『こうして社員は、やる気を失っていく』という書籍が売れていると聞きました。
もしかしたら「日本人は死ぬほど会社が嫌い」という現実を表しているのかもしれません。
その際、編集者の方から、その本のプロモーションとしてイベントをやるのですが、登壇しないかとお誘いを受けたのです。
少し考えましたが、結局お引き受けしました。(イベント詳細は、記事末尾です)
その理由は、この本の序章に書かれている「部下のやる気を高めようとするより、やる気を削ぐ行為を直ちにやめろ」というメッセージをもっともだと思ったからです。
他人のやる気は操作できない
私が考える「やる気」に関する議論で最も重要なのは、「他人のやる気は、都合よく操作できない」という点です。
というのも、人のやる気というものは、仕事だけではなく、様々なプライベートな要因によっても、上がったり下がったりするからです。
*
かつて「管理職研修」の講師をやっていたこともあり、私は部下の「やる気」に、とても気をつかっていました。
特に、会社からも「社員には、やりたいことをやってもらおう」という方針が出ていたため、マネジャーになってからは「どうやって部下のやる気を上げようか」と悩みました。
そんなある日、私は普段頑張っていた部下の一人が、元気がないと気づきました。
お客さん先なのに落ち込んでいて、明らかに仕事が手についていないようなのです。そこで「これは良くない」と思い、後で理由を尋ねたところ、
「そんな風に見えます?」と言われました。
「普段と違うとは思う」というと、彼は
「すいません、プライベートの事情で落ち込んでます。」
というのです。
ああ、なるほど。
勘違いしていた。
そう思いました。
つまり、お金をもらっているプロであれば、「仕事のやる気」と「プライベート」は切り離されており、プライベートの状況によらず、仕事を遂行するという思い込みは、間違っていたのです。
確かに都合よく切り離せる人もいるでしょうが、そうでない人もまた、数多くいるのです。
いや、むしろ仕事とプライベートが地続きの人のほうが多い。
そんな当たり前のことに気づいたのです。
だから、こんな理由で、たやすく仕事のやる気は下がります。
パートナーにフラれた。
親類縁者が重い病気になった。
娘の受験がうまくいかなかった。
昨日夫婦ゲンカした。
二日酔いになった。
好きなアイドルのスキャンダル。
最近太った。
ランチがおいしくなかった。
財布を落とした。
むしろ、人生における仕事の優先度が低い人は、「好きなアイドルのスキャンダル」に心奪われて、仕事どころではない、という事が普通にあるのです。
そして、ここから得た教訓は、「上司がいくら踏ん張っても、人のやる気は予測不能かつ、操作不能」という事実です。
上司は部下のプライベートで下がった「やる気」に責任を持つ必要などない。
「それはそれ、これはこれ。プライベートで悩んでいるなら休みをとれ、出勤するなら仕事しろ」と言えばいいのです。
上司はせめて「部下のやる気」を削ぐようなことはするな。
ただし、これをもって上司が「部下のやる気」に無関心でよいという事にはなりません。
というのも、上司が「やる気を削ぐ原因」になるケースも多いからです。
例えば、上述した『こうして社員は、やる気を失っていく』には、こんな「やる気を削ぐ上司」のケースが記載されています。
・理由や背景を説明しない──「意味のない、ムダな仕事」と思わせる上司
・一方通行の指示──双方向のコミュニケーションがとれない上司
・話を聞かずに結論を出す──頭ごなしに決めつける思い込み上司
・意見も提案も受け入れない──「自分が絶対」のお山の大将上司
・言うことに一貫性がない──行き当たりばったり上司
こんな上司であれば、プライベートに関わらず、会社が憂鬱な場所となるのは無理ありません。
上司がわざわざ、仕事を邪魔しているようなものです。
私のかつてのボスは、こう言っていました。
『上司の役割は、部下の靴の中の石ころを取り除いて、走りやすくしてあげることだよ』と。
それはつまり、上司は部下の仕事の障害を取り除くことがメインの仕事であり、「部下のやる気を上げよう」なんて考えなくていいということ。
そして、せめてやる気を削ぐようなことはするな、という意味だと私は理解しています。
*
以下、『こうして社員は、やる気を失っていく』トークイベントのご案内です。
日時:2022/09/21 (水) 19:00 – 20:30 【店頭参加およびオンライン参加】
数多あるマネジメント書籍ではモチベーションを高め、高い意識で目標に突き進むチームを創り出していくことを目的としています。
しかし、そういった意識向上を果たしたチームの影に、振り落とされてしまった人々がいるのではないでしょうか。
本イベントは、社員のモチベーション管理と組織管理を題材にした対談イベントとなっており、モチベーションの下がらないチームの形成を扱います。
-スパークル株式会社- 1.企業の課題解決に向けたDX推進人材の採用・育成に関する状況 -ティネクト株式会社- 1.「営業リストが尽きた時に次に取るべき行動とは?」
(文責-ティネクト株式会社 取締役 倉増京平)
【ウェビナーのご案内】
中堅・中小企業の経営者や人事担当者様向けに仙台を拠点に活躍するベンチャーキャピタル・スパークル株式会社様と共催セミナーを実施します
営業リストが尽きたらどうする?生成AIを使って自社で始めるDX人材育成とweb集客
社員が主導で新規顧客を呼び込む体制づくり ~成功事例をベースにわかりやすく紹介~
<内容>
2.DX推進人材の具体例とスキル要件
3.人材育成の進め方とそのポイント
4.弊社の支援内容の紹介
2.【STEP 1:自社で始める生成AIを使ったWEB集客の基本ステップ】
3.【STEP 2:成功事例で学ぶ生成AIを使った具体的なアプローチ】
4.生成AIを使った自社社員が動ける仕組み作り
5.まとめと次のステップへ
日時:
2024/11/22(金) 10:00-11:30
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込みは
ティネクトウェビナーページ
ご覧ください
【著者プロフィール】
安達裕哉
元Deloitteコンサルタント/現ビジネスメディアBooks&Apps管理人/オウンドメディア支援のティネクト創業者/ 能力、企業、組織、マーケティング、マネジメント、生産性、知識労働、格差について。
◯Twitter:安達裕哉
◯Facebook:安達裕哉
◯有料noteでメディア運営・ライティングノウハウ発信中(webライターとメディア運営者の実践的教科書)