長女と次女がそろって小学校を卒業して、一ヶ月ばかり経ちました。

 

しんざき家は5人家族でして、長男が高校二年生、長女と次女が中学生の双子というパーティ編成になっています。

つい先日長男が生まれた記事を書いたような覚えがあるんですが、本当時間が経つのが早すぎてびっくりしますよね。この調子だと来週くらいには22世紀になってるんじゃないでしょうか。

 

長女次女も、それぞれ中学受験を経験しました。鉄道研究部に入りたくて中学受験を目指した長男と同様、それぞれの理由があって「この学校がいい!」と主張した為受験に突入したわけですが、幸い二人とも行きたい学校に合格というめでたい結果に終わりまして、さすがにちょっとほっとしています。

 

中学生活も順調に滑り出しているようで、「今日は友達とどんな話をした」「今日はどんな部活を見学した」といったことを盛んに報告してくれています。楽しい3年間を過ごせればなによりだと思います。

 

それはそうと、二人同時中学受験はそこそこ大変でした。

以前から何回か書いている通り、しんざきは昔補習塾のアルバイトや家庭教師のアルバイトをやっていまして、受験に挑むご家庭もそれなりの数見てきました。で、親御さんの気持ちも多少は分かっていたつもりなんですが、やはり聞くとやるでは大違いということで、いざ自分が中学受験生の親になってみると、とにかく「頭では分かっていても出来ない」ことだらけでした。

 

子どもたちが全員中学受験を終え、当面は家庭内で同イベントが発生することもないだろうと思いまして、ちょっと中学受験についての所感や気づきをまとめておきたくなりました。

 

主に書きたいことは、

「親だけ焦っても仕方ないので、親子、兄弟間のペースの違いを無理に埋めようとしない方が良さそう」

「年が近い兄弟・姉妹(しんざき家の場合双子)の褒め方にだいぶ気をつかった」

「子どもに勉強を教える場合、適切な距離感が重要そう」

辺りです。よろしくお願いします。

さて、あとはいつも通りざっくばらんにいきましょう。

 

受験に当たって、親子間の「ペース感覚」のずれが最大の注意事項だった、ということ

一つ目は、当たり前のようですが、とにかく「親だけ焦っても仕方ない」ということです。

 

「中学受験は親子の二人三脚」とはよく言われる話ですが、これ、「親も子どもと一緒に走らないといけないよ」という話と同時に、「まずお互いのペースを合わせてから走らないとすっころぶよ」ということでもあるよなーと思うんですよね。

前者の意味で捉えられがちな言葉だと思うんですが、むしろ後者の方が大きいかも知れない。

 

親としては、子どもが「○○中学に行きたい」と言った時、「行きたいのは分かったが、その為にもうちょっと頑張らなくていいのか?」となって、ついつい急かしてしまいがち。

だらだらしているように見える子どもの感覚と親の感覚が合わず、小言ばかりになってお互い疲弊する、という状況が非常にありがちなんですよ。塾時代にも散々見てきました。

 

もちろん、大抵の子どもはタスク管理というものが苦手ですし、小学生は基本的に勉強よりも遊びの方が好きなので、ついつい受験勉強なんて放って遊んでしまいがちです。

その点、ほっとくといつまでも勉強の習慣がつかないので、ある程度はタスク処理のペースを作れるようサポートしてあげないといけない。それは間違いないんです。

 

その為には、時には「遊びを切り上げて勉強しようね」「宿題も片付けようね」というように、いわば「急かす」ことが必要になることだってあるでしょう。

 

ただ、受験というのは長距離走なので、「どんなペースが適切か」ということは非常に大事だし、子どもが自分のペースを掴んでいない状態で、親が急かし過ぎても仕方ない。

のんびりした子をやたらと急かしても、親の焦りが伝わって子どもにストレスがかかる一方、そんな急に一生懸命頑張れるわけでもないので、親子ともに疲弊するだけでむしろ逆効果なんですよね。

 

ここ、「急かす」と「焦らない」のバランスの取り方がとても大変でした。

子どもによっても違うし、学習状況によっても違う。3人体験しましたが3人とも大変でした。

 

そもそもペース感覚というものを身に着けているかどうか、という話もあります。

大人は、既に受験やら定期試験やらを経験しているので、「どういうペースでどれくらいの勉強をすれば、大体これくらいは学力を向上させられる」という感覚が、なんとなくでもある程度身についています。

例えばの話、「全くのゼロの状態から、2か月で受験合格するのは現実的かどうか」とか、「資格試験で合格するには、大体一日どれくらいの勉強時間で何十日くらい必要か」とか、もちろん個人差はあるんですが、まあ「一般的なペース配分」のイメージくらいはある。

 

ところが、中学受験というのは、大抵の小学生にとって「初めてのガチ試験」なわけです。

当然、何カ月、何年という勉強期間なんてイメージしてないし、その中でどういうペースを作っていけばいいかなんて全然分からない。

 

その「まっさら」な状態が想像しにくいので、親としてはついつい「もうちょっと急いだ方が良くない?」って言いたくなっちゃうんですよね。

私も、「そんなペースで大丈夫か?」って言いたくなる場面、散々経験しまして、ずいぶんやきもきしました。

 

しんざき家の場合、

「子どものペースが分かるまではなるべく緩めに振る」

「飽くまで適切なペース作りについてアドバイスするだけで、中身についてはあまり口を出さない」

「塾が大変そうな時期は家庭では緩める」

「やると具体的に決めていたことをやっていなければ指摘する、くらいで、かつ指摘は可能な限り具体的にする」

「オフの時間はきっちりオフと決めて、勉強の話はしない」

「長女と次女の進捗具合を比較するのは避ける」

くらいに気をつけました。

 

元々がみんなのんびりペースの子たちだったので、「まずは勉強するトリガーは決めよう」というくらいの話はしたんですが、指摘するのは飽くまで「こういうスケジュールで勉強する、って決めてたから出来るだけその通りやろうね」くらいで、「勉強しなさい」的なことはあまり言わないようにしました。

結果的にはそれでなんとかなったので正解だったのだと思います。これが確立出来るまで大変やきもきしましたが。

 

「塾と家庭の負荷のバランスをとる」というのも結構大事ですよね。

やっぱり塾でも大変な時期とそうでない時期で波がありまして、家庭と塾両方大変だと子どもの逃げ場がなくなってしまうので、時には塾任せにして家庭ではある程度だらだらさせてあげる、というのも必要かと思います。

この辺は子どもによっても適したやり方が全然変わってくると思います。手探り重要です。

 

年の近い兄弟・姉妹の褒め方

二つ目は、「年が近い兄弟・姉妹(しんざき家の場合双子)の褒め方にだいぶ気をつかった」という話です。

 

特に子どもが勉強する際、「他の子と比べる」というのは非常にセンシティブな話であって、大抵の場合子どものモチベーションが下がります。

「他の子に負けている」という状況に奮起する子もいないとは言いませんが、多分そこそこ希少です。

 

ただ、兄弟姉妹を代表として、すぐ近くに比較対象がいるという状況だと、子ども同士がお互いを比べてしまうし、親が自分以外の子を褒めている言葉も直接聞こえるんですよね。

結果、子どもの中で自分の評価が「相対評価」になってしまい、もう一人が褒められていることが「自分が褒められていない」という受け取り方になりがちだということに、体験してみて改めて気づきました。

 

しんざき家の場合、次女が特に「長女が褒められていること」を気にしがちだったんですよね。

長女が褒められると、自分の価値が下がったように感じてしまう。長女は要領と飲み込みが良い方で伸びも早かったので、余計「自分はそうじゃない」と思ってしまいがだったのかも知れません。

 

対策として、褒める時は出来るだけ長女次女でワンセットで、かつ具体的にポイントを絞って褒めるように気をつけてはいました。

とってつけたような褒め言葉ってあまり刺さらないので、「どういうところがよく出来たね」って具体的に指摘してあげた方が、本人的にも励みになるんですよね。かつ、一方が褒められている時も範囲が限定されているので、そこまで相対評価でストレスを感じなくても済む。

 

褒める時は具体的に、と良く言われますが、子どもが複数人いる時はそれを通常以上に気をつけないといけないのかもなあ、と思います。

 

幸いというか、長女と次女は得意分野が違ったので、「私は国語では負けない」とか「私は算数が得意」みたいな棲み分けが出来ていたようですが、この辺もバランスが重要だなあと感じました。

 

適切な距離感

三つ目は、「勉強を教える場合、適切な距離感が重要そう」ということです。

 

特に子どもに勉強を教えてと頼まれた時、「出来ないことは出来なくて当然」と思えるか、という話です。

これも当たり前の話なんですが、学習能力やタスク処理能力は人それぞれであって、親が出来たのと同じように子どもも出来る保証など全くありません。

 

分かる人ほど「分からない」気持ちが分からないというか、特に親子くらい距離感が近いと、子どもに感情移入し過ぎちゃって「こんなことが分からない筈がない」ってなりがちなんですよね。

結果、教え方が強くなったり、教える側がいらだってしまって子どもが萎縮してしまう。

 

補習塾で同じようなケースは散々見ていて、頭ではよく分かっているつもりだったのに、自分の子ども相手となると「あれ、なんでこれが分からないんだろ」って考えてしまいがちで、正直自分でもびっくりしました。これをコントロールするのはなかなか難しいなーと思ったわけです。

 

この対策として、私は「教える時は仕事モード」と考えて、仕事で新人さんに教えるくらいの距離感で、「わかんないことは何度でも聞いて、どんなしょうもない質問でもいいから」と強調することでなんとか乗り切ったのですが、これは色んなご家庭で共通の課題じゃないかなあと感じました。

 

あと、「親として、自分も分からんところははっきり分からんという」「時々、教える立場と教わる立場を入れ替えてみる」というのも有用かも知れない、と思いました。

 

「教える側」に立つことで理解がいきなり進む子、というのは結構珍しくありませんで、「これわかんないからお父さんに教えて?」というと張り切って教えてくれて、それで本人も出来るようになったりするんですよね。

特に私は受験理科の知識がほぼ皆無で、植物の特徴やら滑車の計算やらマジで何も覚えていなかったので、長女次女に色々教えてもらったのは普通に勉強になりました。

 

長くなりました。

もちろん育児や勉強の方針は子どもそれぞれ、家庭それぞれであって、しんざき家でうまくいった手法が他の子どもに同じように当てはまる保証もありません。その点、「たまたま上手くいった例」とだけ考えて、気に入ったところだけ参考にしていただければと思う次第なのです。

 

今日書きたいことはそれくらいです。

 

 

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【著者プロフィール】

著者名:しんざき

SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。

レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。

ブログ:不倒城

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