学生さんと話すと、面白い気付きがたくさんもらえる。
つい先日話題になったのは、OB訪問についての話だった。
「OB、OG訪問によく行くんです」
とその学生は言った。
「なぜですか?」と聞くと、
「もちろん、いい会社を探すためです。」と彼女は答えた。
「OB訪問で、いい会社かどうか、わかるんですね。」
「ある程度は分かります。会社説明会では、企業の人達はいいことしか言わないし、突っ込んだ質問がしにくいじゃないですか。」
「たしかにそうですね」
「ですよね、そうすると、実際の企業の姿は殆ど見えないんです。」
「そういうもんでしょうか。」
「とおもいます、実際、OB訪問をすると正直な人は「入社前とイメージが違った」って言う人もそれなりにいますよ。」
そうなのだろうか。
彼女は、私の心を見透かしたように言った。
「あ、でももちろんネガティブな意味で「違ってた」という人はその一部ですけど。」
「なるほど……そうかもしれませんね。」
「なので、わたしはできるだけ、OBの方々に「正確なところ」を教えてもらおうとしてます。」
「そういうのって、ちゃんと教えてもらえるものなんですか?」
「正直に言うと、よくわからない時もあります。私が勉強不足なのかもしれないですが。」
「どんな質問をするんですか?」
「あ、それなんですけど、わたしはお会いした方に、その方の「上司」について聞くんです。」
「上司?」
「そうです。上についている人って、どんな人ですか?って聞きます。社長じゃないかぎり、どんな人にも上司がいますから。」
「上司がどんな人なのかを聞くんですか?」
「という名目なんですが、実は「この人の言うことを信用していいのか」を、「上司へのコメント」から判断しています。」
「……!」
「いや、OB訪問しても、その人が本音を話しているのか、建前でカッコいいことばかり言っているのか、わからないじゃないですか。向こうも採用のノルマがあるわけですよね。」
「たしかにそうですね。」
「あと、自分の会社をかっこ良く見せたい、っていう虚栄心っていうんですかね、それもあると思いますので。逆に、会社で評価されていない人は、必要以上に自社のことを悪く言う可能性があるわけですよ。」
「……。」
「だから、まずOB訪問をしたら、「この人の言うことの信頼性」を判断しなきゃ、と思ってるんです。」
なかなかしたたかな学生である。
「どうやって上司へのコメントから、その人を判断するんですか?」
「簡単ですよ。いい面と悪い面、両方きちんと見ているかどうかです。客観的に見ている人は、両方の話をきちんとします。あと、本当に信用できる人は、他の会社も薦めてくれたりしますね。「それなら、こっちがいいんじゃない」みたいなイメージです。」
「確かに、いい話しかしない営業マンも、あまり信用出来ないですね。」
「あ、それと同じかもしれません。まあ、リクルーターだといい話しかしない人が多いですね。」
「なるほど。」
「でも、学生の側も問題だと思います。「いい話ばっかり信じて、大変そうなところは見ない」っていう知り合いもたくさんいるんですよ。いい話しかしないOBやリクルーターと、いい話しか聞かない学生の存在が、「新卒の大量離職」につながってるんじゃないですか。」
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)
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