最近「副業」の盛り上がりが著しい。

 

ついに厚生労働省も「モデル就業規則」に、副業を認める文言を入れるように変えるという。

副業容認、就業規則例を見直しへ 厚労省

厚生労働省は、会社員が副業や兼業をしやすくするため、企業が就業規則をつくる際の参考として示している「モデル就業規則」を見直す方針を固めた。副業や兼業を禁止する項目を削除し、原則として容認する内容に変更する方針だが、労使の代表から長時間労働の是正の動きに逆行しかねないとの懸念も出ている。

遅きに失した感が否めない対応だが、実は現場はもっと進んでいる。

なにせ、副業で「超」稼げる時代が、すでに来ていたのだ。

 

*****

 

例えば、コンサルタントのKさんは、本業で某有名ファームに勤めつつ、副業でも知人の会社を手伝っており、そこから年間数百万円の報酬を得ている。

Kさんは「会社が長時間労働を禁止する方向にある。Up or OUTではないが、逆に「もっと稼ぎたい」という人には物足りない」と言う。

「今の会社で役員を目指すのはけっこうキツイ。政治もあるし、運もある。なによりせっせと上司の機嫌を取らなきゃならない。なら、気の合う知人の手伝いをして稼いだほうが良い。多分ウチの上司よりも、私のほうが稼いでいるし、人脈もある。」

 

また、webエンジニアのOさん。

本業の会社でもトップエンジニアであり、更に副業でも稼ぐ。

 

会社は最近の潮流で「副業OK」としているので、堂々と他の会社の技術顧問や制作の依頼を受け、自身も外注を使いながら、月間100万円以上を副業から得ている。

「今の会社は自由でいい会社。でも出世は望まない。それよりも副業で稼いだほうが遥かに効率的」という。

彼もまた、「上司よりも稼いでいる」人の典型だ。

 

以前、「副業」と言えば、ブログのアフィリエイトやアルバイト、物品の転売程度だった。

だが、現在の副業はむしろ、企業側が「フリーランス的な動きが可能な人」を求めているので、「業務委託」の形になり、能力の高い人はかなりの金額を稼ぎ出すことができる。

それこそ、本業の給与に匹敵するくらいに。

 

*****

 

このような話をすると「特殊な事例では?」という方が居る。

3年前であれば、私も「特殊ですね」と言っただろう。

 

しかし、現在は特殊な事例、というには数が多すぎる。

現に、「新しい働き方」を求める人が副業に着手し、企業も「フリーランス、副業者」の利用を積極的に始めている。

 

これは、「正社員が採れない」が転じて「正社員にはこだわらない」となっており、企業がますます、正社員にこだわらず「優秀な人」を求めるようになっていることの現れともいえる。

実際、「フリーランス、副業」だけではなく、多くのコンサルティングファームも軒並み最高の業績を記録している。

 

また、最近はリモートワークツールがかなり実用的になったこともあり、「フルリモート」でも十分なパフォーマンスを発揮できることも一つの要因だろう。

 

ある、コンサル出身者はこう言った。

「サラリーマンの平均給与が下がっている理由の一つが、正社員の給料をあげるよりも、外部の優秀な人物に、必要なときだけ払ったほうが良い、と考えている企業が増えているから、というのはあると思います。」

さらに彼はこう続けた。

「正社員も、若手は優秀な人ほど定着率が悪い。だったら、最初から外部に、と言うのは自然だと思います。」

 

つまり、このような仮説が成り立つ。

昔はコア業務は社内で仕事を回していたため、「社内のできる人」に仕事が集中していた。

だが時代は代わり、「外部」を使うことに徐々に抵抗がなくなってきた企業が増え、かつ社員の「終身雇用」へのこだわりが消えた今、今は社会全体で「できる人」に仕事が集中する……。

 

ある転職エージェントは言った。

「そうですね……今は能力の高い人とっては本当に良い時代だと思います。仕事は選び放題で、副業も認めてもらえる。だから、稼げる人はサラリーマンでいながら、青天井。稼ぎたいからと言って無理して起業する必要もない。」

 

*****

 

現在、活況を呈している転職市場を制しているのは、「転職サイト」だ。

だが今の状況が続けば、「副業サイト」が出てきてもおかしくない。

「副業」のマーケットが確立すれば、高い能力を有する人は、かなりのお金を手にしてもおかしくない。

 

逆に、「社内」に使われる人件費はますます下がる可能性もある。

平均給与の低下はまだまだ続くのかもしれない。

平均給与が下がり続ける理由とは?【争点:アベノミクス】(ハフィントンポスト)

平均給与が下がり続けている。国税庁が9月に発表した調査によると、国内における民間給与は2年連続で減少したことがわかった。これは、24年前の給与水準と、ほぼ同じだ。従業員の数は増えているのに給与総額の減少が止まらないという。なぜこのような状況が起こっているのか。

 

 

【著者プロフィール】

安達裕哉Facebookアカウント (安達の最新記事をフォローできます)

・編集部がつぶやくBooks&AppsTwitterアカウント

・すべての最新記事をチェックできるBooks&Appsフェイスブックページ