組織において、「会議が多くて…」と嘆くひとは極めて多い。週の定例会議、営業会議、経営会議、部内のミーティング、チーム定例…数えあげればきりがないほどの会議がそこには存在する。
だが、「会議」という言葉を聞くと「もう会議はうんざり…」といった声が多いのは、残念ながら無駄な会議が多いからだろう。
だから、巷には「会議の生産性を高める」といった本や、「会議のやり方」に関する記事などがあふれている。しかし、そもそも「会議」など、ほんとうに必要なのだろうか。なぜこんなに会議が増えてしまうのだろうか。
そこで、上司の方々に「なぜ会議をするのですか?」という素朴な疑問をぶつけると、 ほとんどの回答は「情報共有」および「顔を合わせて話すことが大事」であった。
だがここで会議の参加者と意見の食い違いがある。
参加者の方々は「情報共有」はメールやLINEなどのツールやグループウェアなどでも十分だし、顔を合わせることについても、会議では一方的に上司がしゃべるだけであり、特にコミュニケーションがうまく取れている印象はないという。
もちろん、アイデアを出したり、複雑な問題への対処は文字のやりとりよりも直接話したほうが早いので会議は有効だ。しかし、聞けばほとんどの会議は上司の「独演会」となっているようである。
つまり、皆の仕事の状況を聞き、それに対してツッコミを入れ、上司の考え方を発表する場。それがほとんどの会議の正体だ。
したがって、この会議ムダと捉えるかどうかは、上司と部下の関係によりかなり異なる。
どういうことか。
有り体に言ってしまえば、上司が支持した仕事の遂行率が高く、きちんと相談がなされていれば会議は不要と考える上司が多い。
逆に、上司が支持した仕事がきちんとなされず、報告もない場合、上司は会議を頻繁に開催したくなる。
会議の多い会社の上司はこう言う。「うちの会社では、会議で詰めないと、皆きちんと仕事しないですよ」
会議の少ない会社の上司はこう言う。「うちの会社では、会議不要ですよ。大体のことはきちんと納期まで遂行されますし、困ったら自発的に相談にも来ますから」
会議の量と、社員の仕事の遂行率にはかなり密な逆の相関がある。それが私の印象だ。
例えば、会議が劇的に少ないある会社は、次のような管理を行っていた。
上司は、仕事を部下に依頼するときに必ずメモを渡す。その中には納期や達成すべき水準が書かれている。そして、そのメモの一部をちぎり、「半券」は自分で所持しておく。
その「半券」は、上司の机の後ろの「半券管理表」に人別に貼りだされ、どの人間がどの程度の仕事を抱えているか、自分が何を支持したかがだれでも一目見てわかるようになっている。
このやり方のメリットは、
「各人の仕事の量の可視化」
「各人への依頼記録の保管」
「納期管理」
が一度にできることだ。タスクが全員にが可視化されているので、知らない間に仕事が消えていることもないし、上司が依頼したことを忘れてしまうこともない。また、滞っている仕事が一目でわかるので、相談にも乗りやすい。
逆に会議が多くて皆が不満を持っている会社は、毎回会議で上司が部下を叱るのだが、上司は次の週には言ったことを忘れ、部下もなんとかこれ以上仕事を押し込まれないように最小限のことしか報告しない。
そんな悪循環に陥っている。
会議を減らしたいなら、まずは組織的なタスク管理の方法を検討すると良いのではないだろうか。会議のやり方を見直すだけでは、会議の課題は解決しない。
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第6回目のお知らせ。

<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>
第6回 地方創生×事業再生
再生現場のリアルから見えた、“経営企画”の本質とは【ご視聴方法】
ティネクト本音オンラインラジオ会員登録ページよりご登録ください。ご登録後に視聴リンクをお送りいたします。
当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。
【今回のトーク概要】
- 0. オープニング(5分)
自己紹介とテーマ提示:「地方創生 × 事業再生」=「実行できる経営企画」 - 1. 事業再生の現場から(20分)
保育事業再生のリアル/行政交渉/人材難/資金繰り/制度整備の具体例 - 2. 地方創生と事業再生(10分)
再生支援は地方創生の基礎。経営の“仕組み”の欠如が疲弊を生む - 3. 一般論としての「経営企画」とは(5分)
経営戦略・KPI設計・IRなど中小企業とのギャップを解説 - 4. 中小企業における経営企画の翻訳(10分)
「当たり前を実行可能な形に翻訳する」方法論 - 5. 経営企画の三原則(5分)
数字を見える化/仕組みで回す/翻訳して実行する - 6. まとめ(5分)
経営企画は中小企業の“未来をつくる技術”
【ゲスト】
鍵政 達也(かぎまさ たつや)氏
ExePro Partner代表 経営コンサルタント
兵庫県神戸市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。3児の父。
高校三年生まで「理系」として過ごすも、自身の理系としての将来に魅力を感じなくなり、好きだった数学で受験が可能な経済学部に進学。大学生活では飲食業のアルバイトで「商売」の面白さに気付き調理師免許を取得するまでのめり込む。
卒業後、株式会社船井総合研究所にて中小企業の経営コンサルティング業務(メインクライアントは飲食業、保育サービス業など)に従事。日本全国への出張や上海子会社でのプロジェクトマネジメントなど1年で休みが数日という日々を過ごす。
株式会社日本総合研究所(三井住友FG)に転職し、スタートアップ支援、新規事業開発支援、業務改革支援、ビジネスデューデリジェンスなどの中堅~大企業向けコンサルティング業務に従事。
その後、事業承継・再生案件において保育所運営会社の代表取締役に就任し、事業再生を行う。賞与未払いの倒産寸前の状況から4年で売上2倍・黒字化を達成。
現在は、再建企業の取締役として経営企画業務を担当する傍ら、経営コンサルタント×経営者の経験を活かして、経営の「見える化」と「やるべきごとの言語化」と実行の伴走支援を行うコンサルタントとして活動している。
【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
ご視聴登録は こちらのリンク からお願いします。
(2025/7/14更新)
・筆者Facebookアカウント https://www.facebook.com/yuya.adachi.58 (スパムアカウント以外であれば、どなたでも友達承認いたします)
・農家の支援を始めました。農業にご興味あればぜひ!⇒【第一回】日本の農業の実態を知るため、高知県の農家の支援を始めます。
(Photo:John Benson)