最近、香川県東かがわ市という街で行われた地方創生を目的とするビジコンに参加した。

テーマは「香川県東かがわ市の産業リソースを活用して地域の課題を解決する持続可能なビジネスプランを創出せよ」だ。

知る人はほとんどいないと思うが、東かがわ市は手袋産業が活発で日本の手袋の90%を東かがわ市の企業が生産しているというのだから驚きだ。

 

とはいえ暖冬の影響や安価な輸入製品の台頭、生産拠点が多い中国のコスト上昇などのために、東かがわ市の手袋産業の売り上げはピーク時の約半分にまで減少している。

また東かがわ市の手袋産業はそのほとんどがOEM(相手先のブランドによる生産)を主としているために収益は低い。

 

手袋産業を復活させ、東かがわ市を活性化するためにはどうすれば良いのか。

 

現地入りする前にビジネスプランを考えるという宿題が運営側から参加者に課された。私は地方創生に関する文献や東かがわ市のデータを分析して必死に考えた。

 

そこで私が考えたのは「独自のブランドで手袋を製造し、ECサイトで販売する」というビジネスプランだ。

 

東かがわ市の手袋産業が衰退しているのはその強みを活かせていないからだ、もっとマーケティングやプロモーションに本腰を入れて取り組むべきだと結論付けた。

 

今思い出すと、非常に浅い考えだったと反省している。

 

私は事前に考案したビジネスプランを手に東かがわ市を訪れた。

1日目の夜には日本手袋工業組合の理事や市長など、多くの地元の方々と話をした。

 

ここで私の浅い考えはいとも簡単に淘汰されることとなる。

 

東かがわ市ではすでに独自のブランド「香川手袋」を製造・販売していたのだ。東かがわ市の手袋産業が手を組み、東かがわ市の手袋をブランドにしようという試みで、ベンチマークにしているのはあの「今治タオル」だという。

 「香川手袋」のブランディングにはブランドプロデューサーまでつけ、本腰を入れてマーケティングやプロモーションに取り組んでいた。

 それだけではない。多くの企業が自社ECサイトまで作成していた。

 

つまり、やれることは全てやっていたのだ。

 

なぜここまで本腰を入れているにもかかわらず、東かがわ市の手袋はブランドとして認知されていないのかが私には疑問で仕方なかった。

このビジコンは4日間という非常に短い期間で行われたため、私は1日目からビジネスプランの立て直しに奔走した。

 

しかしながら、具体的な解決案はなかなか浮かんではこない。

頭の中だけで考えていてはダメだと感じた私は「まずは東かがわ市の手袋産業が持つ強みを明確に把握する必要がある。」と考えた。

そこで東かがわ市のとあるハンドバックメーカーの社員さんにインタビューをすることにした。

 

そのハンドバックメーカーは数十年前に手袋製造に取り組んでいたが、手袋産業の衰退を受けて事業をハンドバックメーカーにピボットした企業だ。 

私はその社員さんに率直に尋ねてみることにした。

 

私「東かがわ市の手袋産業が持つ強みって何だと思いますか?」

社員さん「東かがわ市の手袋産業が持つ強みかー。僕は強みはそもそも無いと思う。

強いて言うなら、“作れること”ぐらいかな。」

 

私は想定外の答えに拍子抜けしてしまった。強みが無いとは一体どういうことなのか、これだけ東かがわ市の手袋産業は有名じゃないか、と心の中で思った。社員さんは続ける。

 

社員さん「手袋が栄えた街という生産背景があるだけだと思う。」

 

私はここでやっと自身の頭の中を整理することができた。東かがわ市の手袋産業がなぜ復活できないのかも理解した。

 

 東かがわ市の手袋産業は強みをうまく活かせていないわけじゃない。マーケティングやプロモーションにだって本腰を入れて取り組んでいる。

なのになぜ、復活できないのか・・。その理由はすでに明らかだ。

 

そう、東かがわ市の手袋産業には強みなんてそもそも無かったんだ。

 

強いて言うなら、“作れること”が強み。作れることが強みだからこそ、これまでOEM生産を主に日本の手袋製造の90%を占めるまでになった。

 

このビジコンにはソフトバンクやリクルートの社員の方々がメンターとして参加してくださっており、私のビジネスプランに何度もアドバイスをくれた。 

この4日間というビジコンの期間中に彼らに10回以上投げかけられた問いがある。

 

「そのビジネスプランの強みは何ですか?」

 

この問いには最後までうまく答えられなかった。正直なところ、この問いを投げかけられるたびに本当にしつこいなとも思っていた。

しかし終わってみると、ビジネスをしていく上でこの問いがどれだけ重要なのかに気づいた。

 

最近では地方創生の代表例に挙げられることも多いのが今治タオルだ。今治タオルは“先晒し先染め”という伝統的な製造手法を用いて、綿糸が本来持っている柔らかさを引き出せるという強みがある。

 

つまり地方創生の成功モデルは強みをうまく活かせているということだ。当然ながら、地方創生に限らずに強みがないビジネスは決して勝ち抜くことができないだろう。

皆さんもビジネスをしていく上で、しつこく自分に向けて問い続けて欲しい。

 

「そのビジネスプランの強みは何ですか?」

 

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システム開発やITコンサルティングを経て、
外資系製薬企業で15年以上のITビジネスパートナーとして人事からコマーシャル、 メディカルなど製薬企業の様々な分野のプロジェクトに携わる。
現在はネクセラファーマ株式会社で、システムだけではなく、企業風土改革や業務改善をリードし、
日本発グローバルバイオ製薬企業にむけて、同社の成長基盤の構築に尽力している。

岡田 雄太(ワークワンダース株式会社 CTO)
野村総合研究所に新卒入社後、証券総合バックオフィスシステムやオンライントレードシステムなどの開発に従事。
その後、8 Securities(現SoFi Hong Kong)へ出向し、日本人唯一のエンジニアとして国際的なプロジェクトに携わる。
BOOSTRYでは信託銀行向けSaaSの立ち上げと成長を牽引。
WiseVineではCTOとして開発組織を30名規模に拡大し、プロダクト開発を推進。
2025年4月よりワークワンダース株式会社CTOに就任。AI活用を中心とした開発支援をリードする。


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(2026/01/19更新)

 

【プロフィール】

小貫 将太(Shota Onuki)

1995年茨城県生まれ。大学では新興国の経済発展について学ぶ。留学・海外転職を支援するスタートアップでマーケティング(インターン)に従事。スペシャリティコーヒーとクラフトビールを好む。

個人ブログ→ ONUKICHI.COM