経済学に興味はあるけど、イマイチよく理解できないという人は結構いると思う。

今回は最先端の経済学と、その知見からどういう事が分析できるのかについて書いていく。これを読めばマルクス経済学、21世紀の資本、現代ポートフォリオ理論といった経済学の理論と、それから導き出される21世紀に生きる私達の最適戦略が理解できるはずだ。

 

 

資本主義を最もよく分析した書物 資本論

マルクス経済学というとカビが生えた古臭い学説だと思う人は多いかもしれないけど、キチンと読み込めば資本主義をこれ以上なく上手に分析したものだという事がよくわかる。

全ての内容をここで紹介するには紙面が足りないので、ここでは序章でマルクスが定義した資本家と労働者の関係についてのみ記す事にする。

 

マルクスはその著書の中で、資本主義の世の中においては資本家と労働者という2つの人種がいると述べている。話をわかりやすくするために、とりあえず資本家≒お金持ちぐらいのイメージを持ってもらえればここでは十分だ。

一方の労働者は資本家と対極の存在であり、簡単にいえばあまりお金持ちとはいえない存在だ。

 

労働者は生活費を稼がなくてはいけないので、そのために自身の『労働力』を資本家に売る。資本家は労働者から得た『労働力』を使って事業を起こし、労働者から買った『労働力』以上の資本を生み出す。

まあ簡単に言えば社長が従業員を雇って売り上げを叩き出し、得られた総売り上げの一部を給与として従業員に支払うって事である。

資本主義の社会では、資本家は自分の総資本を増やす事が目的化されるので、資本家は労働者にあまり給料を渡したがらない。もし売り上げが100万円あったとして、従業員に10万円の給料しか払わなかったら、資本家は10万円という元資本で90万円の新たな資本を生み出す事ができる。

 

資本主義の社会では雇用側である資本家が、雇用される側である労働者よりも立場が強く、結果として資本家が労働者を搾取する事になりがちである。そうして資本家と労働者の間で格差が拡大していき、やがてしいたげられた労働者が資本家に革命を起こす。これがマルクス理論の骨子であり、資本主義の問題点とされている。

ただこれはあくまでマルクスの頭の中で考え出された理論であり、一見正しそうに見えるものの、科学的な裏付けがなされたものではなかった(資本論は1867年初版)まあそう言われてみるとそうかもしれないけど、実際にこれが本当なのかは誰にもわからなかったのだ。

しかし最近になって、それが本当だという事が証明されてしまったのである。

 

 

2015年最大のホットワードr>gとは何か

『21世紀の資本』は2013年にフランスの経済学者トマ・ピケティ教授が書いた本で、彼はその著書の中でr(資本収益率)>g(経済成長率)という図式が成立している事を実証した。

この理論は『配当金や利息といった資本家が投資して得られる収益の方が、労働者が働いて得られる収入よりも常に多い』という事を言っている。まあこれだけだとよくわからない人も多いと思うので、もう少し具体的に記述していく事にしよう。

 

まず大前提として、世界経済は一貫して成長を続けている。縄文時代よりも鎌倉時代の方が、鎌倉時代よりも江戸時代の方が、江戸時代よりも現代の方が、人類は圧倒的に豊かである。

そうして市場の富の絶対量が増えていく事を経済成長といい、経済が成長しつづける事により同時にお金も人々の元により多く入っていく。例えば戦後の新卒の初任給は1万円程度だったけど、現代の新卒の初任給は20万もある。

なんと経済成長に伴い、労働を通じて得られるお金は20にもなったのである。もちろん物価が違うので一概にどうとは言いにくいけども、基本的には経済成長と共に労働者の給与は上がり続けていく。

 

少し復習すると、マルクス経済学の説明でみたように、労働者は労働を通じてしかお金を手にすることができない。一方、資本家は手元の資本を元にして労働者から労働力を買い、新たな資本を作り上げる事ができる。

じゃあちょっと考えてみてほしい、戦後の労働者の給与はおよそ1万円から20万円と20倍になった。じゃあ資本家ってどれぐらい儲かるようになったのだろうか?この事を理解するのに一番簡単なのは、資本家が持つ株という投機対象を手掛かりにする事だろう。

 

さて問題です。日経平均株価はここ数十年間でどれぐらい値上がりしたでしょうか?答えはなんと200である。日経平均株価は、1949年から2016年までの77年間で、なんと200にもなったのである。給与の成長率との差は、およそ100である。

マルクスが資本論を書いたのは1867年だったけど、およそ100年ちょっとたった現代でその見識の正しさは証明されてしまったのである。

 

ただマルクスは資本主義の問題点の分析には優れていたけど、その代替案として導き出した共産主義という理想は大失敗であった。結局、中央政府が市場を統制した共産主義では資本主義を打ち負かすことはできなかった。

世の識者はこれを市場原理の勝利として説明する。筆者も基本的にはこれに同意だが、もう一つ大切な視点が抜けていると思う。それは労働者も容易に資本家になれるようになったという視点である。

 

 

社会が豊かになる事で選択肢が大幅に増えた

社会が豊かになる事により、仕事がどんどん細分化されていく事となる。縄文時代はみんなで頑張って農耕しなくては食べ物が作れなかったけども、現代人のほとんどは食物なんて育てていない。

無人島のような経済が未発達な地では、人は自給自足しなくては生きていけない。だけど経済が成長し人口も増えるに従って、だんだんと仕事が細分化されていく。ある人は農作物を育て、ある人は家を建てる。またある人は商業を営む。そしてどんどんと専門的な職業が生まれ、社会はより豊かに複雑になっていく。

 

このような世の中の流れが加速するに従い、世の中に株式会社という全く新しい形態のものがうまれた。

これは資本家が株式というものを発行し、それを売ることで小口の資本(資金)を社会全体から広汎に集めることが可能にしたという驚異のシステムで、これにより資本家はより多くの資本を集める事が可能となり、それにより集められた資本を元に、より巨大な資本を生み出すことを可能とした。

株式会社というシステムが生まれたことで、資本主義の世の中に

 

株主(資本家)経営者(資本家)社員(労働者)

 

という図式が生まれた。株式会社というシステムが作られた当初は、様々な規制により株主になれる人はごく限られた少数の人々でしかなかったのだけど、より豊かになった現代では規制も随分と取り払われ、ほとんど全ての人が株式市場に参入可能になり、また非常に少ない金額から投資を行う事が可能になった。

今ではその辺の庶民でもネット証券に申し込めば、すぐにでも株式を買う事ができる。

 

これってちょっと考えてみれば凄い事なのである。つまりr>gよろしく、確かに世の中は資本家が労働者よりも多く稼げるようなシステムにはなっている。だけどその辺の労働者も、経済が高度に発展した現代では誰もが資本家にもなれるのだ。

これが現代の資本主義が1ミリも揺るぎなくその地位を確立している理由である。労働者すらも資本家になれるのが現代社会の優れたシステムであり、生まれた場所で多少の違いはあるけども、現代は有史以来もっとも格差を覆しやすい社会なのである。

 

 

最適な投資戦略とは?

ここまでの文章で、労働者である僕たちは労働を通じて得られた資本を元に投資を行う事が、経済的には最適解であるという事がわかってもらえたと思う。じゃあ問題はどういう風に投資すればいいのかって事だ。実はこれは数学的に証明されている。

もともと株式の世界では、一つの株に集中して投資するのではなく、複数にわけて投資しろと言われてきた。例えばトヨタの株式を100万円分買ったとしよう。トヨタ株が2倍になれば資本も2倍になるけど、1/2になれば資本は1/2になる。これはハイリスク・ハイリターンな投資である。

 

一方、10万円ずつ10個の株式を買ったとしよう。トヨタ、ソニー、任天堂などなど。こうすれば、例えばトヨタ株が不調だとしても任天堂株が好調だったりして、リスクを分散する事ができる。

これは株の世界では『卵は一つのカゴに盛るな』という格言で説明されていた。卵を1つのカゴに盛るとそのカゴを落としたときに全部割れてしまうかもしれないから、複数の籠に盛っておこうね、という事である。

 

この理論の正しさは1952年にハリー・マーコウィッツにより数学的に証明されており、ハリー・マーコウィッツはその業績によりノーベル経済学賞を受賞している。この理論に則った投資方法は現代ポートフォリオ理論と呼ばれており、現代ポートフォリオ理論によれば、最も正しい投資方法は全世界の株式市場に少量ずつ投資するのが正解となる。

この理論を簡単に言えば、とある会社の株だけを持っていると、そこがつぶれたときに全ての財産はなくなるけど、世界経済がつぶれる事は理論上ありえないため、株を最もリスク無しに買う方法は、丸ごと世界経済に投資するのが正解だという事である(現代では証券も随分進歩したので、世界の株式をちょっとずつ買えるという我儘な商品を買う事も可能だ)

 

そして先の繰り返しになるけども、市場はどんどん成長していく。日経平均株価は1949年から1989年末までの40年間で約200倍にもなった。現代ポートフォリオ理論にのっとって、限りなくリスクを分散して世界市場の株式を持てば、長期的にみれば世界経済は必ず成長するのだから、投資した資本は必ず増大するのである。

じゃあ結局、私達労働者は労働を通じて得られた賃金を、少量ずつでもかまわないから株式等に投資するのが正解という事になる。そしてその投資する元手は多ければ多いほどよいに越したことはない。じゃあ労働を通じて得られる資本を最大化する為に、私たちは何をすればいいのだろうか?もっと具体的にいえば、どの職業を選ぶのが正解なんだろう?

 

 

あなたの給料が決まる仕組み

サラリーマンである労働者の給料は、究極的にはその労働市場が稼ぎ出した金額を、人数で割ったものになる。外資系投資銀行の社員の収入が高いのは、彼らが優秀だからなのではなく、投資銀行全体が生み出している市場がめちゃくちゃデカイからだ。

労働者である僕たちがお金を手にする方法は、労働を通じてしかない。手っ取り早く資本家になって勝ち馬に乗る為には、給料は高ければ高いほどいい。職業選択がものすごく大切だという事はいうまでもないだろう。

 

ただ残念な事に職業選択はものすごく難しい。『東大生が就活で選んだ企業は、その時が最盛期で後は落ち目だ』なんて言葉もあるぐらいで、頭のいい人間ですら就活で容易に失敗してしまう。そうして就活で失敗して落ち目の企業を選んでしまったら、あなたがいかに優秀だろうがよい給料は手にすることができない。

さっきもいったけど、あなたの給料はあなたの所属する労働市場が稼ぎ出した金額を人数で割ったものである。その業界自体の規模が小さいのなら、どこをどうやってもお金は転がってこないのである。

 

じゃあどうすればいいのだろう。新卒で入った業界で博打するしかないのだろうか?いやいやいや。そんなハイリスク戦略をとってはいけない。さっきもいったけど、世界経済自体は必ず成長するし、どこかの業界が落ち目でも、どこかの業界は好調だったりするのである。『卵を一つのカゴに盛る』から危ないのならば『卵を一つのカゴに盛らなければいい』

 

 

生産者のススメ

様々な技術が高度に発展した現代では、個人が生み出す労働の生産量も、科学技術の発達に伴って増大傾向にある。

昔だったら農家は農作物を作り出すので精一杯だったかもしれないけど、今では機械を使って少ない時間で容易に大量生産が可能だ。そして空いた時間で別の生産活動もする事ができる。

例えばだけど、農家が機械に農作業をやってもらっている最中にパソコンで小説を書けば、農家でありかつ小説家にもなれる。

 

科学技術とインターネットが高度に発達した現代では、誰でも簡単に何かを生み出して人々に発表する事が可能になった。この記事だって、僕は病院で働いた後で書いている。

昔だったらキーボードが無かったから、こんな長文を原稿用紙に書こうとしたらとてつもない時間がかかっていたし、またインターネットがなかったら人々の前に発表する事もできなかった。

 

かつてはコンテンツを作っても、ほとんどの人は日の目をみることができなかった。小説家になるにはどこかの出版社で賞を取るしかなかったし、コントで売りに出したかったら、お笑いの事務所に所属して仕事を獲得しなくちゃいけなかった。

 

それが現代ではどうだろう。パソコンとインターネット環境さえありさえすれば、素人だってブログに簡単に文章をのっける事が可能だし、パソコンとカメラさえあれば、素人だって簡単にYou tuberになれる。もちろんそんな簡単に大金が転がってくるほど甘くはないけども、現代は昔と比べて非常に少ない時間で良質のコンテンツを生み出すことができる環境があるのは間違いない。

 

そしてこれらの作業は基本的に非常に低リスクだ。ブログを書くのに会社をやめる必要はないし、YouTubeになるのも会社をやめる必要はない。素人がコンテンツを作って、おまけに広告を張るなりして収入を得る手立てがあるという現在の環境は、実は想像以上にとてつもない事だ。

 

高度に科学技術が発達した現代では、ポートフォリオ理論は株式のみならず働き方にすら応用がきくようになっているのである。インターネットの発達により、私たちは会社に所属することなしに簡単にコンテンツ制作者として労働市場に参入できるようになったのだ。

人は基本的には暇に耐えられない生き物であり、暇つぶしとしての娯楽に飢える生き物である。電車にのればスマホゲームに興じている人を常にみかけるように、良質な娯楽としてのコンテンツの需要は常にあり、その市場は衰退する事をしらない。

なんでもいいから何かを生み出すようにしよう。絵を書くのでもいい。文章を書くのでもいい。ゲームの実況中継をするのでもいい。

 

あなたがコンテンツ製作者として成功するかどうかは誰にもわからない。けど間違いなく言い切れる事が一つだけある。何もやらなければ、可能性は永遠にゼロだ。

様々な手段を通じてコンテンツを生産する方法を身につけ、そして常に良質なコンテンツを生み出せるようになろう。そうすれば自然とあなたのインターネット上での評判は高まっていき、お金も転がり込んでくるようになる(筆者もブログを更新し続けたことでBooks&Appさんから原稿の依頼がくるようになった。まったくもってインターネットには感謝しかない)

 

 

21世紀現在における最先端の経済学から導き出される私達の最適戦略

ようやく結論になるのだけど、21世紀現在における最先端の経済学から導き出される私達の最適戦略は、固い定職+インターネット上でのコンテンツ製作者という二足の草鞋を履く事であり、そうして得られた収入で世界経済株式に投資していく事になる。

これが科学的に導き出された、最もリスクなく、リターンが高い勝ち馬にのる方法である。この知見を取り入れるか否かは、あなた次第だ。

 

生存戦略、しましょうか。

 

 

プロフィール

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高須賀

都内で勤務医としてまったり生活中。

趣味はおいしいレストラン開拓とワインと読書です。

twitter:takasuka_toki ブログ→ 珈琲をゴクゴク呑むように

noteで食事に関するコラム執筆と人生相談もやってます→ https://note.mu/takasuka_toki