一昔前、こんな言葉がSNS上で流行っていた。
したい人、10000人。 始める人、100人。 続ける人、1人。
世の中に勉強家はそれなりにいるが、勉強した内容を実行してしまう人はたしかに少ない。
「起業しようと思って、勉強しているのですが…」
「ゲームをつくろうと思って、プログラムを勉強してるのですが…」
「留学しようと思って、英語を勉強しているのですが…」
だが、本当に実行してしまう人は確かに100人に1人程度だろう。
私が前職で企業向けセミナーを行っていた時のことだ。
「セミナーに満足で、役に立った」と回答した人のうち、実際にそれを実行した人の割合はどのくらいか、というデータをとったことがあった。
テーマによらず、実行率は約2割。100人に1人よりもだいぶマシな数字であるが、8割の人は内容に納得し、共感しても実行しない。
「実行する」とは、これほどハードルの高いものなのか、と驚きを禁じ得なかった。
もちろん、勉強することは悪いことではない。そして、「実行しない」という選択肢も。
むしろ、普通の人は「実行しない」のであるから、それを前提に考えたほうが人間関係が円滑に運ぶことも多いだろう。間違っても「あれ、まだやってないの?」なんて聞いてはいけない。嫌われるだけだ。
それより興味深いのはごく一握りの「とにかく始めてしまう人」の心理だ。普通の人は実行しないのに、彼らはなぜ実行してしまうのだろうか。
おそらくその根幹は、「考え方」のちがいにある。彼らの考え方と、実行しない人の考え方は以下の5点において異なる。
結果指向ではなく、プロセス指向
普通の人は結果を恐れて踏み出せなかったり、得られるメリットがそれほど大きくないと考えて実行を躊躇する。実行する人ももちろん結果を求めるが、その過程、プロセスにも楽しみがあると考えるので、結果は比重が下がる。
旅に例えれば、目的地に到着してからが楽しいと考えるか、旅の計画の段階から楽しめるか。たとえ目的地につかなくても、「面白かったからOK」と思えるか。
備えるのではなく、対応する
普通の人は「困るのが嫌なので、いろいろ備えなければならない」と備えが万全になるまで実行を躊躇してしまう。実行する人は「困ったら、その時対応すればいいじゃない」と考え、実行してしまう。
局所的ではなく、大局的に考える
普通の人は「面倒なこと」「つらいこと」が見えすぎてしまい、実行を躊躇してしまう。実行する人は、局所的な面倒や辛さよりも、大局的に人生にとって必要かどうかと考え、実行する。
知識でなく、経験重視
普通の人は「知識」によって物事をうまく運ぼうとするので、知識が身につくまで実行しないが、実行する人は知識よりも経験を積むことによって物事をうまく成し遂げようとする。だから、始めてしまう。
リスクは回避すべきものではなく、計量してコントロールすべきもの
普通の人は、リスクを回避したがる。どうすればリスクがなくせるかを考える。実行する人はリスクを無くすのではなく、どの程度のリスクなのかを計量し、その程度を見積もり、それをコントロールしようとする。
「実行する人」になるのであれば価値観を変える必要がある。だが人間は考え方を変えることを好まない。価値観の転換は最も難しいことの一つだ。
人は変わることができるが、きっかけやそのスピードは人それぞれだ。無理をすることはない。
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第4回目のお知らせ。

<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>
第4回テーマ 地方創生×教育
2025年ティネクトでは地方創生に関する話題提供を目的として、トークイベントを定期的に開催しています。地方創生に関心のある企業や個人を対象に、実際の成功事例を深掘りし、地方創生の可能性や具体的なプロセスを語る番組。リスナーが自身の事業や取り組みに活かせるヒントを提供します。
【ご視聴方法】
ティネクト本音オンラインラジオ会員登録ページよりご登録ください。ご登録後に視聴リンクをお送りいたします。
当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。
【ゲスト】
森山正明(もりやま まさあき)
東京都府中市出身、中央大学文学部国史学科卒業。大学生の娘と息子をもつ二児の父。大学卒業後バックパッカーとして世界各地を巡り、その後、北京・香港・シンガポールにて20年間にわたり教育事業に携わる。シンガポールでは約3,000人規模の教育コミュニティを運営。
帰国後は東京、京都を経て、現在は北海道の小規模自治体に在住。2024年7月より同自治体の教育委員会で地域プロジェクトマネージャーを務め、2025年4月からは主幹兼指導主事として教育行政のマネジメントを担当。小規模自治体ならではの特性を活かし、日本の未来教育を見据えた挑戦を続けている。
教育活動家として日本各地の地域コミュニティとも幅広く連携。写真家、動画クリエイター、ライター、ドローンパイロット、ラジオパーソナリティなど多彩な顔を持つ。X(旧Twitter)のフォロワーは約24,000人、Google Mapsローカルガイドレベル10(投稿写真の総ビュー数は7億回以上)。
【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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(2025/6/16更新)
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