※著者は一時的ストーマ(人工肛門)造成者です。

※ストーマの種類はイレオストミーです。

※病気、治療やケアなどに関する知識などは、あなたの医者を頼ってください。

※これは一当事者の直近の感想にすぎません。

※必然的に排泄物などの話になります。読みたくない人は、今は読まなくていいと思います。ただ、いつか自分がオストメイトになったとき、なにかの役に立つかもしれないので、ブックマークでもしといたらいいかもしれない。

 

装具の交換訓練は多いほうがいい

おれはNET G1という希少がんの手術で一時的ストーマ(人工肛門)造成者となった。そのあたりについては、承前、ということでお願いしたい。

ストーマ(人工肛門)とわたくし(出会い編)

 

さて、前回はどこまで書いたか。なんとまだ入院中だ。そうだ、おれの入院は長引いた。長引いたおかげでいいことが一つだけあった。看護師さんのアドバイスを受けられる状態でストーマ装具交換を何度か多くできたのだ。

もしも、術後の経過が順調で退院となっていたら、おれはストーマ装具交換に大きな不安を持ったまま世の中に放り出されることになった。

いや、世の中のオストメイト(ストーマ造成者)は、あのくらいの回数の訓練で世に出ているのか? ちょっと信じられない。それが率直な感想だ。

 

まあいい、おだて上手な看護師さんたちにほめられて、「まあ一人で交換できるかな?」となっておれは退院した。

交換については前回書いたが、なかなか簡単に覚えられるものじゃない。手順を覚えられても手技がついてくるかどうかはまたべつの話だろう。もっと高齢になってからだったりしたら、どれだけたいへんなことだろうか。

だからといって、「若いうちになっておこう」というものでもない。ならないように、早め早めに大腸内視鏡検査受けておきましょう。

 

部屋とストーマとパウチの中身

ともかくおれは退院して、帰宅した。一人暮らしのアパートに帰ってきた。腹にストーマがついているのは変わらない。パウチをぶら下げているのも変わらない。パウチの中に溜まっていくものも変わらない。しかし、変わるものがある。周囲の景色だ。

 

病院でのストーマ装具、パウチは、はじめなにか手術直後に身体に繋がれていた管の一つのような印象だった。

尿の管、ドレーン、背中の麻酔、順番は忘れたがどんどんほかの取れていって、最後に残ったやつ、という感じだった。

 

そして、残ったそれのなかにはなにやら黒い液体が溜まっていった。最初は看護師さんがベッドに来て紙コップに処理していった。便ではなく排液とかいうものだった。

それが、便になった。便が透明のプラスチック一枚隔てた向こうにある。よく見える。それは、どうだったのか。病院のベッドの上、レンタルのパジャマ、そういった特殊な状況のなかでそれは、なにやらそういうものだな、としか思えなかった。

便を見ては、袋越しに揉んでみたりして、かためだの、やわらかめだの判断したりした。溜まってきたら、そろそろトイレで排出するかな、といった具合だ。おれはすっかり袋越しの便に慣れてしまった。パウチの先端もパジャマのズボンの中にしまうことなく、外に出していた。

 

が、これが自分の部屋に帰ってきたらどうだろう。いつも座っている座椅子、そこから見える服と本でぐちゃぐちゃになった部屋、でかいテレビ、ノートパソコン。その手前に、便の見える袋。

……これ、あんがい、ぜんぜん、なんも気にならなかったわ、おれ。

病院のベッドで慣れ親しみすぎたのか、自分の部屋の中でもズボンの中にしまうことなくぶら下げているわ。もちろん、これは人によって感じるところは大違いだと思う。ただ、おれは平気だった。べつに一人暮らしだ、悪いことではない。なんなら、ものを食べているときも出しっぱなしだ。

ただ、届け物などがあったときなど、忘れずにしまうよう心がけなければいけない。そこは注意だ。置き配万歳。

 

自宅での装具交換と必要なもの

つけたままで暮らせることはわかった。だが、交換はどうだろう。交換は避けられない。病院では処置室と呼ばれる部屋や、たまたま四人部屋で一人になったときは、病室で交換を行った。用具を置くスペースもちゃんとあった。余裕をもって交換できるようになっていた。

 

ところが、このアパートはどうだろう。とりあえず退院してユニットバスのトイレに行ってびっくりした。十年放置されていたような廃墟のように汚い。病院は病院で「いろいろ汚いですよ」と看護師さんは言っていたが、アパートは目に見えて汚かった。そして狭かった。

 

とはいえ、おれはこのユニットバスのなかで装具を交換するしかない。というか、したくない。ユニットバスというのはあれだ、水ですぐに手を洗えるし、なんならトイレもついている。排泄物をどうにかする場所にふさわしい。

というか、部屋で排泄物をどうにかするのは嫌だ。どうにかするしかない。

 

それで、どうしたのか。段ボールのなかに必要な道具や装具を入れて、トイレの上においた。そしておれは、湯船のふちにタオルを引いて座る。そういうことにした。

シャワーを浴びたあとなので素っ裸だ。だが、素っ裸なら汚れても流せばよい。冬は少し寒いがそれでいく。

 

このあとは少々細かい話になるが、だれかのためになるかもしれないので細かく書く。

 

まず、「アルケア 防臭ごみ袋 オストメイト向け ストーマ装具が臭わない袋」を用意する。

 

べつに防臭ごみ袋ならこれでなくてもいいだろうが、ストーマ装具用といわれたら初心者はとりあえず使うことになる。

リムーバーで装具を外し、折りたたんでこの袋のそこに入れる。ここで、まだ袋は結ばない。それでもそんなににおいはしないと思う。

 

次に、ストーマとその周辺を洗う。洗って、キッチンペーパーを四つ切にしたやつで拭く。おれはキッチンペーパーを切るのが面倒なので無印のカットコットンを使ったりもする。そして、使い終わったそれらを、ゴミ袋に入れるのだ。サイズ的にそのくらいの余裕はある。

 

そして、ストーマのサイズを測り、パウチの面板を切り、皮膚保護シールを切り、それらをいちいちきちんと段ボールのなかに戻し、パウダーをふり、保護シールを貼り、装具を貼る。これら、狭いユニットバスのなかでも十分できる。とはいえ、「風呂・トイレ別」だったらどうかわからない。いや、「風呂」でやればいいのか。

 

さて、これで交換は終わった。が、後始末をしなければいけない。まず、ストーマ用のゴミ袋の口をしばる。あ、装具とかのはがしたやつとかゴミは全部このなかに入れちゃえばいいと思います。で、その袋をさらに大きな「臭わないゴミ袋」に入れる。

おれは事情あっていろいろとAmazonで揃えたが、臭わないゴミ袋であればコンビニで黒いのを売っていたりする。それでもいいだろう。

袋に袋を入れて、ゴミの日までにまだ交換があるならば、軽く口を閉じる。そして、便座の横においておく。

 

そして段ボールを外に出して、手を洗って、急いで暖房の下に行く(冬は)。手の温度で十五分接着部分を温めるよう指導されたからだ。おれは手が非常に冷たいので、ホッカイロを用意しておいてもいい。

そして十五分……いや、長ければ長いほうが安心できる。しっかりくっついてくれるような気がする。というわけで、温めながらYouTubeでNOBROCK TVの一本でも見ればいいんじゃないでしょうか。交換はこれでいい。

 

自宅での排出と必要なもの

交換より先に排出の話をするべきだったろうか。まあいい、もちろんパウチにぶつが溜まれば排出しなくてはいけない。

これについても、まだまだ若輩者ながら、ネットで得た知識などをもとに編み出した自分なりのやり方を書いておきたい。むろん、イレオストミー向きの話になる。

 

まず、トイレットペーパーを適当に二枚ちぎって、ゆるいこよりを作る。ホルダーの上に置く。そして、さらに一枚ちぎって、その上にのせる。

つぎに、アルケア拭き取りシート デイリーデオワイプを用意する。これもストーマ用商品でたいへんすぐれているのではないかと思うが、たぶん高いので赤ちゃんのおしりふきシートとかでもいいかもしれない。

これは一枚のままだと使いにくいので(あくまでイレオストミーのキャップ式の場合)、三つくらいにちぎる。これで準備はできた。

便器のなかにトイレットペーパーを一枚敷く。跳ねないような気がするからだ。そして、一度キャップを上に向けて開き、中腰になって、できるだけ低い位置から排出する。

 

排出が終わるのをしつこく待って、ようやく最初のトイレットペーパーでだいたいの拭き取りをする。そして、こより状にしていたやつをキャップのなかに入れて回して拭き取る。これを二回やる。

これで十分、といえるかもしれない。しかし、やはりにおいがどうなるのか気になる。そこでウェットな拭き取りシートでとどめの拭き取りをする。最後の一切れはキャップを閉めたあとを拭く。……これで完璧なんじゃないかな。

 

で、終わったあとは消臭だ。おれは病院でふつうの便とは違う方向性のにおいにずいぶん驚いて、嫌な感じを抱いたものだったが、トイレにおいてあった消臭剤の威力にはさらに驚いた。

パナソニックの二オフ、これである。これもまた商品説明でストーマについて触れているわけだが、べつにほかのにおいにも効くだろう。なにかにおいで困っている人は試してみるといいかもしれない。ただし、高い。

 

ちなみに、ストーマからの排出の特殊なにおいは、その後なんというかふつうの便のにおいになってしまった。なってしまった、というのは、おれはこれをすでに買ってしまっているからだ。

でも、ひょっとしたら自分の鼻が慣れただけかもしれないので、使ったほうがいいかもしれない。というか、おれは一人暮らしだからいいが、家族のいる人は使ったほうがいいだろう。なにせ、ストーマからの排出はそもそも水洗トイレの水に入ってくれないのだ。

 

ストーマ装具のあれとこれ

本当はストーマ装具(パウチ、というと正確ではないのかもしれない)のあれこれを述べたかったが、おれが今までに装着したことのある装具は二種類だけなので、あれとこれ、だ。

最初に装着した、というか、手術中に装着してもらったのは、イレファインDキャップというものだったと思う。たぶん。

全面透明のイレオストミー用装具。透明のものとそうでないものがある、という予備知識はあったが、とりあえず全面透明のものを使った。二回か三回交換した。「透明と不透明ではQOLが違うという話もあるが、これしかつけたことのない状態ではわからんな」と思った。

病院がすすめるのだから、これを使うことになるのだろうか。まあ、今のところ一時造設の予定だからこれでもいいか? これの不透明バージョンはないのか? ないのか、などと調べたりもした。

 

そうしていたら、出入りの業者がべつのサンプルを持ってきたという。それが「やわらか凸シャローイレオ」というへんな名前のものだった。

これは全面透明でなく上部が不織布で覆われている。「お、透明じゃない」と思った。どうも不透明のやつは全体が不透明みたいだが、これは下の方が透明だ。

でも、やっぱり不透明なのはいいな。そう思った。そんなに全部丸見えな必要はないじゃないか。そう思った。下の方は見えるけれど、状態や量を見られるのは悪くないんじゃないのか。そう思った。

 

そして、それが「やわらか」なのかわからないが、お腹への締付けのようなものがやさしかった。もちろん、しっかりとお腹へはりついて漏らさないのが最重要なのだが、病棟をリハビリ歩行するときに、イレファインとじゃずいぶん違うんだよな。あっちはきつすぎた。

 

というわけで、おれは看護師さんにはっきりと「こっちのほうがいいです」と言った。

入院が長くなりそうだったので、病院内から二箱目を注文した。もう、これでいいんじゃないのか。世の中にはほんとうにたくさんのストーマ装具があるけれど、おれは今のところ一時ということだし、外を歩き回ることもないし、真夏までには終わっているはずだし……。

そんなところだ。ただ、どうもこの「やわらか」は値段が高いような気がする。まあ、我慢する。

 

とりあえずは、こんなところです

とりあえずは、まあこんなところです。ストーマ造成する人、した人、するかもしれない人(その可能性はほとんどだれにだってあるといえる)に、あるいは家族がそうなる人に、なにか役に立てばいい。まあ、自分の経験や印象を書き残しておきたかったというのもあるから役に立たなくてもいい。

 

しかしまあ、長々と書いてきたけれど、ストーマ、嫌なものです。装具によって寝返りも打てないし、うつぶせで眠ることもできない。そんなことよりも、内臓が外に出ていることによる恐怖と緊張がどうにもストレスになる。

正直言ってしんどい。これは工夫やアイテムでどうにもならない根源的なこわさだ。そして、その外に出た内臓がなにか音を出したりしてうごめいているのを感じるのはとても不快だ。

 

そしていまおれはものが食べられなくて困っている。腸閉塞の原因になる食べ物を避けた結果、お粥とうどんとたまごと豆腐とサラダチキンくらいしか食べられないというのもある。しかし、それよりもストーマが働く、動くのがこわい。

 

これを書いている今、おれはまだきちんと社会復帰していない。入院、手術後の体力回復が通勤するところまでいっていないからだ。なので、在宅で仕事と静養とリハビリをしている。

「日常編」というのであれば、以前と同じように会社に通うところまでいってから書くべきだろうが、今の「感じ」を書き残しておきたかった。

 

通勤などするようになったら、またなにか緊急時のために持ち歩くものとか、会社に置いておくものとか、そういう話も出てくるかと思う。自転車に乗るとか、それなりに歩くとか、外のトイレで排出するとかも。

 

でも、今のところはこれで。なにせおれは、一日だけ数時間会社に顔を出したが、そのときでさえ十分に飯を抜いて行った。

まだおれには覚悟ができていない。なんていうのかな、これはなかなかにつらいものだ。ほんとうに。それだけは最後に言っておく。

 

 

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【著者プロフィール】

黄金頭

横浜市中区在住、そして勤務の低賃金DTP労働者。『関内関外日記』というブログをいくらか長く書いている。

趣味は競馬、好きな球団はカープ。名前の由来はすばらしいサラブレッドから。

双極性障害II型。

ブログ:関内関外日記

Twitter:黄金頭

Photo by :Mylène Larnaud