40前後人々が集まる飲み会でのことだ。
ある大手企業の課長がこう言った。
「たぶん、俺達の世代って、50になっても、60になっても、全力で若者と競わなくちゃだよね。」
だれも反応しない。
彼は言葉を継いだ。
「俺たちの時代は新人の時、先輩が遠く見えた。「なんて仕事ができる人たちだろう」ってね。そう思わなかった?控えめに言っても、若手と先輩では仕事のスピードがかなり違っていたし、仕事に必要な知識の量で完全に先輩たちに負けていた。」
隣の方が
「そうだったかな…」
と昔を思い出しているようだ。
「それこそ経営者なんて雲の上の存在で、直接会うということもあまり想像つかなかったように記憶しているんだよね。だから、年功制や、先輩を敬うことに、一定の合理性があったような気がしていた。
でも、今会社に入ってくる若者って、むしろ我々よりも仕事に必要な知識がある部分も多い。
SNSの使い方、動画メディア、スマートフォンの利用とかって、我々も勉強しなおさなくちゃならない。要するにこの手の話って、中年に全く優位性がないんだよ。
「じゃあ、webでプロモーションやりましょう」っていっても、若手の方からいい案が出てくる。」
別の誰かが言った。
「たしかに、優位性があるのって人脈くらいかもね。オッサン相手の仕事はこっちのほうが得意だけど、完全に発想では負けてるかも。でも、今更新しいことを若手と並んで勉強するってのもね……。」
別の声も上がる。
「ネットじゃなくてリアルが大事、って言う人もいるけど、ネットに詳しくない人が言っても、あまり説得力ないよね。実は、今の若者は優秀だし、正直俺たちの学生時代のときよりも勉強している。」
彼は言った。
「オレもう、若手に説教なんて、怖くてできないんだよね。俺らって、これからどうすればいいんだろうね。」
「だから結局」
彼は締めくくった。
「俺達の世代って、50になっても、60になっても、全力で若者と競わなくちゃなんだよ。もう安定なんてないよね。就職氷河期、社会に出たら競争のみ。きっついよねー。」
——————————–
つられて私もフト考える。この議論で問われていることは2つある。
1.「経験」とか「知識」の陳腐化が早く、蓄積があまり役に立たなくなっている、というのは、本当か?
2.上が事実とすると、「40前後の中年」は、今後どうすべきか?
一つ目の問いは、
「中年が持つビジネス経験」は、役に立つのか?
という問いに言い換えることもできる。
ビジネスは新しい知識だけで行うものではないので、「中年の経験は役に立たない」は少し言いすぎかもしれない。
だが、具体的に中年の経験の何が役に立つのか、といえば、意外に言語化は難しい。むしろ、過去の成功体験が足かせとなる可能性もある。
昔は上司から入手するしか無かったノウハウや人脈が、SNSでの知り合いを通じて、ネットを介して、入手できるようになったことは、相対的に上司の持つノウハウの価値を落としているだろう。
若手から「説教がうるさい」と言われる人、「飲みに誘わないでくれ」と言われてしまうことは、「上司・先輩の価値が落ちている」ことの1つの現れかもしれない。
そして二つ目の問いだ。
上の世代のように逃げ切りもできず、若手と競争しなければならない中年は、どうすべきか?
それについては、その場の一人が言ったことが参考になるかもしれない。
「みんな何言ってんだ。安定がほしいなら、主役はもう俺達じゃないんだよ。新しい知識で勝てないなら、知識のある若手を主役にして、彼らの未来の成果に貢献するしかないよね。
しかしホントに、あらゆる仕事で歳が関係なくなってきたんだな。」
(2025/5/8更新)
人手不足 × 業務の属人化 × 非効率──生成AIとDXでどう解決する?
今回は、バックオフィスDXのプロ「TOKIUM」と、生成AIの実務活用支援に特化した「ワークワンダース」が共催。
“現場で本当に使える”AI活用と業務改革の要点を、実例ベースで徹底解説します。
営業・マーケ・経理まで、幅広い領域に役立つ60分。ぜひご参加ください!
こんな方におすすめ
・人材不足や業務効率に悩んでいる経営層・事業責任者
・生成AIやDXに関心はあるが、導入の進め方が分からない方
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<2025年5月16日実施予定>
人手不足は怖くない。AIもDXも、生産性向上のカギは「ワークフローの整理」にあり
現場のAI・DX導入がうまくいかないのは、ワークフローの“ほつれ”が原因かもしれません。成功のカギを事例とともに解説します。
【内容】
◯ 株式会社TOKIUMより(登壇者:取締役 松原亮 氏)
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◯ ワークワンダース株式会社より(登壇者:代表取締役CEO 安達裕哉 氏)
・生成AI活用の実態
・「いま」AIの利用に対してどう向き合うか
・生成AIに可能な業務の種類と自動化の可能性
・導入における選択肢と、導入後のワークフロー像
登壇者紹介:
松原 亮 氏(株式会社TOKIUM 取締役)
東京大学経済学部卒業後、ドイツ証券に入社し投資銀行業務に従事。
2020年に株式会社TOKIUMに参画し、当時新規事業だった請求書受領クラウド「TOKIUMインボイス」の立ち上げを担当。
2021年にはビジネス本部長、2022年より取締役に就任し、経費精算・請求書処理といったバックオフィスDX領域を牽引。
業務効率化・ペーパーレス化の分野で多くの企業の課題解決に携わってきた実績を持つ。
安達 裕哉 氏(ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO)
Deloitteで大手企業向けの業務改善コンサルティングに従事した後、監査法人トーマツにて中小企業向け支援部門を立ち上げ、
大阪・東京両支社で支社長を歴任。2013年にティネクト株式会社を設立し、ビジネスメディア「Books&Apps」を運営。
2023年には生成AIに特化した新会社「ワークワンダース株式会社」を設立。生成AI導入支援・生成AI活用研修・AIメディア制作などを展開。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計71万部を突破し、2023年・2024年と2年連続でビジネス書年間1位(トーハン/日販調べ)を記録。
日時:
2025/5/16(金) 15:00-16:00
参加費:無料 定員:50名
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
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