啓蒙とは何か 他四篇 (岩波文庫 青625-2)誰しも自分の所属する組織において、「不合理である」というルールを経験したことがあるだろう。

 

「なぜ、わざわざ報告が必要なのか。どうせ上司は報告など聞いていないのに」

「なぜ、わざわざ承認が必要なのか、どうせ見ないで判子をついているのに」

「なぜ、わざわざ書類が必要なのか、何の役にも立たないのに」

 

こういったルールは生産性を下げるばかりか、従業員のやる気を損なう場合がある。そして、時に従業員たちはこのルールを「無視する」事によってそれに反抗する。

こうして組織には「有名無実のルール」が増え、結果的にどのようなルールも「個人の主観によって判断される」という状態が出来上がる。

残念ながら、それは多くの人の望む状態とは異なるだろう。そういった状態に陥る前に何とかしなくてはいけない。

 

さて、このような状態に対して「経営者」は、2種類の判断の選択肢がある。

「悪法も法」になぞらえて、「ルールはルールなのだから守れ」という人物、そして、「実際に役立つものなら守ろう」という実用主義的な立場を取る人物だ。

どちらが望ましいのだろうか。

 

これに対して、哲学者のイマヌエル・カントはその著作「啓蒙とは何か」の中でそういった事象に触れている。

カントの主張は唯一つである。経営者は社員にこう言うべきである。

 

「君たちはいくらでも、また何事についても意のままに論議せよ、ただし服従せよ!」

 

そのルールについての批判や、提案については好きなだけ、何を言ってもよい。しかし、ルールがルールである間は必ず守るベし、というのだ。

彼はその理由をこのように述べる。

「社長(立法者)の威望は、社員(国民)の総意を自分の思惑と統合することで作られるからだ」

 

社長はそのルールに従う社員たちの意見を吸い上げなくてはならない。

また、社員は自由な議論の場では闊達な意見交換をしてよいが、ルールには服従する。そういった基本的な振る舞いは、200年も前から変わらず推奨されている。

 

 

 

啓蒙とは何か 他四篇 (岩波文庫 青625-2)

啓蒙とは何か 他四篇 (岩波文庫 青625-2)

  • カント,篠田 英雄
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・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう

【登壇者紹介】

安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00

参加費:無料
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(2025/6/2更新)