事は自分で見つけなければならない
あたりまえだけど……。卒業研究すら指導教官の言うとおりにやっていた人には無理だ。
自分で何をすべきかを決め、自分で仕事を見つけて、お金をもらうこと。お金がもらえなければ、単なる遊び。暇つぶしにもならない。
3.大体、うまくいかない
現実的には、10年間存続できる会社は、1割のみ。(http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h18/H18_hakusyo/h18/html/i1220000.html)
均すと、毎年1割弱の会社が脱落していく。個人事業なら、もっと生き残れる可能性は低い。でも、サラリーマンなら、10年勤続は珍しくないし、それなりに出世する人は多い。
「路頭に迷っても別にいいよ」という人がやること。
4.独立しても、殆どの人は収入はさほどサラリーマンと変わらない。いや、むしろ低い。
起業家の殆どは、特にお金を持っているわけじゃないよ。(参考:http://www.seojapan.com/blog/founder-salary)
むしろサラリーマンより貧乏だよ。悪いことは言わないから、安定した大手、中堅企業でぼちぼちやれば?起業なんかしたら、一生お金持ちになれないよ。
5.成功は運に左右される。
みんな「努力」とか「能力」とか、「才能」っていうんだよね。でも実際私のまわりの成功者は多くの人が「なんで成功したのでうすか?」と聞くと「運が良かった」という。
それは謙遜ではなく事実だ。
成功者は知っているんだ。自分と同じ位努力して、能力もあり、機を見る目もあった経営者が脱落していったことを。
だから、彼は自分の成功は「運が良かった」としか言いようがない。能力の有無よりも遥かに大きなものが、成功と失敗を分かつ。それは、コントロールができないものだ。
コントロール出来ないものに、自分の人生を預けるかい?
6.特に自由なわけではない
サラリーマンは不自由で、起業家は自由、ということを言う人がいるが、とんでもない。起業家は不自由だよ。なにせ、仕事がなくなったらたちまち干上がってしまう。しかも、常に仕事がなくなる恐怖と戦い続けなければいけない。
それが自由だと思うか?
そして、その経営者は言った。
「 それでも良いなら、起業に踏み出すとよい。フリーランスでも、なんでもやればいいんだ。起業で得られるものは僅か。それが現実。」
私は聞いた。
「なにか、良いことはなかったんですか?」
彼は言った。
「そうだね…今日も生き延びてよかった、という感覚は得たかな。だれだったかな「生きてるだけで丸もうけ」って言った有名人がいるらしいじゃない。あれ、本当だよ。」
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第6回目のお知らせ。

<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>
第6回 地方創生×事業再生
再生現場のリアルから見えた、“経営企画”の本質とは【ご視聴方法】
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当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。
【今回のトーク概要】
- 0. オープニング(5分)
自己紹介とテーマ提示:「地方創生 × 事業再生」=「実行できる経営企画」 - 1. 事業再生の現場から(20分)
保育事業再生のリアル/行政交渉/人材難/資金繰り/制度整備の具体例 - 2. 地方創生と事業再生(10分)
再生支援は地方創生の基礎。経営の“仕組み”の欠如が疲弊を生む - 3. 一般論としての「経営企画」とは(5分)
経営戦略・KPI設計・IRなど中小企業とのギャップを解説 - 4. 中小企業における経営企画の翻訳(10分)
「当たり前を実行可能な形に翻訳する」方法論 - 5. 経営企画の三原則(5分)
数字を見える化/仕組みで回す/翻訳して実行する - 6. まとめ(5分)
経営企画は中小企業の“未来をつくる技術”
【ゲスト】
鍵政 達也(かぎまさ たつや)氏
ExePro Partner代表 経営コンサルタント
兵庫県神戸市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。3児の父。
高校三年生まで「理系」として過ごすも、自身の理系としての将来に魅力を感じなくなり、好きだった数学で受験が可能な経済学部に進学。大学生活では飲食業のアルバイトで「商売」の面白さに気付き調理師免許を取得するまでのめり込む。
卒業後、株式会社船井総合研究所にて中小企業の経営コンサルティング業務(メインクライアントは飲食業、保育サービス業など)に従事。日本全国への出張や上海子会社でのプロジェクトマネジメントなど1年で休みが数日という日々を過ごす。
株式会社日本総合研究所(三井住友FG)に転職し、スタートアップ支援、新規事業開発支援、業務改革支援、ビジネスデューデリジェンスなどの中堅~大企業向けコンサルティング業務に従事。
その後、事業承継・再生案件において保育所運営会社の代表取締役に就任し、事業再生を行う。賞与未払いの倒産寸前の状況から4年で売上2倍・黒字化を達成。
現在は、再建企業の取締役として経営企画業務を担当する傍ら、経営コンサルタント×経営者の経験を活かして、経営の「見える化」と「やるべきごとの言語化」と実行の伴走支援を行うコンサルタントとして活動している。
【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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(2025/7/14更新)
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