とあるメーカーで営業をしていたときの話。

当時の会社では出張営業も多く、訪問時に注文を取ることが美談とされていました。しかし私は、それをすることなく営業成績はトップでした。

 

営業という仕事は、上手く商談して注文を取るイメージがあるかもしれませんが、必ずしもそれが一番とは言えません。

確かに先方への訪問時に商談をまとめ、商品や製品の受注を得ることはすばらしいことです。しかし、その方法だけでは、常に訪問営業をしなくてはなりませんし、次々と新規開拓する必要が出てきます。

これではただの消耗戦で、長く続けることは難しくなります。

 

私も営業という仕事に就いた当初は、上記のようなスタイルだけで仕事をしていましたが、ある時からそれを変えました。

 

 彼が来ると商品を売り込まれると思われたら終わり

まず、訪問時に必至になって商談をまとめ、注文を取ろうとするとどうなるか。先方から売り込みの強い営業と思われます。そうなると、次のアポイントメントが取りにくくなります。彼と会うと商品を売り込まれると思うからです。

なので、商談では無理に受注を狙うことを辞めました。

 

それよりも雑談をして、今日はあの人と話をして面白かったなと思ってもらえるようにしました。商品の話は2割くらいで、あとは雑談。

これによって2つの効果が見込めます。

1.連絡リストの上位に食い込める

2.買ってあげたいという気持ちにさせる

この2つです。

 

まず、連絡リストですが、私はこれを「思い出し連絡帳」と呼んでいました。例えば、先方が何かを注文するときに、1番最初に連絡をするのは「いつものメーカー」です。ようするに、担当者が懇意にしているメーカーですね。

この時、そのメーカーが対応できないことがあります。納期の問題だったり、価格の問題だったり、たまたま電話に出られなかったり。そうなると、担当者は別のメーカーに連絡するしかなくなります。

 

で、ここに食い込めるかどうか。2番手でも3番手でも、思い出して連絡をもらえる位置に自分が入っていないといけません。そのための雑談、面白い話です。

次に、「買ってあげたいという思い」が関係してきます。思い出しただけではスルーされてしまうかもしれませんが、ここで雑談だけに留めた効果が出てきます。

「あの人、いつも商談で売り込んでこないけど成績大丈夫なのか?」

こう思ってもらったら成功です。もう連絡するしかなくなりますので、あとはチャンスをモノにするだけでいいのです。とは言え、これだけで十分な注文が得られるわけでもありませんので、もうひとつやることがあります。

 

 急ぎじゃない仕事を急ぎで対応すること

はい、普段の何気ない仕事を大至急でやることです。

「急ぎじゃないけど見積もりください」

みたいな連絡があったら、その電話を切った瞬間に見積もりを作って送ることが重要です。別に見積もり価格を安くする必要はありません。普通の金額の見積もりだけど、すぐに出すことが重要なのです。

これによって、

「あの人は仕事が早い」

という印象をつけることができます。

 

そして、これが活きてくるのが、先方に緊急な事案が発生したときです。今すぐにでも商品が欲しいってときにどこに連絡するか。思い出し連絡帳の中で、仕事が早い人に連絡しますよね。

相手は困っていますから、あとは誠実に対応するだけでOKです。急ぎの仕事なので多少は高い価格でも取引できますし、その問題が解決してからも感謝されます。

「あのときは本当に助かりました。」

これによって、今度は通常の連絡帳の上位に食い込むことができるわけです。

 

 さいごに

もちろんすべての取引先で通用することではありませんし、日頃から安定した受注を得ることも踏まえて営業活動をする必要はありますが、商談が上手くいかずに悩んでいる営業さんの参考になれば幸いです。

それではまた。
ご存知、ゆうせいでした。

 

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安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
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(2025/6/2更新)

 

【著者プロフィール】

名前: ゆうせい 企画、執筆、編集、モデルを提供する「カンパニオ」代表。

ぱくたそでフリー素材モデルとして不倫素材や、記者風素材を提供している。映画大好きの愛妻家を自負しているが、恋愛映画や恋愛系コラムは苦手。とにかく水曜どうでしょうが大好きでしかたがない。

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