この記事で書きたいことは、以下のような内容です。

 

・マネジメントをする上では、「出来てない」「進んでない」という情報は最重要であって、早く言ってもらえば言ってもらえる程傷が浅くて済む

・機械的に進捗を把握出来るのが一番だが、なかなかそうもいかない場合もある

・だが、「出来てません」「進んでません」というのは物凄く言いにくいことで、ベテランでもギリギリまで言えない人は多い

・「出来てません」と可能な限り言ってもらいやすい環境を作るのは上司の仕事

・個人差もあるが、ある程度「言いやすい」条件を整えることで、「言えない」人でも言えるようになってくれる場合もある

 

よろしくお願いします。

 

さて、書きたいことは最初に全部書いてしまったので、後はざっくばらんにいきましょう。

 

皆さん、「進捗ダメです」って言えてますか?

「全然できてません」って言えてますか?

 

これはどんな仕事、どんな分野、どんな業界でも同じことだと思うのですが、チームの進捗管理をする上で一番困るのは、なんといっても

「進捗の遅れがギリギリまで可視化されないこと」

です。

 

リモート環境だと特にあるあるな話として、毎日の進捗確認では「大丈夫です」という言葉しか返ってきていなかったところ、ぼちぼち納期も近づいてきたという段階になっていきなり「ここ全然出来てないじゃん」ということが発覚したり、であるとか。

 

チケット上では完了になっていたので「出来てるんだな」と認識していたのに、中身を確認してみると実は実施内容がスカスカで、その時になって初めて「すいません後から埋めればいいと思って……」などと言われたり、であるとか。

 

デッドラインも間際になって「実は……」という話が急に出てくるときのあの感覚、進捗管理をしているとなかなかいい感じに悪夢ですよね。胃が痛い。

 

これは別に仕事に限った話ではありません。例えば育児の上でも、夏休みの宿題の進捗確認をうっかり忘れていると、8月30日くらいになって「習字やってなかった」とか「問題集丸々一冊忘れてた」なんて事態がボロボロ発生したりするわけです。

 

もちろん、これら進捗遅れは個人の責任ではなくマネージャーの責任ですし、「そもそも個人の自己申告に基づいて進捗管理を行っているのがまずい」という考え方は大いにあります。

 

そして、そこをなんとかしましょう、という考えに基づいて用意されたサービスやツールも複数あります。

チケット管理システムとか、コードであれば書いた量を自動で可視化するツールとか、ガントチャートツールとかイテレーションの管理ツールとか、有料でも無料でも色々あります。

 

仕事の分野やタスクの性格によってそういったツールを使えない、ないしそういったツールでカバーしきれないとしても、タスクの粒度をなるべく細かくして、進捗確認もただ聞くだけではなく都度都度実際に作業状況を確認して、といった管理も当然可能ですし、危ない作業についてはそういった対策はするべきです。

管理強度を上げるのは大変とはいえ、それはマネージャーとしての仕事の内です。

 

もちろんそういった「可視化」の対策を可能な限り実施するのは前提の上で、それでも「出来てません」「進んでません」という状況を早め早めに共有してもらえるのが、当人含めて一番傷が浅いうちにリカバリ出来るし、マネジメントとしても楽ちんで大変助かりますよね、という話が、まずは前提なわけです。

 

***

 

ところが、これ自分でもよくわかるんですが、「出来てません」「進んでません」という報告って、滅茶苦茶開示しにくいんですよ。

進捗遅れを開示するのが苦手な人って、プロやベテランでもぜんっっっぜん珍しくないんです。

なんなら、「なんでこんな経験豊富な人が……!?」って思うようなベテランが、滅茶苦茶な進捗遅れを隠し持っていて、プロジェクトをどかーーーんと瓦解させたりする。

 

当たり前のことですが、本来「遅れ」って一人で抱え込んでいても何もいいことはないんですよ。

 

「後から取り返す」なんてことがそう簡単に出来るわけがないし、抱えている時間が長ければ長い程ダメージは深くなり、進捗のリカバリは困難になります。

遅れはでかくなればでかくなる程言い出しにくくなるもので、爆発物の威力は小さいうちに放り投げちゃうのがベストなことは言うまでもないんです。

 

とはいえ、そんなことは百も承知で、人間「怒られるんじゃないか」「評価を下げられるんじゃないか」「他の人に迷惑をかけちゃうんじゃないか」といった思いを抱えていると、ついつい「今は言わない」という方向に倒れちゃうものなんですよ。

で、遅れが大きくなればなるほど、「今更言えない……」という悪循環になるわけです。

 

皆さん、そういう経験ないですか?

「この進捗遅れ、言わないといけないけど、言いにくいから後にしよう……」ってなったこと、ありませんか?

 

しんざきは、進捗管理をする側もされる側もしばしば経験しているわけですが、もちろん上で書いたような「可視化」の方策はとった上で、大事なのは「進捗遅れを報告した際の成功体験を積んでもらうこと」だと思っています。

 

つまり、「進捗遅れを報告して良かった」と思ってもらう。進捗遅れを報告しやすい環境を整える。これによって、最初は「言えない」人でも、段々と「言える」人になっていってくれることはあるんですね。

特に新人さんの内にこれを経験してもらえると、その後の仕事人生が全く変わってきたりします。

 

その為に実施していることは、以下のようなことです。

 

・絶対に進捗報告で不機嫌にならない

・進捗遅れを共有してくれたこと自体は賞賛する

・進捗遅れの原因はきちんと確認して、なるべく本人の為になるようなリカバリ方法を考える

・進捗遅れの原因を「人」に帰着させない

 

まず、当たり前のことのようで難しいことが、「遅れの報告で不機嫌さを前面に出さない」ということですよね。

 

ただでさえ、進捗遅れを報告する側は「怒られるんじゃないか」とビクビクして報告がしにくくなっているわけで、心理的安全性の確保って滅茶苦茶重要なわけです。

なので、少なくとも「遅れを報告」したことで怒ってはいけない、というか内心がどうあれそれを相手にぶつけてはいけない。

仮に「マジで!?」ってなっても、それは後で人がいないところでごろごろ転がったりして発散する必要があるわけです。

 

「遅れてる?そっかー」ってくらい表面上は軽く受け止める。これについては紛れがないと思います。

 

プラス、「遅れを報告した」こと自体は、進捗管理における最重要情報を抱え込まないで開示してくれたということで、むしろ賞賛しないといけない。

「遅れは早く共有してくれればそれだけリカバリも楽になる」ということを常に共有した上で、「早めに共有してくれてありがとう」と言ってあげる必要があるわけです。

 

一方、これはもうケースバイケースなんですが、リカバリにおいても「なるべく本人にとってもプラスになるリカバリ」を考えます。

 

例えば、他の人に入ってもらうにしても、「君もうここは触らなくていいから」といった形で外すのではなく、レビューと情報共有に入ってもらって本人のスキル向上に繋げてもらうとか。納期の調整をするにも、単に締め切りが伸びただけ、という形にするのではなく、タスクの粒度を細かくして「これくらい細かければ進めやすいよね」という感覚をつかんでもらうとか。

 

これは仕事の性格、人の性格、納期の状況によっても変わってくるので余り一概には言えないのですが、「報告したらうまく動くようになった」という成功体験は、可能な限り経験してもらった方がいいものです。

 

そして、遅れの原因を「お前が怠慢だったから」「お前に能力がなかったから」にしない。

 

タスクに難しい部分があって手が止まったなら、スキルアンマッチを解決するにはどうすればよかったのか、を考える。

タスク量が多すぎたなら、タスクの割り振りに不備があったと考え、今後の振り方についてきちんと共有する。

 

この辺、人と紐づけない形で、「今回の遅れの原因はこうだから、こういう風に解決していこう」というのを本人と共有するのって、心理的安全面でもすげー大事だと思うんですよね。

 

もちろん何度も何度も同じことを繰り返すようでは困ってしまう部分もあるのですが、そういう場合にも「この人が活かせる場所というのはどこなのかな?」ということを考えるのはこれまたマネージャーの仕事で、それは「本人の問題」に可能な限り帰着させるべきではない、と考える次第なのです。

 

これもまた、当たり前のようで実に難しい話なのですが、可能な限り「安心して遅れを共有出来る職場」を実現するべく、今後とも頑張っていこうと考える次第なのです。

 

ちなみに、これらの話は仕事だけではなく育児でも大いに当てはまる話でして、特に学校の宿題を片づける上では何から何までそのまんま応用可能です。

おかげで今年の夏休みも、長男長女次女ともなんとか無事に宿題完了しそうな状況です。まあ、長男についてはもうあんまり触ってないんですが。

 

長男の宿題進捗遅れを解決した時の話については以前も書かせていただきましたので、もしよろしければご参照ください。

 

夏休みの宿題進捗管理をIT化したら子供が凄くやる気出した話

 

皆さんも、進捗遅れはバシバシ遠慮なくご報告いただいて、快適な職場環境を実現していただきたいと祈るばかりです。よろしくお願いします。

 

今日書きたいことはそれくらいです。

 

 

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システム開発やITコンサルティングを経て、
外資系製薬企業で15年以上のITビジネスパートナーとして人事からコマーシャル、 メディカルなど製薬企業の様々な分野のプロジェクトに携わる。
現在はネクセラファーマ株式会社で、システムだけではなく、企業風土改革や業務改善をリードし、
日本発グローバルバイオ製薬企業にむけて、同社の成長基盤の構築に尽力している。

岡田 雄太(ワークワンダース株式会社 CTO)
野村総合研究所に新卒入社後、証券総合バックオフィスシステムやオンライントレードシステムなどの開発に従事。
その後、8 Securities(現SoFi Hong Kong)へ出向し、日本人唯一のエンジニアとして国際的なプロジェクトに携わる。
BOOSTRYでは信託銀行向けSaaSの立ち上げと成長を牽引。
WiseVineではCTOとして開発組織を30名規模に拡大し、プロダクト開発を推進。
2025年4月よりワークワンダース株式会社CTOに就任。AI活用を中心とした開発支援をリードする。


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(2026/01/19更新)

 

 

 

【著者プロフィール】

著者名:しんざき

SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。

レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。

ブログ:不倒城

Photo by Tim Gouw