となりの億り人 サラリーマンでも「資産1億円」という本を読んだ。
となりの億り人 サラリーマンでも「資産1億円」(朝日新書)
- 大江 英樹
- 朝日新聞出版
- 価格¥765(2025/04/01 05:05時点)
- 発売日2021/12/13
- 商品ランキング84,947位
昨今は既にこの手の本が巷に溢れつつあるが、それでもこの本はとても良い。
書き手が金融の専門家であり、内容も誠実である。かつ、視点も広い。
要旨を一言で言ってしまえば「億り人になりたいのならコツコツと貯蓄して投資しろ」という類著によくあるモノでしかないのだが、僕はこの本の真価は直接は語られていない部分にあると感じた。
それは億り人って、結局のところゲームなんだなという話である。
どうやったら億り人になれるのかは3パターンに集約される
この本を読もうと思った人の多くは「どうやったら今よりもっとお金儲けができるようになるのだろう」と期待している部分が多いだろう。
もちろんとなりの億り人には「どうすればいいのか」の記述はキチンと書かれている。
この本の本当のキモは筆者である大江英樹さんがいままで多数みてきた億り人の実像を様々な角度から書いているという点にあるのだが、それを書く前に実際にどうやったら億り人になれるのかを本の中から紹介しよう。
一言で億り人といっても、どうすればなれるのかは人それぞれだが、筆者いわく大雑把に分ければ以下の3パターンに集約されるという。
それは
1. 親が資産家であってそれを引き継いだという例。
2. ベンチャー企業で一発あてたというケース。
3. サラリーマンでもコツコツと投資し続けて億った
というパターンだ。
これらのどの手法をやっても億り人になれはするのだが、それを成し遂げる為に非常に重要な原理原則が一つある。
それは「お金自体にあまり興味は無い」ということである。
億ったのにお金に興味がないって、一体どういうことやねんと思われるかもしれないが、つまるところお金が貯まるという事を一言でいってしまえば「気がついたら増えていた」という事なのである。
先の3例でいえば、最初の親が資産家だというケースであれば親の資産を「大きく減らしもせず増やしもしない」という点が肝心だ。引き継いだ資産を使ってどうこうしようと考えると、結果的にはお金が使われてしまう。
もちろんそれで増える事もあるだろうが、大抵の場合においてお金は使うと消える。
2例目であるベンチャー企業で当てたケースだと、たくさん働いていたら「いつの間にかお金が口座に沢山入っていた」というのが億り人になる条件だ。
稼いだお金を使って事業を拡張しようとか、せっかくお金を稼いだのだから贅沢をしようとすると、やっぱりお金は使われてしまう。
3例目であるコツコツと投資し続けて億ったというケースも同様だ。
丁半博打のように切った張ったみたいな事をするのではなく「複利や市場の原理を使って、自動的にお金が増える坂道に貯金をゴロゴロと転がるようにする」というシステムに身を預ければ、自分の能力ウンヌン関係なくお金は増える。
ここでもお金はやはりというか一切使われない。
つまりである。どういう手法を用いるにしろ、お金がある意味では実用的な観点から切り離されているのである。
故に勝手に雪だるま式に増殖し、結果的に億になるというわけだ。
貯蓄で億り人に至る道は、たぶん貯金の数値が増えるのが楽しいという感覚を研ぎ澄ましたもの
多くの人がなれる可能性が高いであろう3番目の貯蓄での億り人ケースだが、これは預金通帳の数字が増えるのをみるのが楽しいという感覚を極限まで煮詰めてゲーム化し、最適化させたものといえよう。
人生はゲーム的な要素が多分にある。
例えば仕事での成長はレベルアップやスキル開発的なニュアンスがあるし、レアなワインの収集ならびに熟成はアイテム開発的な感覚がある。家族形成は冒険者パーティの運営みたいなものだろう。
貯蓄もまたゲームだ。
預金通帳の数値が増減する姿をみるのは、意外と馬鹿にできない面白さがある。自分の通帳に莫大な資産が入ってるのをみたり馬鹿みたいに上がった暗号通貨をみながら酒を飲むのは、まあ悪い時間ではない。
その逆…百万円単位でのクレジットカードの請求だとか、激下がりして草になった暗号通貨をみながら絶望的な余韻に浸るのも…なかなかにオツなもんだ。
この預金通帳の数値増減クエストはいくつかランクがある。
0円にしたり10万円ぐらいにするのは難易度Eランクぐらいだが、1000万ともなると、難易度はそれなりに高くなる。
その超難易度クエスト…Aランクが億だ。
この億クエストを「よっし自分も達成してみるか」とワクワクできるかどうかが、貯蓄にて億り人になれるかどうかの一つの分水嶺だろう。
君は資本主義ゲームに熱中できるか?
2番めのベンチャー事例は「仕事に熱中してたら気がついたらお金が溜まっていた」というケースだが、これは資本主義ゲームに集中しまくった結果だともいえる。
これはゲームだとRPGのレベル上げとかダンジョン潜りみたいなのに近い。
レベル上げやら牧場経営といった目の前にある面白そうなクエストをゴリゴリやりまくってたら、気が付いたらお金が溜まっていたというのは、RPGをやっててレベル上げをしまくって、落ちてたアイテムを道具屋で売り捌いたらサイフにゴールドがメチャクチャ溜まってたみたいなのと実によく似ていないだろうか?
この手法でお金を貯めるポイントはとにかく動き続ける・プレイし続けるという点にあるだろう。
ゲームのスイッチを入れても、コマンド操作を一切しないのならプレイ時間が流れ続けるだけである。
そうではなく、とりあえずお金のある場所で動きつづけていて、それでもってお金を使わなければ、そりゃお金は貯まるのは言うまでもない。
武器や防具などのアイテムを一切買わずに最初から最後までプレイし続けてたら、ラスボス撃破時点で莫大な資産がサイフの中にある事だろう。
もちろんこんなプレイ方法をやってて楽しいかどうかはまた別の話だ。
多くの人にとっては、武器やら防具を買うという行為の方がエンタメとしては大変に優れているだろう。
買い物は楽しい。手軽にアドレナリンを噴出できる。
だがその楽しさを、味わう暇もないぐらいに資本主義クエストに熱中し続ける事ができたら…まあお金は貯まる。そういう事である。
何かを得るためには、その何かから意識を外す
世の中の多くのものは、それ自体に執着すると事がうまく運ばない。
例えば誰かの事を好きになりすぎて、四六時中その人の事ばかりを考え続け、10分おきに愛の言葉をつぶやいていたら…まあ単なるキモい人間である。
若いうちはそれで成就する恋愛もあるだろうが、それだけで恋が長続きする事例はまず無い。
普通に頑張って勉強したり働いたりといった内面の補強のような、恋愛以外の活動に精を出さないと、人間の関係性というのは保てない。
何かが欲しかったら、その何か以外の事が肝心なのである。
もちろん、最終的にはそれに焦点が合わさるようにルートは定める必要はあるのだけど、決してそれはダイレクトには結びつきすぎてはいない。
承認欲求を満たしたいのなら「私の凄さを認めろ」と言い続けていても駄目だ。
なんであれとりあえず活動して「なんで誰も自分の凄さを理解してくれないの?」と言わねばならない。
意識高い系だったけどなんとかなったな、そういえば
先日、安達さんが「意識だけ高い」人たちは、いったい何を考えているのだろうか | Books&Appsという記事を書かれていたが、実は自分も意識高い系だったという過去がある。
若い頃は随分と口先でデカいことをいいまくっていたものだけど、同時に自分は効果がでるかどうかは別にして、活動はしていた。
好きな人に告白しては振られたり、全く読まれないブログを書き続けたりと何でそんなことが継続できたのか自分でも以前はよくわからなかった。
だが今思うと、意識が高かったのはこうした活動でへし折られた自尊心を慰めないとやってられなかったのかもしれない。
純粋に自尊心や自己肯定感のみ焦点を合わせてそういう活動をやっていたとしたら、まあ多分なんだけどどこかで折れていたように思う。
もちろん、心のどこかで自分の事を信用していた部分はあったからこそ継続できたというのはあるとは思うのだが。
正直な事をいうと、これらの活動源となった動機はダークなものだ。
一生独り身だと思うとキツすぎたし、誰にも認められないままだというのも苦しすぎた。
その苦しみから一刻もはやく逃げ出したいという純粋な気持ちが、僕を傷つく活動に繰り出させていた。
それは夢中になれるゲームなのか、それとも一刻もはやくクリアしないと死ぬゲームなのか
何かが欲しかったら、その何かを意識からまずは外す必要がある。
そしてその何かを手に入れる為には、純粋な喜び、あるいは闇から一刻も早く逃れたいという苦しみを心のどこかに抱える必要がある。
お金儲けが夢中の先にあるのなら…夢中をやればいいだけの話である。
結果としてお金が溜まって、まあいい気持ちにもなれるだろう。
お金儲けをしないとマジでヤバいという環境に居るのなら…呪詛を吐きつつも必死になってお金を稼ぐほかない。
莫大な借金があるだとか、身内が病に倒れて医療費がヤバいだとか、世の中にはお金が自分の精神をメタメタにする性質のものもある。
冒頭で親の莫大な資産を引き継いで億り人になったケースを紹介したが、いま思うと案外このパターンも闇から一刻も早く逃れたいという苦しみ事例にあたるのかもしれない。
資産の引き継ぎは案外面倒だ。相続税の問題はもちろんとして、事業の引き継ぎだって、ちゃんと自分の身の丈が合ってないと不可能だ。
まあ、なにはともあれ人生はゲームである。死ぬ前にちゃんとクリアできる事はクリアしておくに越したことはない。
楽しいクエストだけ受けて、やっていきたいものである。億り人クエストも楽しんでやれたら、それでいい。
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武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 教授
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(2025/3/18更新)
【著者プロフィール】
都内で勤務医としてまったり生活中。
趣味はおいしいレストラン開拓とワインと読書です。
twitter:takasuka_toki ブログ→ 珈琲をゴクゴク呑むように
noteで食事に関するコラム執筆と人生相談もやってます
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