企業の社会的責任、という言葉がある。CSR、という言葉でご存じの方もいるかもしれない。

 

企業の社会的責任とは、wikipediaによれば、

”企業が利益を追求するだけでなく、組織活動が社会へ与える影響に責任をもち、あらゆるステークホルダー(利害関係者:消費者、投資家等、及び社会全体)からの要求に対して適切な意思決定をすることを指す。 ”

 

という定義になっているが、その実際の解釈は様々である。

発展途上国へ寄付を行ったり、学校へ援助を行ったり、あるいは、そういった一般的な認識の社会貢献ではなく、「ちゃんと存続して雇用を生み出し、税金を払うことが社会的責任だ」という人もいる。

いずれの認識もまちがってはいない。

しかし、企業がどう思おうと、社会が「悪である」というイメージを持てば、企業は制裁を受けることになる。

 

では、その基準はどこに線引されるものなのか。

みずほ銀行の暴力団への融資は、「社会的責任」を果たしていないのだろうか。

小学生にLINEが氾濫していることは、問題なのだろうか。

ソーシャルゲームが射幸心を煽るのは、どうだろう。

タバコを販売する企業は、悪なのか。麻薬と何が違うのか。

書籍の電子化を手伝う、いわゆる「自炊」は、違法だという東京地裁の判決は、正しいのか。

 

 

これらに対して、いわゆる「簡単な答え」は用意できない。「法律が未整備」である場合もある。「ビジネスとして大きくするためには、グレーかどうかを気にしていられない」という場合もある。もちろん、「違法」という判決が出ても、議論が必要なケースも有る。

だから、簡単に答えが出ないケースは、その都度解決をするしか無い。利害関係が増えれば増えるほど、解決には時間が掛かるが、最終的には企業に決定権はない。社会が決める。

 

かつては大気汚染などの公害ですら、「経済成長にはやむを得ない」とされた時代もあったが、今はそういった時代ではない。いずれ判断は下される。

しかし、そういった判断をまたず、企業は倫理観をどうやって保てばいいのか。常に裁判になるようなことは企業も避けたいはずだ。

 

個人的に正解にかなり近いと思う考え方が一つある。

ピーター・ドラッカーは、「企業の社会的責任」に関して一つのことを言っている。

 

ドラッカーは、CSR活動といったような何か特別な活動をする必要はない、という。

彼が述べる、「社会的責任を果たしていない企業」は次の通り。

 

1.本業で成果をあげることが出来ていない

2.人材を活き活きと働かせることが出来ていない

3.プロとしての倫理観がない。すなわち、ヒポクラテスの誓いに背く行動をしていること。要は、「知りながら害をなす」行動をとっている

 

シンプルながら、社会的責任の本質を突いているのではないだろうか。

 

 

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安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
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(2025/6/2更新)