当たり前の話かも知れないんですが。

この記事の内容を四行でまとめると、以下のような感じになります。
・世の中に「趣味蔑視」というものは実際にあるんだなあと思いました

・当たり前のことだと思うんですが、子どもが自分で選んだ趣味を、親が「矯正」するということについては、私は全く賛同できません

・法やモラルやTPOに反した行為をするかどうかは上記とは全然別の話で、それを止めるのは教育の内です

・子どもには、自分のしたいことを自分で見つけて欲しい。であれば、子どもが選んだ「やりたいこと」は最大限尊重するべきだ、と私は思うのです
よろしくお願いします。

ということで、書きたいことは最初に書いてしまったので、以下ざっくばらんに補足してみます。

 
長男、9歳。小学三年生。下には4歳・幼稚園年中の双子姉妹がおりまして、パパに「こどもリーダー」に任命された長男は、日々双子姉妹のおにいちゃんであり続けてくれています。大変頑張っていると思います。
で、彼の一番の趣味は「プラレールと電車」でありまして、いろんな種類のプラレールとレゴを組み合わせて渋谷駅を再現したりであるとか、なにやらパパっとレイアウトを作ってしまったりであるとか、母型の祖父に寝台車旅行に連れていってもらって大喜びしたりであるとか、清く正しい電車好き少年としてすくすくと成長しております。

プラレール

写真は、某プラレールハウスにおいて彼が20分くらいで作ってしまったプラレールの路線。私はプラレール素人なので良くは分からないんですが、素人目にもなかなかのレイアウトであるように思えます。この後、年少の子たちがわらわらと遊ばせてもらいに来て大変そうでした。
で。

とある飲み会で、仕事関係の人と飲んでいました。彼のことを、仮にAさんとします。

Aさんに上のような話をしていたところ、
「小3にもなったらそろそろプラレールやめさせた方がいいよ、鉄オタになっちゃうよ」
と、タイトル通りのことを言われました。取り敢えず、その場は
「仮にそうなったとして、本人が選んだ趣味だったら尊重するしサポートしますよ」
とだけ答えはしたんですが。この言葉を投げかけられた時、私は端的に言ってびっくりしました。
一つは、今の時代にもまだ、こんなにも明確な趣味蔑視の意識を持っている人がいるものなのか、ということ。

もう一つは、子どもに対して「自分の力で生きられるようになって欲しい」と言うのに、それと同じ口で、「子どもが自分で選んだ趣味を親がやめさせる」なんていう発想が出てくるのか、ということ。

 
Aさんとしては、恐らく善意で言ってくれたんだろうと思うんですよ。

Aさんは、お子さんにサッカーとバイオリンをやらせてあげているそうです。サッカーは運動にもなるし、バイオリンは手先が器用になるし、音楽的素養が育つし、教養にもなる。

そういう「スポーツ少年らしい」あるいは「将来役に立つ」趣味を子どもが持ってくれれば、それは「良いこと」なのかもしれません(実は長男も、サッカークラブに入りたがって一応所属してはいるんですが、そこまで真剣にはやってません)

 

もちろん、サッカーやバイオリンが悪いという話では全くありません。それが押しつけだとすら思いません。当初、子どもはそういう「趣味」自体の存在を知らないわけで、いろんな趣味を見せてあげて、最初の内は選んであげて、ってことだって多分必要なんでしょう。

ただ、それらと比して「電車とプラレール」が後回しにされるべきものだとは、私にはどうも思えないのです。

 

子どもに、「将来やりたいこと」を見つけて欲しいですか?と聞かれれば、多分大抵の親御さんが「はい」と答えると思います。「自分でやりたいことを見つけられる」人に育って欲しいですか?と聞かれれば、同じく大抵の親御さんが「はい」と答えると思います。
ところが、子どもがまさに自分で「やりたい趣味」を見つけた時、どうもそれを無条件で尊重出来る親御さんは多数派ではないように思います。例えばそれがゲームであったり、漫画であったり、アニメであった場合、それを「趣味」として認められる親御さん、どれくらいいるんでしょうか。

それって、「やりたいことを見つけられる人になる」という方向からすると、はっきりと矛盾しているんじゃないのかなあ、と。

 

一つ断っておきたいんですが、「子どものやりたいことであれば何でも、いくらでもさせていい、させるべき」という話ではないですよ。

「やっちゃいけないこと」については「やっちゃいけない」と教えないといけないですし、やり過ぎるとよくないことであれば「やり過ぎちゃいけない」と教えないといけないですし、それは教育の責任であり、親の責任でもあります。

 
先ほどの飲み会の話で、タイトルの言葉を言ったAさんが、「進入禁止のところに入って写真をとったりする、モラルのかけらもない迷惑な鉄道ファン」のことを「鉄道オタ」としてイメージしていたのだろう、ということは、私にもなんとなく分かります。
もし、「そういう迷惑な鉄道ファンみたいになってもいいのか」と言われたら、私の答えは「いい訳ないでしょう何言ってるんですか」になります。

それは、「法やモラルに反することをしてはいけません」という教育によって防止するべき話であり、親がしなくてはいけないしつけ、教育の内です。それと「子どもの選んだ趣味を尊重する」というのは全然別の話であり、全く矛盾することではありません。
「迷惑な鉄道ファン」になるのを防ぎたいのであれば、それは「迷惑なことをしてはいけないですよ」と教えることで防ぐべきです。そこを、「根こそぎその趣味をやめさせる」という方向で防ごうとするのは、私にはどうもよろしくないことのように思えます。
「自分が選んだ趣味に主体的に向き合う」ことが出来てこそ、自分の人生に主体的に向き合うことに寄与するんじゃないかなあ、と。

 
うちの長男について言えば、彼は「プラレールと電車」を一番の趣味にしながらも、スプラトゥーンもやりますし、カードゲームやボードゲームもやりますし、本も読みますし、レゴもやりますし、サッカーもやりますし、鬼ごっこもやりますし、色々な「自分のやりたいこと」を模索しようとしているように見ます。

そんな中、彼は最終的に何を選びとるのかなあ、と。それは、私にとって一つの楽しみでもあります。
彼が選んだのが何であろうと、モラルやTPOについては最低限助言をしつつ、彼の「やりたいこと」を引き続き最大限尊重して、サポートしていければいいなあ、などと思うわけです。
今日書きたいことはそれくらいです。

 

【お知らせ】
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第6回目のお知らせ。


<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>

第6回 地方創生×事業再生

再生現場のリアルから見えた、“経営企画”の本質とは

【日時】 2025年7月30日(水曜日)19:00–21:00
【ご視聴方法】
ティネクト本音オンラインラジオ会員登録ページよりご登録ください。ご登録後に視聴リンクをお送りいたします。
当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。

【今回のトーク概要】
  • 0. オープニング(5分)
    自己紹介とテーマ提示:「地方創生 × 事業再生」=「実行できる経営企画」
  • 1. 事業再生の現場から(20分)
    保育事業再生のリアル/行政交渉/人材難/資金繰り/制度整備の具体例
  • 2. 地方創生と事業再生(10分)
    再生支援は地方創生の基礎。経営の“仕組み”の欠如が疲弊を生む
  • 3. 一般論としての「経営企画」とは(5分)
    経営戦略・KPI設計・IRなど中小企業とのギャップを解説
  • 4. 中小企業における経営企画の翻訳(10分)
    「当たり前を実行可能な形に翻訳する」方法論
  • 5. 経営企画の三原則(5分)
    数字を見える化/仕組みで回す/翻訳して実行する
  • 6. まとめ(5分)
    経営企画は中小企業の“未来をつくる技術”

【ゲスト】
鍵政 達也(かぎまさ たつや)氏
ExePro Partner代表 経営コンサルタント
兵庫県神戸市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。3児の父。
高校三年生まで「理系」として過ごすも、自身の理系としての将来に魅力を感じなくなり、好きだった数学で受験が可能な経済学部に進学。大学生活では飲食業のアルバイトで「商売」の面白さに気付き調理師免許を取得するまでのめり込む。
卒業後、株式会社船井総合研究所にて中小企業の経営コンサルティング業務(メインクライアントは飲食業、保育サービス業など)に従事。日本全国への出張や上海子会社でのプロジェクトマネジメントなど1年で休みが数日という日々を過ごす。
株式会社日本総合研究所(三井住友FG)に転職し、スタートアップ支援、新規事業開発支援、業務改革支援、ビジネスデューデリジェンスなどの中堅~大企業向けコンサルティング業務に従事。
その後、事業承継・再生案件において保育所運営会社の代表取締役に就任し、事業再生を行う。賞与未払いの倒産寸前の状況から4年で売上2倍・黒字化を達成。
現在は、再建企業の取締役として経営企画業務を担当する傍ら、経営コンサルタント×経営者の経験を活かして、経営の「見える化」と「やるべきごとの言語化」と実行の伴走支援を行うコンサルタントとして活動している。

【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
ご視聴登録は こちらのリンク からお願いします。

(2025/7/14更新)

 

【プロフィール】

著者名:しんざき ←名前をクリックすると記事一覧が表示されます

SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。
レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて
書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。

ブログ:不倒城