「個性的だね」

「マイペースだね」

こう言われたことはないだろうか。誰しも一度は言われたことがあると思う。

 

私も個性的だと言われたことがある。そして、言われる度に思う。

「そう言うあなたも、個性的なんじゃないの?」

 

きっとあなたも一度は言われたことがあるはず。

言われたことがないとしても、11人違う人間なのだから、極論すれば個性的でない人なんていない。みんな個性的だ。

 

マイペースについても同様のことが言える。以前、友人がマイペースについて語っていた。

 友人「よくマイペースって言われるんだ」

 私「うん、わかる。マイペースだよね」

 友人「そうやって言うけど、逆にマイペースじゃない人なんているの? みんな自分のペースで生きているでしょ。マイペースは“私のペース”なんだから、マイペースじゃない人なんていないはずだよ。だから私はマイペースという言葉の存在自体に疑問を抱いている。あたり前のことに言葉を当てはめてしまうから、こんな使い方をされているんじゃないかな」

 

たしかに、他人のペースで生きるなんてことはありえないし、自分は自分というあたり前のことを前提にすると(哲学的に考えると、この前提もあたり前ではないのかもしれないが、ここではあたり前ということにしておく)、マイペースという言葉は不要なのかもしれない。

 

☆★☆★☆

 

みんな個性があるはずなのに、個性的だと言われるのはどういうケースなのか。

多くの場合、「自分とは違う」「普通じゃない」「変わっている」という意味で「個性的」という言葉が使われていると感じる。

 マイペースは、「自分とは違うペースで生きている」「周りに合わせない」といったところだろうか。

 

そういえば最近こんな一幕があった。

先輩「マイペースだね」

私「どういう点が、ですか?」

先輩「他人に気を遣わないところが」

 

実際どうなのかはここでは触れないが、「他人に気を遣わない」人も、マイペースと言われがちなのかもしれない。

 共通しているのは、「自分とは違う」あるいは「自分が思う“普通”と違う」場合に「個性的」「マイペース」という言葉が出てくるという点だ。

 

ここで“普通”という言葉の意味を確認してみよう。

「普通」

特に変わっていないこと。ごくありふれたものであること。それがあたりまえであること。また、そのさま。

【引用】コトバンク

https://kotobank.jp/word/%E6%99%AE%E9%80%9A-618997

 

特に変わっていないこと。

誰にとって?

自分にとって。

 

ごくありふれたものであること。

誰にとって?

自分にとって。

 

それがあたりまえであること。

誰にとって?

自分にとって。

 

そう、全て基準は自分。たぶん、みんな自分を普通だと思っている。私にとっては私が普通であり、一般的であり、標準的だ。

そして、私とは違うあなたは、あなたが普通であり、一般的であり、標準的だと思っている。

 

あなたが海外旅行をしたとしよう。現地の人を外国人だと思うはずだ。だがどう考えても外国人はあなたである。

 

もう1つ。

この記事を読んでいるあなたは、9割前後の確率で異性愛者だ。そうだとしたら、あなたはバイセクシュアルである私を“普通じゃない”と思うだろう。

でも、私にとって「異性しか好きにならない」異性愛者は(あえてこう表現するが)“普通じゃない”。

 

誤解されたくないので補足するが、バイセクシュアルが“普通じゃない”ことを、私も理解はしている。(セクシュアル“マイノリティ”と表現されることからも理解できる。)ただ、私にとって自分がバイセクシュアルであることは普通だということだ。

 結局、「個性」なんて他人から見た自分の特徴にすぎない。

誰一人として同じ人間はいないという意味ではみんな個性的だし、みんな個性的であるということは、みんな無個性だと言っても同じようなものかもしれない。

 

☆★☆★☆

 

あれ?

みんな無個性という結論になってしまった……。

どこでどう間違えたんだろう(いや、間違えてはいないか)。

 

ではまた!

次も読んでね!

 

 

【お知らせ】
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第6回目のお知らせ。


<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>

第6回 地方創生×事業再生

再生現場のリアルから見えた、“経営企画”の本質とは

【日時】 2025年7月30日(水曜日)19:00–21:00
【ご視聴方法】
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当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。

【今回のトーク概要】
  • 0. オープニング(5分)
    自己紹介とテーマ提示:「地方創生 × 事業再生」=「実行できる経営企画」
  • 1. 事業再生の現場から(20分)
    保育事業再生のリアル/行政交渉/人材難/資金繰り/制度整備の具体例
  • 2. 地方創生と事業再生(10分)
    再生支援は地方創生の基礎。経営の“仕組み”の欠如が疲弊を生む
  • 3. 一般論としての「経営企画」とは(5分)
    経営戦略・KPI設計・IRなど中小企業とのギャップを解説
  • 4. 中小企業における経営企画の翻訳(10分)
    「当たり前を実行可能な形に翻訳する」方法論
  • 5. 経営企画の三原則(5分)
    数字を見える化/仕組みで回す/翻訳して実行する
  • 6. まとめ(5分)
    経営企画は中小企業の“未来をつくる技術”

【ゲスト】
鍵政 達也(かぎまさ たつや)氏
ExePro Partner代表 経営コンサルタント
兵庫県神戸市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。3児の父。
高校三年生まで「理系」として過ごすも、自身の理系としての将来に魅力を感じなくなり、好きだった数学で受験が可能な経済学部に進学。大学生活では飲食業のアルバイトで「商売」の面白さに気付き調理師免許を取得するまでのめり込む。
卒業後、株式会社船井総合研究所にて中小企業の経営コンサルティング業務(メインクライアントは飲食業、保育サービス業など)に従事。日本全国への出張や上海子会社でのプロジェクトマネジメントなど1年で休みが数日という日々を過ごす。
株式会社日本総合研究所(三井住友FG)に転職し、スタートアップ支援、新規事業開発支援、業務改革支援、ビジネスデューデリジェンスなどの中堅~大企業向けコンサルティング業務に従事。
その後、事業承継・再生案件において保育所運営会社の代表取締役に就任し、事業再生を行う。賞与未払いの倒産寸前の状況から4年で売上2倍・黒字化を達成。
現在は、再建企業の取締役として経営企画業務を担当する傍ら、経営コンサルタント×経営者の経験を活かして、経営の「見える化」と「やるべきごとの言語化」と実行の伴走支援を行うコンサルタントとして活動している。

【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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(2025/7/14更新)

 

[プロフィール]

名前: きゅうり(矢野 友理)←名前をクリックすると記事一覧が表示されます

2015年に東京大学を卒業後、不動産系ベンチャー企業に勤める。バイセクシュアルで性別問わず人を好きになる。

著書「[STUDY HACKER]数学嫌いの東大生が実践していた「読むだけ数学勉強法」」(マイナビ、2015)

Twitter: 2uZlXCwI24 @Xkyuuri

ブログ:「微男微女