今、23時を回って山手線は優先席ではない方の一番端っこの方に立っています。携帯でメールを打つフリをしながら、前のカップルの様子を逐一メモっているところです。
男性は27歳くらいのサラリーマン。ヨレヨレのスーツに、白いワイシャツを肘あたりまでまくって、その白い素肌には血管が浮き出ています。
一方女性は25歳くらい。流行りの服装に流行りのメイクに流行りの髪型で、普通に可愛い。っていうか、なんで今日この人と二人で飲みに行ったの?って聞きたいくらい、一見アンバランスなカップルです。
この二人、多分この後初めて結ばれるんじゃないかな。五反田から乗って渋谷くらいまではヨソヨソしい超絶微妙な距離感でお互いの顔を見つめ合ってたんですけど、原宿過ぎたあたりからボディの絡みが始まりました。
まず行動に出たのは女性です。多分、男性があまりに何もしてこないことにしびれを切らしたんですね。酔った勢いをうまく使いながら肩にもたれかかっています。ボディランケージをあえてオーラルに言語化するなら
「ホラ、私、隙あるんだよ。今夜はいいのよ、このまま抱かれても。」
完全にGOサインが出ています。
これは、女性が男性の決断力を見る時に使う、ごく一般的な試験方法です。「私は仕掛けたわよ。さあ、あなたはどうするの。」この試験で不合格となれば、二次試験に進むことはできません。
肝心の男性は、肩にもたれかかられてから手を握り返すまでに、2駅かかっていました。おそらく迷っていたのでしょう。もしくは疑っていたのかもしれません。100年に一度、いや、リアルなところで1年半に一度起こるかどうかの今夜の奇跡は、現実なのか、と。
二人は新宿を過ぎたあたりでもう一度顔を見合わせ、手をつないだまま新大久保で降りて行きました。
彼らが座っていた座席に腰をかけ、その温もりをお尻に感じながら「今夜の奇跡が、現実になるといいね。がんばれ!」と心の中でつぶやいたのでした。
さて、先日ある男性から次のような相談を受けました。
エリー大使さん、僕、複数は得意なんですけど、1対1が弱いんです。
合コンで仲良くなった女の子を、二人きりの食事に連れ出す際の歩留まり率は100%です。
でも、その後お持ち帰りすることが出来ません。何かアドバイスはありますか?
この話を聞いてまず抱いたのが、「ん?え?え?おやおやおやおや〜。食事の直後、つまりその日の内にお持ち帰りしようとしていたの〜???複数とか、1対1とか、関係ないんじゃないの〜???」という疑問です。
というのも、この男性、とても魅力的な方なんです。ウィットに富んだ会話を繰り広げてくれ、一緒にいてとても楽しい。合コンの後日、二人きりの食事に誘われたら迷わずYESと言ってしまう気持ち、わかります。歩留まり率100%というのも頷ける、うんうん。
おそらく彼は自分のコミュニケーション力に自信があるのでしょう。女性の話を上手に聞くこともできるし、面白い話をすることもできる。だから女の子がクスクス笑って、心を段々開いていく様子を見て「イケる」って思ってしまうんでしょうね。
でも女子からすると、こういったコミュニケーション力が高い男の子って、男性として受け入れるタイミングが難しいんです。
しかも彼の場合、見た目がザ・草食系。草食系×コミュニケーション力高い男子=もうほぼ女性友達ですからね。
そりゃ食事に誘われても断りません。基本は丸腰、ガード低めで会話を楽しもうとするわけです。パンツだってコットン素材の面積広めのやつはいていきますよ。だって、安心感しかないんですから。
それが、ですよ。
食事も終盤に急にオス臭が漂い始めたら、ドン引きしちゃいますよね。すごいかわいいトイプードルが「よしよし〜」って頭なでであげてたら、急に興奮して腰ふり出してきたみたいに。母性本能をくすぐる対象が、いきなり動物的本能をむき出しにしてくる感じが、すごく怖い。
それに似ています。
早い話が、コミュニケーション力高めの草食系(と思われている)男子は、最初のデートで肉食に豹変しちゃダメなんです。勿体無い。だって、この男性を始め、皆さんは「人間」として、ものすごく魅力的なんですから。
「コミュニケーション力が高い」「安心感がある」「母性本能をくすぐる」という強みを活かすブランディングと、それが好きそうな女性を狙うターゲティング、この二つがポイントになるのではないでしょうか。
一旦そのイメージさえ築くことができれば、後からどうにでもなります。だから、初回のデートで押すんじゃなくて、複数回のデートを挟んで、引いて引いてひきまくる。
そうすれば、次第に母性本能がくすぐられ、相手が先に行動を仕掛けてくるという勝負に持ち込むことができます。98%安心していても、そこは女性。残りの2%はいつだって「押し切られたい」という欲求があるものです。
(いつも食事に誘ってくれるのに、なぜか最後の一押しがないな…私って魅力がないのかしら…ええい、ちょっと今夜は酔ったふりしてボディタッチで様子を見てみよう!)
「ホラ、私、隙あるんだよ。今夜はいいのよ、このまま抱かれても。」
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】 ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。
(2025/6/2更新)
こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ——
「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。
【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
Elly大使
ダメ男ばかり好きになってしまうアラサー女子。
現在はフリーライターとして女性目線からのコラムを執筆。