会社員でも、起業家でも、フリーランサーであっても多くの人が抱える共通の悩みが1つある。
それは「悩みを相談できる人がいない」という悩みだ。
仕事で悩んでいる、でも上司には言えない。こんなことを言ったら「弱音は聞きたくない」と言われるかもしれないし、評価に悪影響があるかもしれない。
かと言って配偶者やパートナーに相談しても、ビジネスの感覚が違ったり、状況を理解してもらえなかったりして、
「そんなに気にすることないじゃない」という程度のアドバイスしかもらえない。
それでは友達に相談しよう、と思っても、「弱みを見せたくない」や「自分の話なんてつまらないので迷惑だろう」とそれも躊躇してしまう。
そんな風に
「抱えっぱなしで話せない」まま、フラストレーションを抱えて働き続ける方をよく見た。
しかし、そんな状況は辛いものだ。だから「相談相手の探し方」のノウハウに飢えている方は多い。
知人が「メンター」についての記事を書いた時「メンターって、どうやって探せばいいんですか?」という質問が数多く寄せられたということからもそれがわかる。
しかし、である。
大体の場合において、そのような状況は「周りに適切な人がいない」のではなく、「自らが作り出している」というケースもまた多い。「結婚相手が見つからない」と言いつつ、その実は「自分に原因がある」ケースがあるのと全く同じである。
つまり「悩みを相談できる人がいない」のではなく、「悩みを相談するのがヘタ」な場合が数多くあるのだ。悩みを相談するのがヘタだと、周りにどんな良い人がいても、「相談できる人がいない」と感じてしまう。
では「相談ベタ」はどのように直せばよいのだろうか。
これは、私のかつての先輩の話が役に立つだろう。
私が仕事で行き詰まっているのに、相談しないことに心配をした先輩が、私にアドバイスをくれた時の話だ。
「相談がヘタな奴って、どんなやつだと思う?」
「……なんとも言えないんですが、自分をさらけ出せない人とかでしょうか……?私、自分のことを話すのが苦手なんですよ。」
「残念!違います。」
「え……。」
「自分をさらけ出せる人なんて、滅多にいないって。それが相談できる人の条件だったら、ハードルが高すぎるよ。」
「……うーん……。」
「プライドが高い、とか?それを言われると痛いですけど。」
「プライドが高くても、相談がうまい人はたくさんいるよ。」
「そうですか?」
「社長だっていろいろな人に相談してるじゃない。でもプライドは高いと思うよ。」
「なるほど……。では友だちが多い、とか?」
「友達が多いか少ないかも重要じゃないよ。」
「……ギブアップです。さっぱりわかりません。」
私は検討もつかなかった。
そこで先輩は言った。
「相談ベタってのはね、悩みがはっきりしないと相談してはいけない、と思う人のことだよ。」
「悩みがはっきりしないと……?」
「例えば、仕事のことでなんとなくモヤモヤしているとする。でも、何でモヤモヤしているのかわからない。そんな状態ない?」
「あります。」
「そこですぐにだれか捕まえて、相談しちゃうのが「相談上手」。」
私は即反論した。
「そんなの迷惑じゃないですか。悩みがよくわからないのに相談したら、時間ばかりかかって一向に解決しないですよ。相談するなら、何を相談したら良いかをまとめて、自分の中で課題をはっきりさせておかないと。」
先輩は首を振った。
「違うね、それは相談じゃない。それは会議だ。」
「かいぎ。」
「そう。会議。相談ってのは、もっとアバウトなんだよ。モヤモヤっとして、何が課題なのかもわからない、でも悩んでいることはわかる。そんな時にとりあえず誰かに話してアウトプットしてみる。それが相談。」
「相談を受ける方も大変ですね。」
「そう。裏を返すと、相談したい内容がはっきりしていないと嫌な顔をする人には、相談しちゃいけない。その人は問題を解決してドヤ顔したいだけだから。」
「……。」
私は確かにその時、自分が「相談ベタ」であることを自覚した。
そして人の相談を受けるのがヘタであった事実も合わせて知った。
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
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<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
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2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
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3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)
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