会社の飲み会、という儀式がある。皆でワイワイやるのが好きな人もいれば、大勢が一堂に会する席が苦手な人もいる。
前の職場では年に何回か、「参加必須」という宴会があり、やはり楽しんでいる人と、そうではない人がいた。
その宴会であるが、世の中一般的に見ても、やはり「好きな人」と、「そうでない人」がいるようである。
”職場の飲み会を「好き」と答えた人は55%で、「嫌い」と答えた人は45%。わずかに「好き」と答えた人が上回ったが、ほとんど半々だ。2人に1人が「嫌だなぁ」と思っているのである。
職場の半分の人が飲み会を「嫌い」と考えているとすると、飲み会をやる意義はあるのだろうか。「うちの部署の飲み会って好き?」と聞かれて「嫌い!」といっても約半数の人から賛同が得られるわけである。みんなが本当に楽しく、有意義と感じる飲み会は少ないのかもしれない。
年齢別で「好き」と答えた割合が最も多かったのは50~54歳。多くが職場で権力を持ち、飲み会でもおだてられることが多いこの年代は、「気持ちのよい」飲み会となっているのだろうか。63%の人が「好き」と答えている。
意外かもしれないが、次に「好き」の割合が多かったのは、20代(62%)だった。若手にとって飲み会は、「上司の本音を聞き出せる」「普段話せない人とコミュニケーションが取れる」と得られる利点が多い。「役に立つ=好き」という観点で飲み会をとらえているようだ。
一方で40代(40~44歳、45~49歳のグループ)は、どちらも「好き」の割合が半数以下となった。これはなぜか。
この年代が職場の飲み会を嫌う理由では、「飲み会でも上司に気を使って会話をしなければならない」「子供のために早く帰りたいのに遅くまで付き合わされる」という声が多かった。
40代のビジネスパーソンは、職場では中間管理職として上と下から板ばさみに遭い、家では「子供のためにも早く帰ってきてよ」と嫌味を言われるつらい立場である。気使いと時間を消費する職場の飲み会を嫌っても仕方がないのかもしれない。”
だが、多くの人は職場の飲み会が嫌いでも、「参加せざるを得ない」と思っているようである。
”嫌い」と答えている人は、どれだけ我慢して参加しているのだろうか。実は、「嫌い」と答えている人でも、半数近い46%の人は「ほぼ参加している」。アンケートの自由記入欄に、「仕方がなく」や「嫌々だが」という言葉が目立っていたのもうなずける。”
多くの人は宴会を、「会社の行事」として捉えており、出席しなければ出世に影響する、と考えているのだろう。
データにもあるが、個人的に多くの会社を見て来て思うのは、「飲み会を重視する人は結構多い」ということだ。飲み会での態度、気の使い方、上司への売り込みなど、飲み会で社員に要求されることは結構多いように思う。
「無礼講で」という人もいるが、多くの人はそのように考えてはいない。
私は飲み会での振る舞いについて、かつて上司から「社内の飲み会できちんと気を使えない人は、社外で同じことが出来ない」と言われたこともある。「子供じゃないんだから、社外ではきちんとやると思いますよ」と言いたかったが、まあ、人はいろいろ余計なことを思うのである。
が、この手の話は昔からあったようである。ピーター・ドラッカーは著作「明日を支配するもの」でこのように書いている。
”伝えられるところによれば、ヨーロッパで今世紀初めに最も尊敬されていた外交官は、当時の駐英ドイツ大使だった。やがては母国の外務大臣か首相かと目されていた。
ところが、1906年、突然辞任した。国王の戴冠5年を記念して、外交団が大晩餐会を開くことになり、ロンドン駐轄が5年に達し、外交団の代表を勤めていたそのドイツ大使は、ホスト役をつとめることになった。
女好きで有名だった国王エドワード7世からは、晩餐会に趣向を凝らすようにと意向が内々に伝えられた。デザートの後、灯りを薄暗くし、コールガールが10人ほど巨大なケーキから裸で飛び出すようにしてもらいたいとのことだった。
この大使は、晩餐会のホスト役を逃れるために大使を辞任した。翌朝、髭を剃る時、客引きの顔など見たくないとのことだった。”
つまり、飲み会で芸を強要されたり、酒を注ぐことを求められたり、ということに応じるかどうかは、その人の価値観に係る問題だ。
同じように、上司におべっかを使って気に入られよう。出世のためには特に構わない、と割りきって飲み会に参加するかどうかは本人の自由裁量に委ねられている。
だから、そういった飲み会が苦手な新人に「飲み会には言ったほうが良いですか?」とか、「上司に誘われたら飲みに行ったほうが良いですか?」と聞かれれば、私は「出世したいなら」、あるいは「好きなら」と回答するようにしている。
会社には飲み会が好きな人が半分はいるのだ。敵に回しても仕方がない。
が、かと言って価値観をねじ曲げて働くのも長続きしない。「何回か我慢して参加してみたけれど、飲み会が嫌でしょうがないんです」という人には、違う組織で仕事をすることをお勧めする。
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