20世紀の工業化時代とともに日本に根づいた「新卒一括採用」が静かに崩れつつあると最近感じる。

理由は、「インターン採用」の増加だ。

 

実際、リクルートキャリアの調べでも、インターン実施企業は近年特に増えている。

新卒採用を実施している企業のうち、2015年度にインターンシップを実施した(予定含む)企業は59.5%と、2014年度の49.9%より9.6ポイント増加した。また、2016年度に実施予定の企業は61.1%と、2015年度よりも1.6ポイント増加する見通しである。

【2016年卒学生のインターンシップへの参加状況】<学生>
・ 2016年卒学生のうち、インターンシップ参加者は39.9%と、2015年卒よりも13.0ポイント増加した。

【内定者のインターンシップ参加状況、インターンシップ参加企業への入社状況】
・ 企業の2016年卒の内定者の中に、インターンシップ参加者がいたかどうかについて、参加者がいたのは66.5%で、前年よりも20.1ポイント増加。また、そもそも採用目的として実施しているのは19.9%と、前年よりも9.0ポイント増加した。

(リクルートキャリア調べ)

新卒採用に携わる方であれば、「就職協定」は既に形骸化しており、インターンから事実上の就活が始まっていることを知らない方はいないだろう。

 

 

例えば、ある会社は、数年前から「インターン生」の中からの採用が、過半数を占めるようになった。

「今後はインターンからの採用を100%にしたい」と、人事は言う。

 

彼らが行っているインターンプログラムの内容は非常にシンプルである。

まず、「新人になったらやるであろう」仕事に関連する、幾つかの課題を与える。

難易度は簡単なものから、かなり難しいものまで様々であるが、特に人事が注目しているのは「難しい課題に直面したときにどう行動するか」である。

 

人事によると、参加者は2タイプにかなりはっきりと別れるという。

 

1つのタイプは、概ね以下のような行動をとる「できない学生」

・早々に諦めてしまう

・課題が悪い、情報が足りないなど、「環境に文句を言う」

・手が止まってしまって、納期通りに仕事ができない

 

そして、もう1つは以下のような行動を取る「できる学生」

・難しい課題ほど楽しそうにやる

・足りない情報は「仮説」を立て、補完する

・自分では難しいと判断した場所を早めに聞いてくる

 

 

この課題は「頭の良さ」を問うものではなく、努力と工夫で誰でも解決可能なものを設定していると人事は言う。

実際、「学歴」と「できる・できない」はあまり相関はないそうだ。

その代わり、「失敗経験の有無」とは非常に強い相関があるという。

 

インターンの選考を行う時、

「人生において手痛い失敗をしたことがありますか?それはなんですか?」

という質問に対して、具体的で、深い挫折がある人ほど、粘り強さを持っているそうだ。

 

結局、彼らの出した現在のところの結論は、

「粘り強さ」

「環境のせいにしない」

「他者の力を借りるコミュニケーション能力」

 

を兼ね備えた新卒が、「最高の人材」であり、面接をするよりもインターンを通じて仕事をやらせたほうが、遥かに多くのことがわかると人事は言う。

 

————–

 

「ブリュードッグ」という、スコットランドの地ビールメーカーがある。

2007年創業と若い会社であるが、その品質の良さと、型破りなマーケティング手法であっという間にトップメーカーの仲間入りをし、グローバルに展開をしている極めて優れた会社である。

 

彼らが最も重視する仕事の1つ「採用」に関して、創業者のジェームズ・ワットはこんなことを言っている。*1

本物なのか、見掛け倒しなのか確信が持てないようなら、テストコースを走らせてみたらいい。車を買う前に試乗するのと同じだ。試すだけ試してクビにするという意味ではない。

小さなプロジェクトを任せ、週末や夕方に来てもらえばいい。働きぶりや、会社になじめるかや、一緒にうまく仕事ができるかを確かめるのに文句なしの方法だ。

これは中途採用の話ではあるが、海外では「新卒採用」という慣行はなく、学生であればインターンでスキルを付けてもらって、「能力的に問題なし」と判断されたら入社を許される、ということが普通だ。

 

 

冒頭にも述べたが、元来「新卒一括採用」は、工場における単純労働力を確保するための試みであり、現在のような知識労働社会にはそぐわない面も多い。

端的に言ってしまえば、「頭ではなく、手がほしい」という企業のためのものだからだ。

 

したがって、静かに「新卒一括採用」が崩れつつあるのは決して偶然ではない。インターンなどの試用によって、「無能な社員になる可能性の高い人物」を排除するのは当然の成り行きなのだ。

 

世の中は合理的に動く。もちろん採用も例外ではない、と思った次第である。

 

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(2026/9/17更新)

 

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