最近「副業」の盛り上がりが著しい。
ついに厚生労働省も「モデル就業規則」に、副業を認める文言を入れるように変えるという。
厚生労働省は、会社員が副業や兼業をしやすくするため、企業が就業規則をつくる際の参考として示している「モデル就業規則」を見直す方針を固めた。副業や兼業を禁止する項目を削除し、原則として容認する内容に変更する方針だが、労使の代表から長時間労働の是正の動きに逆行しかねないとの懸念も出ている。
遅きに失した感が否めない対応だが、実は現場はもっと進んでいる。
なにせ、副業で「超」稼げる時代が、すでに来ていたのだ。
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例えば、コンサルタントのKさんは、本業で某有名ファームに勤めつつ、副業でも知人の会社を手伝っており、そこから年間数百万円の報酬を得ている。
Kさんは「会社が長時間労働を禁止する方向にある。Up or OUTではないが、逆に「もっと稼ぎたい」という人には物足りない」と言う。
「今の会社で役員を目指すのはけっこうキツイ。政治もあるし、運もある。なによりせっせと上司の機嫌を取らなきゃならない。なら、気の合う知人の手伝いをして稼いだほうが良い。多分ウチの上司よりも、私のほうが稼いでいるし、人脈もある。」
また、webエンジニアのOさん。
本業の会社でもトップエンジニアであり、更に副業でも稼ぐ。
会社は最近の潮流で「副業OK」としているので、堂々と他の会社の技術顧問や制作の依頼を受け、自身も外注を使いながら、月間100万円以上を副業から得ている。
「今の会社は自由でいい会社。でも出世は望まない。それよりも副業で稼いだほうが遥かに効率的」という。
彼もまた、「上司よりも稼いでいる」人の典型だ。
以前、「副業」と言えば、ブログのアフィリエイトやアルバイト、物品の転売程度だった。
だが、現在の副業はむしろ、企業側が「フリーランス的な動きが可能な人」を求めているので、「業務委託」の形になり、能力の高い人はかなりの金額を稼ぎ出すことができる。
それこそ、本業の給与に匹敵するくらいに。
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このような話をすると「特殊な事例では?」という方が居る。
3年前であれば、私も「特殊ですね」と言っただろう。
しかし、現在は特殊な事例、というには数が多すぎる。
現に、「新しい働き方」を求める人が副業に着手し、企業も「フリーランス、副業者」の利用を積極的に始めている。
これは、「正社員が採れない」が転じて「正社員にはこだわらない」となっており、企業がますます、正社員にこだわらず「優秀な人」を求めるようになっていることの現れともいえる。
実際、「フリーランス、副業」だけではなく、多くのコンサルティングファームも軒並み最高の業績を記録している。
また、最近はリモートワークツールがかなり実用的になったこともあり、「フルリモート」でも十分なパフォーマンスを発揮できることも一つの要因だろう。
ある、コンサル出身者はこう言った。
「サラリーマンの平均給与が下がっている理由の一つが、正社員の給料をあげるよりも、外部の優秀な人物に、必要なときだけ払ったほうが良い、と考えている企業が増えているから、というのはあると思います。」
さらに彼はこう続けた。
「正社員も、若手は優秀な人ほど定着率が悪い。だったら、最初から外部に、と言うのは自然だと思います。」
つまり、このような仮説が成り立つ。
昔はコア業務は社内で仕事を回していたため、「社内のできる人」に仕事が集中していた。
だが時代は代わり、「外部」を使うことに徐々に抵抗がなくなってきた企業が増え、かつ社員の「終身雇用」へのこだわりが消えた今、今は社会全体で「できる人」に仕事が集中する……。
ある転職エージェントは言った。
「そうですね……今は能力の高い人とっては本当に良い時代だと思います。仕事は選び放題で、副業も認めてもらえる。だから、稼げる人はサラリーマンでいながら、青天井。稼ぎたいからと言って無理して起業する必要もない。」
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現在、活況を呈している転職市場を制しているのは、「転職サイト」だ。
だが今の状況が続けば、「副業サイト」が出てきてもおかしくない。
「副業」のマーケットが確立すれば、高い能力を有する人は、かなりのお金を手にしてもおかしくない。
逆に、「社内」に使われる人件費はますます下がる可能性もある。
平均給与の低下はまだまだ続くのかもしれない。
平均給与が下がり続ける理由とは?【争点:アベノミクス】(ハフィントンポスト)
平均給与が下がり続けている。国税庁が9月に発表した調査によると、国内における民間給与は2年連続で減少したことがわかった。これは、24年前の給与水準と、ほぼ同じだ。従業員の数は増えているのに給与総額の減少が止まらないという。なぜこのような状況が起こっているのか。
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第6回目のお知らせ。

<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>
第6回 地方創生×事業再生
再生現場のリアルから見えた、“経営企画”の本質とは【ご視聴方法】
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当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。
【今回のトーク概要】
- 0. オープニング(5分)
自己紹介とテーマ提示:「地方創生 × 事業再生」=「実行できる経営企画」 - 1. 事業再生の現場から(20分)
保育事業再生のリアル/行政交渉/人材難/資金繰り/制度整備の具体例 - 2. 地方創生と事業再生(10分)
再生支援は地方創生の基礎。経営の“仕組み”の欠如が疲弊を生む - 3. 一般論としての「経営企画」とは(5分)
経営戦略・KPI設計・IRなど中小企業とのギャップを解説 - 4. 中小企業における経営企画の翻訳(10分)
「当たり前を実行可能な形に翻訳する」方法論 - 5. 経営企画の三原則(5分)
数字を見える化/仕組みで回す/翻訳して実行する - 6. まとめ(5分)
経営企画は中小企業の“未来をつくる技術”
【ゲスト】
鍵政 達也(かぎまさ たつや)氏
ExePro Partner代表 経営コンサルタント
兵庫県神戸市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。3児の父。
高校三年生まで「理系」として過ごすも、自身の理系としての将来に魅力を感じなくなり、好きだった数学で受験が可能な経済学部に進学。大学生活では飲食業のアルバイトで「商売」の面白さに気付き調理師免許を取得するまでのめり込む。
卒業後、株式会社船井総合研究所にて中小企業の経営コンサルティング業務(メインクライアントは飲食業、保育サービス業など)に従事。日本全国への出張や上海子会社でのプロジェクトマネジメントなど1年で休みが数日という日々を過ごす。
株式会社日本総合研究所(三井住友FG)に転職し、スタートアップ支援、新規事業開発支援、業務改革支援、ビジネスデューデリジェンスなどの中堅~大企業向けコンサルティング業務に従事。
その後、事業承継・再生案件において保育所運営会社の代表取締役に就任し、事業再生を行う。賞与未払いの倒産寸前の状況から4年で売上2倍・黒字化を達成。
現在は、再建企業の取締役として経営企画業務を担当する傍ら、経営コンサルタント×経営者の経験を活かして、経営の「見える化」と「やるべきごとの言語化」と実行の伴走支援を行うコンサルタントとして活動している。
【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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(2025/7/14更新)
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(Photo:Gabriel Garcia Marengo)