いやーーー、ものすっっっごく面白いですね知恵のかりもの。久々に睡眠時間を削ってドはまりしてます。
オクタロックいっぱい配置して四方八方から弾幕張るのが、火縄銃配置して明智光秀ごっこしてるみたいで好きです。
この記事で書きたいことは、大体以下のようなことです。
・「ゼルダの伝説 知恵のかりもの」がとても面白いです
・100種類以上の「カリモノ」の応用範囲が非常に広く、使い道を考えるだけで楽しいです
・様々なマップや謎を解くための解法が、脳筋から知的エレガントまで様々あり、思いついた解き方は大抵実現できます
・この辺、「考えれば考えるだけ楽しい」ゲームになっていて素晴らしい
・見た目はSwitchリメイク版「夢を見る島」ですが、遊んでる時の感覚はブレワイやティアキンに近いかも知れません
・唯一「カリモノ」の検索性だけもうちょっと何とかなるといいなあと思います
・皆さん知恵かり遊んでください
以上です。よろしくお願いします。ストーリー的なネタバレは避けますが、どうしてもゲーム内容には触れてしまう箇所がありますので、気になる方は是非遊んでからご覧ください。
ということで、9月26日に「ゼルダの伝説 知恵のかりもの」(以下知恵かり)が発売されました。
今までのゼルダシリーズでは(一部例外はあるものの)ほぼ安定して「捕らわれのヒロイン」ポジションだったゼルダ姫が主人公となり、自らハイラルを冒険する初のタイトルです。
ゼルダ姫はもちろん姫なので、剣も振れないし弓も使えません。そんなゼルダがどうダンジョンや魔物を攻略していくかというと、それが「カリモノ」。
今回ゼルダは、壷やベッドなどの家具や置物から、オクタロックやモリブリンといったおなじみの魔物まで、様々なものを「カリモノ」として習得して、それらを自由に呼び出しながらマップを攻略していくのです。
このカリモノの使い道が、まずびっくりするくらい「だだっ広い」んですよ。
たとえば、足場・マップの踏破手段。序盤で手に入る「テーブル」や「ベッド」「木箱」などは、組み合わせて足場として使うことが出来ます。カリモノにカリモノを重ねて配置することも出来て、若干物理法則を無視した足場も作れるので、「どれとどれを組み合わせたらあそこまでたどり着けるか?」を考える遊びが、それだけでめちゃ面白いです。ブロック配置と踏破の感覚は、さながら「ソロモンの鍵」ないし「バベルの塔」。
障害物としての用途。攻撃手段としての用途。木箱を作って敵からの視点を遮ったり、重い岩で敵を無理やり押しのけたり、水のかたまりで火を消したり。対象物と自分の動きを同期させる「シンク」の能力が、ティアキンのウルトラハンドばりに高い応用力を誇っています。
もちろん家具としての用途があるカリモノもあり、例えばベッドではちゃんと睡眠をとってハートを回復することが出来ます。
これがまた、ゼルダ姫が全く姫らしくないたくましさで、本当にどこでもスヤァッと寝てくれまして、海上でぷかぷか浮かびながら昼寝したり、ダンジョンでダメージを受けた後軽くひと眠りして回復するのはもとより、ボス戦で相手の隙を見てハートを回復するなんてことまで出来るので、いかに極限状態でお昼寝するかを競うエクストリーム睡眠がはかどるわけです。
魔物のカリモノについても、「呼び出して戦わせる」という機能があるのはもちろん、その際にも「こいつとこいつは相性が良い」「こいつは意外とこういう場面で刺さる」といった要素が山ほどあります。
ウィズローブやタートナックといったシリーズおなじみの面々を召喚して一緒に戦えるというのはそれだけで十分熱いのですが、一見弱そうな魔物でも色んなところで使い道があり、自分なりの作戦を立られるのも重要なポイントです。
オクタロック大量ばらまき四段撃ち、首領オクタロック大往生って感じで超楽しい。リーデッドで動きを止めて背後急襲とか、爆弾魚を地雷配置して挟み撃ちとか、戦術的にも色々考えられます。
また、魔物は移動手段としても使えたり、障害を排除する手段、スイッチを押す手段、地形を変える手段などなどなどなど、これまた用途が山盛りです。
先ほどの「シンク」って「相手の動きを自分に同期させる」だけじゃなくて、「自分の動きを相手に同期させる」ということも出来るんですよね。これがまた、とんでもない応用性と奥の深さを生んでいると思います。デバッグどんだけ大変だったんだろうと思う程です。
「ゼルダの移動速度がちょっと遅いなーペガサスの靴ないかな」とか思っていたら、バウンジローやタイムカッターの存在に気づいていきなり世界が変わりました。タイムカッター暴走族ゼルダ楽しい。
「知恵のかりもの」の面白さ、その最大のポイントを一言で言い表すなら、「カリモノの応用範囲を背景にした、ゲームのとんでもない幅広さと許容範囲」という言葉になるかと思います。
前述の色んなカリモノを組み合わせた時の踏破力がとにかく凄くって、「ここ、今行けていいの!?」とか「ここは行けるところなの!?」ってびっくりする瞬間が、序盤から山ほどあるんですよ。
大量に木が配置されているとか、あからさまに高い崖で塞がれているとか、従前の感覚なら「ここはゲーム的に今は行けない場所だよね、もしかするとゲーム後半で突破出来るのかな……」といったところが、カリモノ次第で「え!?今突破出来るじゃん!」ってなったりする。それも突破方法がひとつではなく、いくつもいくつも正解がある。
ダンジョンや個別マップでの様々な謎解きでもそれは同様で、「多分、用意された「正規ルート」はこの解き方なんだろうな」というものとは別に、カリモノ次第で色んな「別解」が思いつきますし、しかもその「別解」も大抵通用する。
エレガントな解き方以外に、脳筋上等で無理矢理打開、なんてことも全然問題なく出来るわけです。もちろん、従来通り「正解」は何かを考え抜くことも出来る。
これ、どっかで覚えがあると思ったら、オープンワールド的な楽しみなんですよね。
今までの2Dゼルダは、どちらかというと「用意された解き方を何とかして見つけ出す」という思考が普通で、それでも十分面白かったところ、今回はどちらかというと「思いついた解き方を手持ちのカリモノで無理矢理実現する」という思考の方向になっています。
この辺、従来の2Dゼルダの常識を覆す遊び方であることは間違いなく、遊んでいる時の感覚は「ブレスオブザワイルド」や「ティアーズオブザキングダム」のような、オープンワールド要素を取り入れた3Dゼルダに近いです。このゲームを「見た目は「夢を見る島」、中身は「ティアキン」と考える所以です。
これらの要素が組み合わさって、今作では「「カリモノ」をいじくり回して用途を考えること自体がゲームになっている」と言っていいのではないか、と思っています。
なにか新しいカリモノが使えるようになった時、「これ何に使えばいいだろう?」と探索すること自体が遊びの内に含まれている。カリモノを出して色々実験しているだけで十分楽しいし、カリモノの用途が分かれば分かる程探索自体もやりやすくなってくる。
しかも、「カリモノ」についての学習のさせ方がこれまた上手く、序盤は大体「カリモノを取得した後、その直後にそのカリモノを使うマップがある」という形でスムーズにカリモノの使い方が学べる一方、中盤以降はだんだんあからさまな学習マップがなくなっていきまして、プレイヤーの習熟度に応じて「自分で考える」価値が高くなっていきます。この辺りは難易度コントロールとしても職人芸だなーと感じる次第なのです。
何はともあれ、「カリモノの使い方を考えれば考える程楽しめる」というのが、本作の最大の魅力であることは間違いないでしょう。
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と、まずは「カリモノ」を中心に本作のオススメポイントを紹介したのですが、もちろん「知恵かり」の魅力はそこだけではありません。
例えばシリーズならではの懐かし要素。マップは「神トラ」に近い形で作られていまして、随所随所に過去作へのオマージュもあり、あちこちに「見たことがある!」という感覚が隠れています。ゾーラやゲルドを始め、これまたおなじみの面々がガシガシ登場することもシリーズファンには嬉しいところです。特に、神トラからのいわゆる「川ゾーラ」と、時オカタイプの「海ゾーラ」ががっつり共演してるところは個人的な感慨ポイント。「ふしぎな木の実」以来でしたっけ?
マップの仕掛けや宝探し要素についても、先述のカリモノによる踏破性を背景に、「探せば探す程色々ある」という味わいがある内容になっています。「あそこなんかありそうだな……」とアタリをつけて、頑張っていってみると大体の場合実際になんかある。時間がいくらあっても足りないヤツです。
2D画面での操作性についても、「夢を見る島」と同様の軽快さでまず文句ないところ。今回ゼルダ姫が「あなた本当に王室育ちですか?」って思うくらいタフで、ダンジョンの壁昇ったり潜水したりハシゴからハシゴに飛び移ったり、可愛らしいキャラ造形の割にマリオばりに縦横無尽に動き回ってくれるので、そこを眺めているだけでも楽しいです。
ダンジョンの謎解きやボリュームに関しても、個人的には難しすぎず簡単過ぎない、ほどよい難易度。「多くの場面で力技での解決が通用する」という点で、若干ゆるめに振られているかも知れない、とは感じました。とはいえ、頭を使って解法を見つけ出した時、「この瞬間の為にゲームやってる……!」と思えるくらい気もちいいのは間違いありません。
本作で唯一に近い不満点として、
・カリモノの検索性の悪さ
が挙げられると思っています。
本作の「カリモノ」には100種類以上のバリエーションがありまして、しかも大半のカリモノに多かれ少なかれ使い道があるので、ガンガン切り替えながら進みたくなってくるのですが、カリモノの数が増えてくると以前のカリモノを見つけるのが大変になってくるのです。
数パターンの並び替えはありますし、図鑑からセットすることも出来はするのですが、やはりいちいち切り替えるのも手間で、この辺はもうちょっとどうにかならないのかなーと感じました。例えば「お気に入り」のソート順を編集出来るとかそういう。
あと、ついでのようですが、マップに刺せるピンの数もうちょっと増やして欲しい。この辺アップデートで対応してもらえるといいなあと願うばかりです。
ともあれ、「知恵のかりもの」が総じて非常に面白く、2Dゼルダが好きな人にも3Dゼルダが好きな人にも、ついでの「ソロモンの鍵」や「バベルの塔」が好きな人にもお勧め出来る出来、ということは断言出来ると考える次第です。よろしくお願いします。
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ちょっと個人的な話をしますと、ここしばらく仕事が忙しかったこともあって、「あのゲームやりたいな……」「このゲームもやれてないな……」と思うことが増えていました。
もちろんゲームを遊ぶにはタイミングも重要とは思うんですが、自分の中で、ちょっと「ゲーマーとしての衰え」みたいなものを感じて忸怩たる思いでもあったんですよ。以前なら、むしろゲームをやる為にその他のリソースを調整するのが私の重大なタスクであって、「仕事が忙しいからゲーム出来ない」なんてヌルいこと言ってしまってるなーと。年齢を言い訳にするのはゲーマーとしては堕落だよな、と。
そんなところに、久々に「これは全リソースを突っ込まないわけにはいかない」と心から思えるタイトルに出会えて、睡眠時間をおとなげなく削ってしまっている状況です。
しばらく振りに「ゲーマー」に戻れたように感じていて大変嬉しい気持ちであると同時に、まだ全然遊びつくせてないので、当面はカリモノを駆使して「知恵かり」を楽しんでいこうと。
そんな風に考えているわけです。
今日書きたいことはそれくらいです。
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

ティネクト代表の安達裕哉が東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。
ティネクトでは現在、生成AIやマーケティング事業に力を入れていますが、今回はその事業への「投資」という観点でお話しします。
経営に関わる全ての方にお役に立つ内容となっておりますでの、ぜひご参加ください。東京都主催ですが、ウェビナー形式ですので全国どこからでもご参加できます。
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)
【著者プロフィール】
著者名:しんざき
SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。
レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。
ブログ:不倒城
Photo:Glenn Carstens-Peters