理想的なビジネスパーソン、成功する人間、人の上に立つリーダー……。

 

さて、どんな人を思い浮かべるだろう。

わたしだったら、

「批判を恐れず己の道を突き進み、向上心と野心が強くて、実行力がありスピード感を大事にする人」

と答えるだろう。

 

なぜそう思うかといえば、そのすべてが、わたしにはないからだ。

正面切って批判されるとしょんぼりするし、イケイケドンドンって空気についていけないし、石橋叩きまくってなかなか一歩を踏み出せない。

そんな自分に対し「変わらなきゃ」とは思うけど、人間そうかんたんに変われるはずもなく。

 

わたしのように、理想的なビジネスパーソンとは真逆の人間は、どうすれば楽しく仕事と付き合えるんだろう。

 

小心者でビビりな「臆病者」はこんな人間です

ヒントをくれたのは、米国のコロンビア大学の社会心理学者が書いた、『やる気が上がる8つのスイッチ』という本だ。

 

性格別に8つのタイプが紹介されていて、それぞれの特徴と、やる気を上げるための方法が書いてある。

8つのタイプのうちわたしが当てはまったのは、「臆病者」(「ほかに言い方あっただろ」と突っ込みたくなるが、事実なのでしょうがない)。

 

「臆病者」の特徴はこんな感じだ。

・他人の目を気にしがち(「すごい人になりたい」ではなく「すごい人だと思われたい」)
・賞賛を得るより批判を避けるほうに意識が向く
・チャンス時でも一歩引いてしまう慎重派
・マルチタスクが苦手で、やりはじめたことを最後までやるほうが得意
・おおざっぱで大胆なアイディアを提案するより、具体的で分析的な議論を好む
・スピードより正確さを求める
・予期せぬ事態に弱い
・新しい仕事や経験のない仕事を歓迎せず、自己防衛意識が強い
・ルーティーンをしてると安心する
・ミスを犯すことを恐れている

 

……要は、小心者でビビりなのだ。

だから「臆病者」というわけである。

 

しかしビジネス界隈では

「他人になにを言われようが目立てばOK」

「細かいこと言う前にまず行動」

「現状維持は敗北」

かのように言われがちなので、臆病者は非常に肩身がせまい。

 

そんななか『やる気が上がる8つのスイッチ』には、「そんな自分をうまく誘導してやる気にしていく」コツが書かれていた。

なるほど、それならちょっとやってみようではないか。

 

1.「こうなりたい」を「こうしよう」に

わたしのように「他人の意見に影響されやすい」「ちょっとした言葉に傷ついてしまう」タイプは、自己顕示欲とは別のベクトルで「まわりに認めてもらいたい(受け入れてもらいたい)」と考える。

 

自己評価基準が「他人からどう思われているか」だから、つねに不安で自信がもてない。

そこで役に立つのが、「証明」ではなく「成長」にフォーカスを当てることだそうだ。

①私はよきリーダーになりたい。

→私はよきリーダーになるために必要なことを学びたい。

②時間配分をうまくしたい。

→時間配分を上手にこなせるようなスキルを身につけたい。

③体によいものを食べ運動を定期的にしたい。

→食生活と生活習慣を改善していきたい。

④よい人間関係の中に身を置きたい。

→よい人間関係を持つために必要なスキルを学びたい。

「こうなりたい」という考えは、「他人からこう思われたい」という考えにつながってしまう。

だから、「こうなりたい」を「こうしよう」にする。

自分なりの理想に近づく手段を考えることで、他人の目から意識をそらすのだ。

 

〈実践〉

「多くの人に読んでもらいたい」「共感コメントをたくさんもらうライターになりたい」

 

このように他人の目を意識してしまったときは、

「読みやすくするため、音読しながら推敲しよう」

「多くの人が共感してくれるように具体的なエピソードを含めて書こう」

と、「自分」に焦点を当てた考えに切り替えていく。

 

2.「こうしたらこうする」と自分用対処マニュアルをつくる

そうはいっても、性格というのはなかなか変わらない。

やっぱりまわりの目が気になってしまう。

そこで有効なのが「if-thenプランニング」、つまり「こうなったらこうする」とあらかじめ決めておくことだそうだ。

たとえば、こんなふうに考えたらどうでしょう。

「人に認められたい、人から褒められたいと思って目標を決めてしまっているときには、この目標を達成することがいかに自分を成長させてくれるかという観点から考えるようにしよう」

自分向けのデバッグノウハウのようなものを、事前につくっておく。

そうすれば、まちがったほうに進みそうなとき、すぐに引き返すことができるのだ。

 

〈実践〉

「自分の記事はつまらないんじゃないか」と思って投げ出しそうなときは、なぜそう思ったのかを考える。

修正できるところは修正し、修正点が思い浮かばなければ編集者の方に相談する。

筆が進まず「この仕事向いてないのかも」と落ち込みそうなときは、いままでいただいたお褒めの言葉を思い出しながら、のんびりお風呂に入ってリフレッシュ。

 

3.成功・達成・到達を自分の手の届く範囲に置く

また、わたしのように「自信? なにそれおいしいの?」タイプの人間にとって、「成功・達成・到達を自分の手の届く範囲に置く」ことはとても重要らしい。

努力や計画や粘り強さはあなたがあなたの力で変えられるものです。

自信をつけるのに成功体験はとても大切ですが、その際に自分にはどうしようもないもののおかげにしてしまうと、その成功体験を十分に生かせなくなってしまいます。(……)

どうか、成功・達成・到達を、あなたの手の届くところに置く心の習慣を作ってください。

臆病者タイプは、「よくやったぞ自分!」とはなかなか思えない。

だからこそ、うまくいったときは成功の理由を自分のなかに見つけるのがいいらしい。

 

〈実践〉

たくさんの人に記事を読んでもらえた!

でもあの人が拡散してくれたおかげだし、編集者の方のアドバイスで結構変えてるから、自分の力で成し遂げたわけじゃない……。

そう思ったときは、自分自身がやったことにも目を向けて、ちゃんと自分を褒めてあげる。

「早めに納品できたし、例え話もうまく受け入れてもらえた! 自分がんばったぞ!」と。

 

4.避けるべきもの、マイナス面をはっきりさせておく

多くの自己啓発書には、「ポジティブな面を見る」「リスクばかり考えすぎない」などと書かれている。

しかし小心者ビビりにとって、ネガティブ要素はものすごい脅威だ。

「考えない」なんてことはできない。

彼らが目標を考えるときにまず考えるのは損失をなくすことです。

ですから目標を与えるときには、それが「しておかねばならないこと」「安定をもたらすこと」「仕事がよりスムーズに進むようになること」であると説明するとよいでしょう。(……)

選択肢AとBがあるときには、どちらがよりマイナスが少ないかを考えるタイプです。こういうスタイルで意思決定すると、彼らにとってより自然でよりよい判断ができます。

これはわたしのような人が力を発揮する場を作るためのアドバイスだけど、自分用にも応用できる。

 

〈実践〉

「こう書くとこういう批判を受けるかもしれない」

「編集者の方のこのアドバイスは正直ピンとこないけど、反論したらケンカになるかも……。でもこのままだと自分の記事っぽくなくなっちゃう」

 

そんなときは、

「批判を受けてでも書きたいことか? 誤解されないように書き方を工夫したらうまくいくんじゃないか?」

「アドバイスを受け入れたときと受け入れないとき、今後もお仕事を続けるとしてどちらのほうがいいんだろう?」

と比較して、よりダメージが少ないほうを選んでいく。

 

自己啓発を4パターン試した結果

さて、この4つを試した結果をまとめよう。

 

1.「こうなりたい」を「こうしよう」に

ぼんやりと「こうなりたいなぁ」と思ったとき、具体的に「こうしよう」と考えるようにすると、行動につながるのでヨシ。

 

2.自分用対処マニュアルをつくる

わたしは落ち込みやすいので、落ち込む一歩手前で「こういう思考回路になったらこう対処する」と決めておくと、気持ちを立て直しやすい。

 

3.成功・達成・到達を自分の手の届く範囲に置く

自分自身を褒める、認めることを普段しないから、意識的に「自分のいいところ探し」するのは精神衛生上とてもよい。

 

4.避けるべきもの、マイナス面をはっきりさせておく

ネガティブ要素を事前に予防できるなら効果アリ。

でも予防できないのであれば、考えても落ち込むだけなので、考えない方がいい。

効果は場合によりけり。

むしろ、マイナス要素をカバーするためになにができるのか?を考えるほうが性に合っている。

 

自分とうまく付き合うための試行錯誤は重要

まだまだ試行錯誤の段階だけど、

「わたしみたいな小心者ビビりでも、自分自身との付き合い方を考えればどうとでもなる!」

と伝えたかったので、今回は実践の記録として長々と書き残してみた。

 

結局のところ、いくら科学的根拠があるモチベ維持法だろうが、億万長者の金言だろうが、1000万人が成功したコツだろうが、自分に合わなきゃしょうがない。

 

巷でよく言われる理想的なビジネスパーソンにはなれないけど、それでうまくいくならそれでヨシ。

小心者のビビりなりに、じょうずに仕事と付き合っていこう。

 

 

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システム開発やITコンサルティングを経て、
外資系製薬企業で15年以上のITビジネスパートナーとして人事からコマーシャル、 メディカルなど製薬企業の様々な分野のプロジェクトに携わる。
現在はネクセラファーマ株式会社で、システムだけではなく、企業風土改革や業務改善をリードし、
日本発グローバルバイオ製薬企業にむけて、同社の成長基盤の構築に尽力している。

岡田 雄太(ワークワンダース株式会社 CTO)
野村総合研究所に新卒入社後、証券総合バックオフィスシステムやオンライントレードシステムなどの開発に従事。
その後、8 Securities(現SoFi Hong Kong)へ出向し、日本人唯一のエンジニアとして国際的なプロジェクトに携わる。
BOOSTRYでは信託銀行向けSaaSの立ち上げと成長を牽引。
WiseVineではCTOとして開発組織を30名規模に拡大し、プロダクト開発を推進。
2025年4月よりワークワンダース株式会社CTOに就任。AI活用を中心とした開発支援をリードする。


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(2026/01/19更新)

 

 

 

【著者プロフィール】

名前:雨宮紫苑

91年生まれ、ドイツ在住のフリーライター。小説執筆&写真撮影もやってます。

ハロプロとアニメが好きだけど、オタクっぽい呟きをするとフォロワーが減るのが最近の悩みです。

著書:『日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち』(新潮新書)

ブログ:『雨宮の迷走ニュース』

Twitter:amamiya9901

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