何か月か前の話で申し訳ないんですけど、「まなめはうす」のまなめさんっていう、コーラばっかり飲んでる変な人がこんな記事書いてたんです。
そう思う私だからこそ、部下には学ぶ時間さえ与えれば成長できると思って、業務を進めなくてはいけない立場でありながらも、可能な限り時間をつくってあげたんですよ。
部下になった時点で数か月後には別のPJに異動することも決まってたこともあって、そのための準備とかスキルアップとか必要と思って。
結論から言うと、私が作ってあげた時間は無駄に終わり、後日本人からも、もっと仕事をふって欲しかったと言われたのですが。
これ、実は私も同じようなことしちゃった、正確にはしかけちゃった経験があるんですよ。
前の会社の時の話なんですけどね。
その会社って、あるプロジェクトが終わると即他のプロジェクトにアサインされて、「隙間の時間」的なものが本当に全然なかったんです。
あっちで火消しが終わったと思ったら、次はこっちでフル稼働、それが終わったら取り敢えずこっちのプロジェクト入ってね、みたいなのがごく普通だった。
どこの会社もそうなのかも知れませんが。
自分で人を管理するようになって分かったんですけど、基本「隙間の時間」というものは「作っちゃいけないもの」だったんですね。
エンジニアがなんのPJにもアサインされていない状態が出来ると全部上に報告しなくちゃいけなくって、それで上から怒られたりするんです。
何遊ばせてんだ、早くなんかのPJにアサインしろって。タスク何持たせてるんだって。
だから、無理やりにでもPJに配属してチケットを詰めないといけない。
いやまあ、会社からすると、稼いでない状態の人員を作るのは人件費の無駄だから、なるべく空き状態を作らないようにしたいってことはよく分かるんですけどね。
ただ、技術者としては、多少は技術キャッチアップの時間って欲しいじゃないですか。
技術はどんどん新しくなっていくわけで、キャッチアップしないと自分はあっという間に時代遅れのエンジニアになってしまう、っていう焦りが凄かったんです。
勉強なんて業務時間外にしろっていう話もまあ分かりますけど、技術で食っていく仕事なんだからちょっとくらい技術を勉強する隙間もくださいよ、と。
それだって会社の為になるでしょって話で、プロジェクトが終わった後くらい、ちょっとスキルアップの為の時間与えてもいいやないですか、って上と掛け合ったんです。
もちろん必要に迫られてのアサインであれば仕方ないけど、現状管理を見ていると、とにかく空き時間を作らないためだけに、無理やり次のPJにアサインしているようにしか見えなかった。
この時私は、「隙間時間くれれば勝手に勉強して自分でスキルアップするよ。皆そうでしょ?」って思ってたんですよ。
***
で、その時私、当時の上司にこう言われたんです。
「その時間を与えられたエンジニアは何を勉強するんだ?」って。
え?いや、色々あるでしょ。あれとこれとそれと、って話をすると、
「いや、お前の話じゃない。じゃあ例えばお前の部下は、今自由時間をもらったら何を勉強するんだ」って言われました。
で、自分で部下と話してみて分かったんですけど。
「これを勉強したい」
「この技術が気になってる、身に着けたい」
「だから空き時間が欲しい」って思っている人、いないんですね。本当にいない。
うっかりすると、そもそも「最近の新しい技術」なんて情報、全く集めてすらいなかったりする。
こんな言語が流行ってるー、こんなライブラリが出たー、使ってみたいー、とか全くない。
いや、皆、勉強出来ない人たちじゃないんですよ?
例えばプロジェクトで新しい技術を使うことになって、それについて急いで勉強しなくちゃいけない、とかいう状況だと、ちゃんと資料揃えてセミナー行って本買って、キャッチアップ出来る人たちなんです。
それでも、そういうレベルの人たちですら
「自分が出来ることをどんどん広げたい」とか、
「技術者としてどんどんレベルアップしたい」という欲求を、少なくとも自発的な形では持っていない。
「スキルアップですか?何を身に着ければいいですか?」ってこっちが聞かれたりする。
その時気付いたんですけど、「成長したい」っていう欲求は、決して普遍的なものじゃないんだなあ、と。
大抵の人は、仕事を通じてスキルを磨ければいいなあ、くらいには思っているけれど、
「自由時間に自発的に頑張って勉強してまでスキルアップしたい」
とまでは思ってないんだなあ、と。
冒頭リンクで挙げたまなめさんは、正真正銘「自発的にスキルアップしたい」人なわけですが、そんな人、100人の中に2,3人いればいい方なんじゃないかなーというのが肌感なんです。
正直、最初は私も、そんなんでいいのかな、とか思ったんですよ。
エンジニアなのに成長を求めないとかありえるの?とか。
自分の市場価値を上げていかなくていいの?とか、思った。
先日、はてな匿名ダイアリーでこんな記事を見かけたんですけど。
これのコメント見て思ったんだけどさ
仕事で成長なんか望んでねーよバカヤローというのは理解できるんだよ
うん、いいよそれで
でもそれだと作業をこなすだけになって新しいスキルやノウハウが身につかない(あるいはすごい時間がかかる)わけじゃない?
そういう人は魅力的な能力のないまま歳を重ねるわけだから、いずれ雇用市場から締め出されるわけでしょ
そうなったときにどう対処するか考えているのかな?考えていないなら地獄が待ってるよ・・・
丁度これと同じようなこと思ってた。
バキ的に言うと、「そんなふうに考えていた時期が俺にもありました」ってヤツです。
ただ、私もちょっと勘違いしていた点なんですけど、そもそも「成長」って別に「働く目的」ではなく、「生き残るための数ある有力な手段の一つ」でしかないんですよね。
別に必須ではなく、唯一解ですらない、手段の一つ。
まず、そもそもなんの為に「成長」が必要なんですか、って話です。
成長という言葉自体、含んでいるフィールドが広過ぎてあまり一言でまとめられるような話ではないですが、基本的には「今の能力や経験では出来ないことをする為に」成長が必要な訳です。
例えば、今より質の高い成果物を出す為に。
今より速い仕事でバリューを出す為に。
今まで知らなかった分野で仕事をする為に。
今までより複雑な問題を解決する為に。
今よりもっと高い給与を得る為に。
目的や、解決しなくてはいけない課題があって、それを解決する為の手段の一つとして必要なのが本人の「成長」である、と。
まず、この点は明確にしておいて損はないと思うんですよね。
で、解決するべき課題があったとしたら、それを解決する為の方法も別に一つではない。
例えばの話、あなたにしか出来ない仕事があって、それが努力によって質が高まるような、あるいは質が高いことで得られる報酬が上がるような類のものでない場合、あなたがすべきことは「努力して自分の能力を成長させること」ではなく、「安定してその仕事で食っていけるニッチを見つけること」です。
勿論、「いつかその仕事で食えなくなる」ということを想定して、他の分野でも食っていけるよう能力を磨くことは悪いことではありませんが、それは飽くまでリスクヘッジであって、短期的に「ニッチを見つける」こと以上の価値を出せる活動ではありません。
もちろん成長は重要ですし有力なんですが、「成長は単なる手段でしかなく、場合によっては必須のものですらない」という認識は、案外重要じゃないかと思うんですよね。
そういう点では
「君たち成長しなくていいの?」
「成長しなくて怖くないの?」
っていう考え方こそ、「視野が狭い」ものかも知れないんですよ。
別に成果を出す方法も、生き残っていく為の方法も「成長」だけじゃないのに。
ある意味では、「成長」にリソースを割くことを強制している。
「成長したいと思わない」というのは、もしかすると怠惰や諦めですらなく、「最適解の選択の結果」かも知れないんですよね。
***
あれからそこそこ色んな経験をしまして、一つ思うようになったことは
「成長を目的と勘違いしてしまうと、滅茶苦茶搾取されやすい」ということです。
成長が「手段」でしかない以上、会社は「成長機会」を報酬と考えてはいけない。
「成長出来るからちょっとくらい給料が安くても目をつぶってね!」などと言ってはいけない。
けれど、現実には、「あなたを成長させてあげる」という甘い言葉で近づいて、「成長しなくては!」という危機感を食い物にしている人や組織、すっごいたくさん見かけるんですよね。
あなたが成長出来るんだからタダ働きでもいいでしょ、なんて台詞、「成長は単なる手段」ということが分かっていれば絶対言えるわけがないのに。現実には、それに類似する台詞を吐く人たちがたくさんいる。
そこから考えると、組織の側も、労働者の側も、「成長は単なる手段である」ということをきちんと認識しておくことが案外重要なんじゃないか、と。
私はそういう風に考えるんです。
「成長出来ないのが怖い」という危機感、凄くよく分かります。
「成長したい」という欲求、凄く尊いです。
成長することによって得られるもの、とても貴重です。
それを否定する気は毛頭ありません。
ただし、「成長」を求めるかどうかは個人の選択であって、決して他人が押し付けることではないし。
また、「成長」をネタに搾取してこようとする相手には用心するに越したことはない。
そういう話でした。
今日書きたいことはそれくらいです。
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【登壇者】
奥田 真輔 氏
システム開発やITコンサルティングを経て、
外資系製薬企業で15年以上のITビジネスパートナーとして人事からコマーシャル、
メディカルなど製薬企業の様々な分野のプロジェクトに携わる。
現在はネクセラファーマ株式会社で、システムだけではなく、企業風土改革や業務改善をリードし、
日本発グローバルバイオ製薬企業にむけて、同社の成長基盤の構築に尽力している。
岡田 雄太(ワークワンダース株式会社 CTO)
野村総合研究所に新卒入社後、証券総合バックオフィスシステムやオンライントレードシステムなどの開発に従事。
その後、8 Securities(現SoFi Hong Kong)へ出向し、日本人唯一のエンジニアとして国際的なプロジェクトに携わる。
BOOSTRYでは信託銀行向けSaaSの立ち上げと成長を牽引。
WiseVineではCTOとして開発組織を30名規模に拡大し、プロダクト開発を推進。
2025年4月よりワークワンダース株式会社CTOに就任。AI活用を中心とした開発支援をリードする。
【お申込み・詳細】
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【著者プロフィール】
著者名:しんざき
SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。
レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。
ブログ:不倒城
(Photo by Michał Parzuchowski on Unsplash)













