夢を追い求める事は世間一般的には素晴らしい事だといわれている。

 

だけど夢を追う事の残酷さについて言及している記事はあまりない。

これを書いている筆者は二浪している。浪人している間、いわゆる大手予備校に所属していたのだけど、医学部クラスには他のクラスにはあまりいない奇妙な受験生の姿を目にすることがある。多浪生だ。

三浪、四浪は当たり前。下手すると六浪とか七浪というのも珍しくない。

 

彼らは夢を追いかけて、その夢を諦めることができない人達だ。フレッシュな浪人生と比較して、やや顔に影がかかっている事から何となく普通の人達とは少し違った存在だという事が暗にわかる。

「小さい頃から医者になりたいと思っていた」

「いままでの人生、あまり良いことがなかったから医者になって逆転したい」

人は様々な理由で医学部を志願する。

 

夢を追うのはよい。ただ、そういう人達に1つ言っておかねばならない。

「医学部を志願するのなら、3年間だけと期間を決めて、駄目だったら勇気を持って受験から退場する覚悟が必要だ。」

 

当然だけど、医者になるためには医学部に入らなくてはいけない。

だが、御存知の通り、医学部はかなり難関だ。

 

例えば医学部入試の特殊性として、滑り止めというものがないという事があげられる。

東大ならチャレンジしてみて、駄目なら駄目でその他私立に行けばいいだけの話だけど、医学部入試は基本的には替えがきかない。簡単な医学部がないからだ。

受かるか落ちるか、オール・オア・ナッシングである。

 

この特殊性により、医学部を諦められずに何年も受験生を繰り返す人達がいる。

一度医学部という魔物に魅入られてしまうと、そこから抜け出すことが難しくなるようで、彼らは頑として他学部には入りたがらない。

この魔物に魅入られてしまうと、人生が終わる。

他の人が一般大学を卒業して働き始めようかというような頃に、まだ大学受験生をやっているのだ。何年もの人生を受験にかけてしまったのだから、今更受験生を辞めるのも踏ん切りがつかず、また浪人を繰り返す。

 

こうして元はフレッシュだった彼らは疲れてしまい、外からみると理解できない不思議な何かへと化す。

こうなると、もう医学部にはまず合格できない。とはいえプライドがあるので医学部受験をやめるにもやめられない。哀れである。

 

「俺はこんなにも医学部に入りたいし、他の奴らよりも人の痛みがわかるのだから医者に向いているはずだ。それなのになぜ天は我を医学部にいれないのか」

といった事をいうのだけど、残念ながらどうにもならない。

 

これは非常に大切な事なので念を押しておきたいのだけど、そういう精神論でしか自分を擁護できなくなってしまったとき、人は終わる。

人の痛みがわかるだとか、思いが強いとか、そういう観念的な何かはただのワガママを綺麗事に並べ立てたものでしかなく、勝てない人間のただのいいわけである。

 

願望だけで夢が自然に叶うほど、世の中は甘くない。

強く願うだけで全てが叶うのならば、僕は今頃美女を侍らせて美酒に酔いしれているはずなのだが、残念ながらこれを書いている今現在、しょーもない発泡酒を片手に1人で寂しくパソコンのキーを叩いている。

夢に向かって熱く語りかけても、夢は僕達に何も語り返してこない。

本当に夢を叶えたいのならば、情熱とか精神論はそっとどこかに置いて、ただ淡々と相手が求めるもののみに集中する必要がある。逆に言えば、必要な事はたったそれだけである。

 

 

ここまで読んで「説教くさい」と思った人も結構な数いると思う。

ただ、現実として「受験勉強」の魔物にのまれるとどうなるのかは、下のようなブログにリアルに綴られている。

昭和42年生まれ元司法浪人無職童貞職歴無しの赤裸々ブログ

15歳ですでに人生が終わってしまったのだ。もし可能ならあの頃に戻りたい。あの頃に戻って、自分の夢をかなえたい。自分の夢をかなえて、スタートラインに立ちたい。

他の多くの人間と一緒に、人生のスタートラインに立ちたいと思う。

「やればできる」なんて大嘘、必要なのはやめる勇気。司法試験に20代の9年間を費やしたからこそ言えること。

私は司法試験に落ちたこと自体は後悔していません。司法試験は偏差値方式で得点を算出するのでひとつ失敗すると総合で合格点に持っていくのが難しい試験なので「受験1回目の公法系で受験3回目の公法系の成績取れてたら受かったのにー!」「もし当初の予定通りの合格者数だったらぎりぎり受かっていたかもしれないのにー!」と落ちた当初は悔しく思うこともありましたが、手が震えて右手の中指が膨れ上がるほど勉強しても受からなかったので、まあ仕方ないなと受け入れています。

私が今でも後悔していることはひとつだけ。
それは「司法試験のチャレンジを途中で止めなかったこと」です。

3年以上受験勉強をやるというのなら、相応の“覚悟”を持ってやるべきだ。

 

人間、負けを認めるのは辛い。当然ながら、負けるのが好きなやつなんていない。撤退を決意するのは、非常に辛い決断だ。

だけどそれ以上に、普通じゃない何かになる事の方が、普通の人にとっては後々になって何よりも辛い現実となる。

 

3年で撤退すれば、ギリギリ新卒で卒業できる。新卒で卒業さえできれば、普通の人生のルートにのれる。

普通になれる可能性がある事は非常に素晴らしい。普通じゃない人生は本当にウルトラハードモードだ。その道を力強く歩める人は、ほとんどいない。

 

駄目だった時、しっかりと諦めて新しい道にチャレンジする勇気さえあれば、失敗も良い思い出となる。

けど諦めないで夢を追いかけ続けると、夢に人生が壊される。たかだか夢なんかにあなたの大切な人生を壊させるだなんて絶対に許してはならない。

 

勇気ある撤退は褒められるべき決断だ。きっとその英断は、あなたに次の勝利のチャンスをもたらす。

医学部受験が駄目でも、他の場所で勝負して勝てばいいではないか。人生は長い。壊さなければ、いつかきっと次のチャンスはくる。

「勝つまでやれば最後には勝つ」というのは、一つの場所ではなく、いろんな場所で勝負する人にだけ訪れる言葉である。

 

今回負けても、次の勝負で勝てばいいのだ。

かのスティーブ・ジョブズだって人生で何度も負け続けたが、最後の最後に勝った。

それは負けをしっかり認めて、次の活動に移ったからに他ならない。最初にアップルを追い出された時に、負けを認めずにいつまでたっても醜く執着していたら、きっとその後の見事な返り咲きは起きなかっただろう。

 

人生万事塞翁が馬である。お互いこの事をしっかり心に刻み込んで、頑張っていこうではありませんか。

 

 

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(文責-ティネクト株式会社 取締役 倉増京平)

 

【プロフィール】

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高須賀

都内で勤務医としてまったり生活中。

趣味はおいしいレストラン開拓とワインと読書です。

twitter:takasuka_toki ブログ→ 珈琲をゴクゴク呑むように

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(Photo:Xavi)