最近のわたしは、読書ジャンルの開拓にハマっている。

その一環でいろんな分野のランキングをのぞき見していたところ、『「いつでもおしゃれ」を実現できる 幸せなクローゼットの育て方』という本を見つけた。

 

正直わたしはあんまりオシャレに興味がないけど、あまりにも高評価なので購入することに。

101の評価で☆4.2って、めちゃくちゃすごいもん。

というわけで今回は、「服選びノウハウは仕事選びのヒントになるかも!」という話をしたい。

 

給料を服につぎこんでいた女性が、自分なりのおしゃれに目覚める

筆者は、16年間ファッション業界で働いた経歴をもち、月間200万PVのブログ『ミランダかあちゃんのスタイルレシピ』の運営者でもある「ミランダかあちゃん」こと輪湖もなみさん。

女子校で元バスケ部、おしゃれとは縁がなかったものの、大学に入っておしゃれに目覚めたとのこと。

そしてファッション業界に就職し、まわりの人たちのセンスのよさに驚いたらしい。

 同期や1、2年先輩の彼女らは、実家が都内の老舗店だったり、小学校から都会のブランド校だったり、高校生から六本木や乃木坂で遊んでいたという彼女たちは、いかにも無造作に服を選んでいるように見えて、何もかもが洗練されていました。

「おしゃれって、生まれつきだったのね!」

そんな衝撃を受けた彼女は、次から次へとトレンド服を買いあさり、給料のほとんどを服につぎむ生活を送る。

 

しかし30代半ばに出産を経験し、必死でダイエットをしても、おでかけ服を着ていく場所がないことに気がついた。

そこで「クローゼットからあふれかえった服はいったいなんのため?」と我に返ったことが、彼女の転機となる。

服を買えば自分がバージョンアップできると思うのは、少しも豊かなことではないし、そんな自分は本当にかっこ悪い。そのとき、ようやく目が覚めた気がしました。(……)

なぜなら、自分の体型、自分の持ち味は、自分だけのもの。

自分を本当に素敵に見せてくれるのは、

自分にふさわしい服だけだからです。

流行を追ってだれかの真似をしてみたところで、それが自分に似合うとはかぎらない。

自分らしいオシャレのためには、他人ではなく自分と向き合うべきなのだ。

 

そうして彼女は、自分なりのおしゃれを楽しむ「ミランダかあちゃん」になった。

 

服選びのノウハウは、自分らしい仕事選びのヒントになる

経歴紹介のあと、おしゃれノウハウの紹介に移る前に、こんなことが書かれている。

 長所が最も際立ち、着ていて気分のいい服だけにしぼり込み、余分なものは思い切って削ぎ落とす。

「何を着るか」と同じくらい「何を着ないか」も重要です。

そうした「自分だけ」のクローゼットのルールを作るためには、一度手持ちの服をすべて点検し、整理し直す必要があります。

そこでふと思ったのだ。

この「自分にふさわしい服」を見つける方法は、「自分にふさわしい仕事」を見つけるヒントになるんじゃないだろうか?と。

 

本書の服選びの方法をまとめると、こうだ。

 

・モデル体型じゃないことを嘆いたり、服の値段やセンスで勝ち負けを考えたりしない

・世の中にあふれかえる服や情報の中から、自分にとってそれが本当に必要なのかを見極める

・「なにを着ないか」を大事にする

・自分の体型や持ち味を活かし、着ていて気分のいい服を選ぶ

 

これを、「自分にふさわしい仕事」を見つける方法として考えると、こう置き換えることができるんじゃないだろうか。

 

1.ないものねだり、収入や社会的地位でのマウント合戦から距離を置く

2.他人からの助言や忠告、ビジネスノウハウなどに振り回されず、自分に合っているものを見極める

3.なにをしないかを大事にする

4.自分の能力や長所が活かせる、楽しい仕事を選ぶ

 

他人に惑わされず自分にぴったりのものを見つける

それぞれくわしく考えてみよう。

 

1.ないものねだり、収入や社会的地位でのマウント合戦から距離を置く

2.他人からの助言や忠告、ビジネスノウハウなどに振り回されず、自分に合っているものを見極める

このふたつは、おしゃれはもちろん、仕事選びにおいても大事なことだ。

 

個人が気軽に発信できるようになったいま、わたしたちはしぜんと、他人との「差」を意識してしまう。

「いいね」の数やフォロワー数が多い、幸せそうな家族の写真、かわいいペット、うまくいってる感満載の仕事の報告……。

 

「どっちがより高い時計をしているか」

「どっちがより有名なレストランで食事をしているか」

「どっちが細くかわいい見た目をしているか」

 

そうやって他人と比べて不幸になってしまう人は、少なくない。

もちろん、「その人たちの真似をしよう」「いいところを取り入れよう」とポジティブに考える人もいるだろう。

でもだれかの真似をしたって成功できるわけではないし、むしろ「カモ」にされることだってある。

 

夢追い人を集め成功者を崇めるオンラインセミナーやオンラインサロンなんかが、その典型だ。

収入報告や今月成し遂げたことなどを発表して「高め合い」、教えてもらったノウハウを真似して「認められよう」とする。

 

それ自体が悪いわけじゃないけど、そういう思考回路って、結局どこかで苦しくなるんじゃないだろうか。

だって、「自分を本当に素敵に見せてくれるのは、自分にふさわしい服だけ」だから。

 

自分をよく見せないものを遠ざけて迷わないようにする

そこで、

3.なにをしないかを大事にする

ことが重要になる。

 

本書では「服の量が多すぎて選べない」という現象を、「クローゼットがセール会場化してしまっている」と指摘している。

乱雑で、視認性が低く、結局ほしいものが見つからない状態だ。

 

それは、

「選択肢が多すぎてどの仕事が自分に向いているのかわからない」

「いろんな人がいろんな進路を勧めるので決めきれない」

という状況に例えられる。

 

そこで迷わないためには、「自分には似合わないもの」「自分には必要ないもの」を知っておく必要がある。

人間、「好きなことをしていいよ」と言われると迷うけど、「嫌いなことをしなくていい」と言われると、すぐにいろいろと思い浮かぶものだ。

 

たとえばわたしなら、計算や表入力などの作業、まったく同じ反復作業、打ち合わせや営業で毎日違う場所に訪問、厳しいノルマなどが苦手。だから遠ざける。

そういう「自分をキレイに見せてくれないもの」から距離を取っていけば、しだいに手元には「自分をよく見せてくれるもの」が残る……というわけだ。

 

ショッピングモールのすべてのお店を隅から隅までチェックしていてはキリがない。

自分の好みに合わないお店には、入らなければいいのだ。

そうすれば、迷いは減る。

 

自分が一番魅力的に見えるもので身を包めば楽しくなる

そして行き着くのが、

4.自分の能力や長所が活かせる、楽しい仕事を選ぶ

である。

 

これは「仕事選び」においてつねに言われることだけど、実行するのはむずかしい。

「自分ができること、したいことがわからない」という人が多いからだ。

でも、むずかしく考える必要はない。

自分がワクワクするもの、テンションが上がるものを思い浮かべるだけでいい。

 

わたしは小さいころから作文を書くならクラスで一番はやかったし、友だちといっしょに小説を書いていたし、学級会で書記をするのが好きだった。

それから20年経っても、自分の気持ちは直接話すより文字にしたほうがうまく伝えられるし、なんでもメモして文章化する癖は変わらない。

 

自分がやってて楽しいものは、しぜんと得意になる。

もちろんそれがつねに仕事に結びつくとはかぎらないけど、「これが好き」がわかれば、仕事を選ぶ指針にはなるだろう。

服だって、とくに意識してなくても、しぜんと好きな店に通い、好きなブランドが見つかっていくものだ。

仕事だってそれは変わらない。

 

好きなものがすぐに思いつかないのなら、ダイビングしたり、写真撮ったり、野菜を育てたり、自分の本棚の本の配列にめちゃくちゃこだわったり、友人の誕生日会を本気で企画したりしてみてほしい。

数打ちゃ当たる。

いろんなことをやってみれば、なにかしらワクワクするものが見つかるはずだ。

 

似合う服を探すように、似合う仕事を探していけばいい

本書は、「完璧なクローゼットをつくる」ことが目的なのではない。

自分にとって快適なように、「クローゼットを育てる」のが目的だ。

 

「自分にふさわしいもの」は、その時のライフスタイルや感情によって変わっていく。

だからそれに合わせてアップデートしていく、というスタンスである。

それは仕事も同じで、最初から「最高の仕事」を求めるより、自分にとって「より良い仕事」になるように少しずつ最適化していけばいいのだ。

 

おしゃれだって仕事だって、根幹はいっしょ。

みんなちがうものを持って生まれて、みんなちがうものを目指している。

比べたり、勝ち負けを決めたり、真似したりしても、満たされない。

自分に向き合って、自分が一番「キレイ」に見えるように努力して、工夫すればいい。

 

だれにだって似合う服があるように、だれにだって似合う仕事はあるんだから。

開けた瞬間「今日も1日がんばろう!」と気合いが入るクローゼットのように、「今日もがんばるぞ!」とワクワクする仕事環境に育てていきたい。

 

今度仕事について考えるときは、クローゼットを整理しながら考えてみるのもいいかもしれない。

まだ衣替えしてないから、ちょうどよかった。

 

 

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【著者プロフィール】

名前:雨宮紫苑

91年生まれ、ドイツ在住のフリーライター。小説執筆&写真撮影もやってます。

ハロプロとアニメが好きだけど、オタクっぽい呟きをするとフォロワーが減るのが最近の悩みです。

著書:『日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち』(新潮新書)

ブログ:『雨宮の迷走ニュース』

Twitter:amamiya9901

Photo by Sarah Brown on Unsplash