ゲームしてたら人間関係トラブルになって、それを記事にしたら、バズった。

なんとツイッターのトレンド入りを果たし、当サイトがサーバー落ちしたとのこと。

拡散してくださった方々、ありがとうございました。

 

いやぁ、みんなオンラインゲームのいざこざを経験してるんだねぇ。

うんうん。

それはさておき、本来ならライターとして喜ぶべき「バズ(短期間にめっちゃ拡散される現象)」を、素直に喜べないわたしがいた。

 

なぜならわたしは、身バレに怯えていたからである。

 

個人情報管理の認識がガバガバなままライターになった

もともとわたしは、まわりには言わずこっそりとブログを書いていた。

どこにでもあるふつうの趣味ブログである。

顔写真は適当なイラストアイコン、名前も適当なHN。

 

しかしいつの間にか読んでいただく回数が増え、気がついたらライターになっていた。

寄稿先メディアから著者プロフィールとしてたびたび顔写真を要求されるので、深く考えず顔写真も公開。

どれくらい深く考えていなかったかというと、東洋経済オンラインの著者近影として、お父さんが京都で撮ってくれた写メを提出したくらいである(なかなかやばい)。

 

そんなこんなでありがたいことに順調にライター活動を続けているなか、とある記事が某有名メディアに掲載されることになった。

だれもが一度は目にしたことはある大手メディアに載るということで、わたしは有頂天。

まっさきに連絡した両親もたいそう喜んでくれて、「もっとまわりの人にも読んでもらいたいなぁ……」と柄にもなく自己顕示欲がうずきだし、結局友人に「実はライターやってます! こんな記事書いてるよ!」と言ってしまった。

 

いま思えば、ここがひとつの分岐点だったと思う。

ここでわたしは、「リアルとは切り離したインターネット上のライター活動」を、中途半端に現実に引き込んでしまったのだ。

 

半端な覚悟でプロフィール公開なんてするものじゃない

その後、別の記事がビジネス系まとめサイトに転載された。

はじめてそのサイトに転載されたので、そのサイトの読者層の反応を確かめるべく、「どれどれ」とコメントを見てみることに。

 

100を超えるコメントが並ぶなか、とあるコメントに目が留まった。

「この人とは同級生です」から始まるものだ。

 

え、なにこれ。

 

わたしと学生時代に席がとなりであったこと、仲が良かったことなどが書かれている。

書き込んだ彼の名前には見覚えがあった。

たしかに同級生だ(席はとなりだったけど、決して仲良くはなかったぞ?)。

 

そのときはまだ自分の出身校をオープンにしていなかったので、めちゃくちゃびっくりしてサイト側に即通報。

彼のプロフィールには出身校が書かれており、必然的にわたしの出身校もわかるようになっていたからだ。

 

元同級生に対し、「おいおい小学校の先生になったんだろ。ネットリテラシー大丈夫か」と内心毒づきつつも、そもそもライターをやってることをまわりに明かしたのは自分だし、写真を公開したのも自分。

人のことをとやかく言えるほど、自分自身も慎重ではなかったのだ。

 

わたしは文章を書くのは好きだけど、有名になりたいという野心があったわけでもないし、「表舞台の人間」のつもりもない。

それでも発信していれば、顔見知りに届く可能性はおおいにある。

そのことを深く考えないままプロフィールを公開したせいで、もろもろ中途半端になってしまっていたことに気づいた一件だった(その後、出身校を公開した)。

 

「これくらいは大丈夫だろう」は高確率で「大丈夫じゃない」

さて、この前の記事がバズった話に戻ろう。

たくさんの人に読んでもらえたらうれしいなぁ、とは思っていたけど、まさかツイッターのトレンドに入るとは想像もしていなかった。

 

もちろん、ライターとして活動している以上、「ある程度」考えてはいる。

だからこそいろいろとボカして、特定されないように気をつけているのだ。

とはいえ、さすがにこんな広まり方をするとは思っていなかった。

 

大丈夫かな。

だれかを巻き込んで迷惑をかけないかな。

ちがうアカウントがわたしだと勘違いされて晒されたりしないかな。

ゲーム友だちにわたしの仕事がバレないかな。

 

記事がどんどん拡散されていくにつれ、そんな心配がわたしのなかで芽生えてきた。

でも、そもそもの話、「こんなことになるとは思っていなかった」とか言ってる時点でもう甘いのだ。

 

「身内用のSNSで悪ふざけしたら拡散されて実家や職場が特定された」

といったケースが代表的なように、

「これくらいなら大丈夫だろう」という認識での情報開示が、「全然大丈夫じゃない」事態につながるのがネットである。

 

いまは平和なネットライフを送っていても、なにがきっかけに注目を浴びるかわからない。

5年前の投稿が、現在の自分を地獄に叩き落す可能性がある。

しかも、一度公開してしまったらどうにもならないというおまけつき。

 

ちなみにわたしのまわりには、

・バイト禁止の学校なのにバイトしていることをつぶやき、同級生経由で先生にバレて呼び出された

・留学中「〇〇学生寮の205号室に入居決定!」とFBに投稿、同じ寮のまったく知らない人から連絡がきた

・鍵つきのアカウントで取引先の愚痴を書いたら、同僚がスクショを撮って匿名アカウントで晒し、上司に怒られた(同僚もまた怒られたらしい)

といった経験をした人たちがいる。

 

ごくごく内輪でネットを楽しんでいても、こういったリスクはだれもが抱えているのだ。

頭ではわかっていたはずなのに、深くは考えていなかった。

今回余計なリスクを負ったのは、完全に自分の甘さが理由である。

 

身近にひそむ「身バレさせる人」の脅威

身バレはもちろん脅威だけど、「身バレさせる人がいる」というのもまた恐ろしいことだ。

芸能人を例にとればわかりやすい。

アイドルの裏アカ流出もそうだし、引越し先や滞在先のホテル、買い物など、接客した人や見かけた人による暴露は日常茶飯事。

 

「晒された人」がいるということは、同時に「晒した人」も存在するわけで。

本人からしたらちょっとしたイタズラ、話題提供くらいの認識かもしれないが、ネットでの特定・晒し行為はかなり悪質で、法に抵触する可能性すらある。不用意にやるものではない。

 

でもそれはもしかしたら、3ヶ月前に何気なくネットに友だちのことを書いた自分かもしれない。

そう考えたことはあるだろうか。

 

たとえば、「今日は○○ちゃんの家でお誕生日会♪」と、マンションの前で撮った写真をインスタにアップしていないだろうか?

ツイッターで「その銀行なら××君が働いてるから聞いてみるよ!」とその友人のアカウントを紐づけてリプライしていないだろうか?

イラストアイコンで顔を公開していないのに、その人と撮った写真を勝手にFacebookにアップしていないだろうか?

 

……いま、ちょっとドキッとしなかった?

 

とくに思い当たらなくとも、「もしかしてなにか書いちゃってたかも」と不安にならなかった?

わたしはなったよ、「あれ大丈夫だったかな……」と。

身バレも怖いけど、身バレさせてしまうこともまた、ネット上での大きなリスクなのだ。

 

平和なネットライフに必要なリテラシーの再確認

いつどこでだれがバズるかわからない以上、ネット上で発信しているかぎり、だれもが身バレする・させてしまう可能性がある。

わたしのように趣味→仕事にしたタイプの発信者はとくに、そのあたりの認識が甘い人は多いと思う。

 

不用意な情報開示や過去の脇の甘さが、現在の自分の首を絞めることになりかねない。

余計な一言や写真一枚で、自分だけでなく、大切な人たちの平和を壊すことも考えられる。

 

「なにを書くか」はもちろん大事だけど、「なにを書かないか」はそれ以上に大事。

「大丈夫だろう運用」ではなく、「大丈夫じゃないかもしれない運用」。

 

運転でもなんでも、甘く見積もって事故を起こすよりは、慎重すぎるくらいがちょうどいいのだ。

 

 

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【登壇者紹介】

安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00

参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。


お申込み・詳細
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(2025/6/2更新)

 

 

 

【著者プロフィール】

名前:雨宮紫苑

91年生まれ、ドイツ在住のフリーライター。小説執筆&写真撮影もやってます。

ハロプロとアニメが好きだけど、オタクっぽい呟きをするとフォロワーが減るのが最近の悩みです。

著書:『日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち』(新潮新書)

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ブログ:『雨宮の迷走ニュース』

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