知人と話をしていた時、「ビジネスパーソンとして、最も恥ずかしい行為」は何か、という話になりました。

 

もちろん、これには正解がありませんが、その場にいた多くの知人が挙げたのが、

「知り合い自慢ムーブ」でした。

 

例えば会合で、自己紹介の時に

「前職で、味の素さんの仕事ををしていたことがあって……」というと、すかさず

役員の〇〇さん知ってますよ!」

と、話をかぶせてくるような行為。

 

あるいは、「楽天ポイント貯めてるんですよ」といった、他愛もない話に対して、

三木谷さんの右腕の人と、この前飲んだんですよ……」

などと、よくわからない関係を持ち出してくるような行為。

誰だよそれ。

 

もちろん、「単なる知り合い」を超えて、かつて一緒に仕事をして成果を上げた仲間の話であれば、「珍しい話」として、喜ばれることもあります。

しかし、往々にして「俺の知り合い大物だぜ」を強調する人々は、かえって損をしています。

 

というのも、読者諸兄であれば、もう想像がつくと思いますが、この手のムーブをかます人は、周りから疎まれていることが多いからです。

「恥ずかしい行為」と言われるほど。

 

でもいったいなぜ、そうも疎まれてしまうのでしょう。

 

私は以前、「自分を必要以上に大きく見せよう」という一種の虚勢、そういったものが見えるから、疎まれるのだと思っていました。

虚勢を張る人は、馬鹿にされがちです。

 

ただ、ふと考えると、そんなことで、それほど嫌われるでしょうか?

 

実際には、虚勢を張っていることを軽蔑はしても、嫌いになるまではいかないのではないでしょうか。

多少の虚勢は「若いねえ」と、大目に見られることも多いでしょう。

「恥知らず」までは言われない。

 

だから私は、「ちょっと不思議な感情」と思っていました。

 

 

ところが最近、この話をしたところ、知人の一人は、こう言いました。

「まったく興味がないのに、興味を持て、と言われてる感じがするのが嫌だ。」

 

なるほど、と思いました。

ああ、そういうことか、と。

 

当たり前なのですが、我々の誰もが、権力者、有名人、芸能人などに興味を持っているわけではありません。

というか、ほとんどの人は興味がない。

 

ところが、この手の話は、聞き手が頑張って「あなた、有名人と関係があってすごいね」と、驚いているように見せないといけないのです。

 

一回だけならばいいとしても、それが繰り返されると、うんざりする。

だから次第に、相手がうざったくなってくるのです。

 

そういえば、哲学者の中島義道は「人を嫌うということ」で、次のように言っていました。

相手に対する絶対的無関心を互いに同様にもつなら、比較的傷口は小さいのですが、それでも無傷ではない。ここが人間のおめでたいところです。自分は相手に完全に無関心なのですが、相手は自分に少しは関心を寄せるべきだと思っている人が多い。

(中略)

はっきり言えばいいって? いや、誰しも「あなたにはまったく興味がありません」と言われて、平然としてはいられません。興味など相対的なものであり、Aに興味がなくともBに興味があるかもしれないではないか、と合理的に考えることはできない。それはその人の主観的感情の発露なのですが、自分の人間性全体に対する侮辱のように聞こえてしまう。

それを知っていますから、われわれはほんとうはまったく興味のない人にもあたかも少しは興味があるかのように振舞うのです。そうしますと、あとで時間を取られたことと自分の欺瞞的態度との二つが鎌首をもたげて来る。そして、先の論理と同じように、それを誘発した原因は今までそこにいてにこにこ顔で世間話をしていたあいつだということになる。嫌いになるのです。

まさに、「どうでもいいこと」において、相手に「すごいね」と言わせようとすることが「嫌い」の原因になる。

その結果として、「知り合い自慢」ばかりの人間は、疎まれるのです。

 

 

同様のムーブとして、

「あいつは俺が育てた」

「こんな大きな仕事してる俺」

といった話も挙げられます。

 

これらの話も、以前は

「妬み」「自慢への反発」

といった、「負の感情」で嫌っているのだと思っていました。

 

ですが、今回の知人の話を聞いて、嫉妬というよりはむしろ、その人に対するやさしさ、あるいは礼儀として

「驚いてあげないといけないのではないか」

「感心してあげないといけないのではないか」

「褒めてあげなければいけないのではないか」

といった、むしろ親切心が、その忍耐を超えた時に、「あいつと話すのは面倒だ、嫌い。」という態度になって、表に出てくるのだという理解になりました。

 

言い換えれば、

どうでもいい話を聞かされ続けると、急に面倒になって、そいつのことが嫌いになる

という身もふたもない話です。

 

 

しかし「知り合い自慢」が「相手に精神的な忍耐を強いている」と自覚していない人、かなりいます。

まずいですね。

そういう状況をとらえて、「ビジネスパーソンとして、最も恥ずかしい行為」は?と聞かれたときに、「知り合い自慢ムーブ」ということになったのでしょう。

 

私はコンサルタントの時に、常々

「お客さんがしたい話を、最後まで黙って聞いてあげなさい」

と、教わってきました。

 

要するにこれは、「忍耐を強いる話」を聞くことは、ほとんどの人がやりたがらない行為である。

それをやるからこそ、営業やコンサルタントは稼げるのだ。

という話なのだと、改めて思いました。

 

「知り合い自慢」は、自腹を切って夜の店に行くか、占い師を雇うか。

あるいは、コンサルタントに吐き出す。

それが無難です。

 

お金さえ払えば、喜んで相手は聞いてくれますよ。

 

 

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システム開発やITコンサルティングを経て、
外資系製薬企業で15年以上のITビジネスパートナーとして人事からコマーシャル、 メディカルなど製薬企業の様々な分野のプロジェクトに携わる。
現在はネクセラファーマ株式会社で、システムだけではなく、企業風土改革や業務改善をリードし、
日本発グローバルバイオ製薬企業にむけて、同社の成長基盤の構築に尽力している。

岡田 雄太(ワークワンダース株式会社 CTO)
野村総合研究所に新卒入社後、証券総合バックオフィスシステムやオンライントレードシステムなどの開発に従事。
その後、8 Securities(現SoFi Hong Kong)へ出向し、日本人唯一のエンジニアとして国際的なプロジェクトに携わる。
BOOSTRYでは信託銀行向けSaaSの立ち上げと成長を牽引。
WiseVineではCTOとして開発組織を30名規模に拡大し、プロダクト開発を推進。
2025年4月よりワークワンダース株式会社CTOに就任。AI活用を中心とした開発支援をリードする。


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(2026/01/19更新)

 

 

【著者プロフィール】

安達裕哉

生成AI活用支援のワークワンダースCEO(https://workwonders.jp)|元Deloitteのコンサルタント|オウンドメディア支援のティネクト代表(http://tinect.jp)|著書「頭のいい人が話す前に考えていること」88万部(https://amzn.to/49Tivyi)|

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