議論で勝てないアナタ。
ロジカルでムカつくアイツを、たまにはやっつけてみたくたないですか?
とはいえ、「エライ人相手」では、なかなか、勝てないですよね……。
例えば、こんな感じです。
———————————–
あるコンサル会社で、若手が「Facebook」を使って、会員企業へ情報提供を行おうとした。
若手は早速マネジャーに相談する。マネジャーはこう言った。
「経営者はFacebookなんて見ないだろ。」
「いや、見ている経営者もたくさんいると思いますよ。」
「少なくともうちのお客さんは、老舗の企業が多いからFacebookなんて見ない経営者が多いはずだ。」
「そ、そうかもしれないですが、若手の方もいますよ。」
「だいたい、Facebookで変なコメントが付いたらどうするんだ。お前は責任を取れるのか。リスクはどのくらいか、きちんと見積もったのか。」
「……いえ……。」
「だろう。大体Facebookにどんな情報を流すんだ。」
「ウチが発行しているメルマガの一部を転載するのがいいと思います。会員も増えるのではと思っているのですが」
「わざわざFacebookのアカウントを作らせるの?経営者に?そんな事しないだろう。大体、どの程度の経営者が登録してもらえそうか、出してみたのか。」
「ええと、これくらいは登録するかと……」
「時間はどれくらい使うつもりだ?」
「メルマガの転載と、セミナーの抜粋を中心にするんで、それほど大変ではないと思いますが…」
「本当に費用対効果が合うのか?試算してみたのか?」
「すみません……やってません……。」
「うちのブランドを毀損したらどうする。炎上したり誹謗中傷のコメントが付いたら?この前のニュースで訴訟が起きているケースも有る、と言ってたぞ。」
「今回はやめておきます……。」
———————————–
こんな感じで、いつもやり込められて、悔しい思いををしている人は多いと思います。
どうやって、ロジックで攻撃してくるアイツに勝てばいいのでしょうか。
そこで、1つ重要な知識をご紹介します。
———————————–
ノーベル経済学賞を受賞した、ダニエル・・カーネマンの著作「ファスト&スロー」では、以下のような面白いエピソードが紹介されています。
認知科学の分野で著名な、オレゴン研究所のポール・スロビックは、「私達の予想」は「たくさん見聞きしたこと、あるいは感情に訴える強さによって歪められてしまう」といいました。※1
我々は、多くの場面において
難しい質問「それについて、自分はどう考えるか?」に答えるかわりに、
やさしい質問「自分はそれが好きか?」に答えているのです。
これを、「感情ヒューリスティック」といいます。
更にスロビックのチームは実験をしました。
水道水へのフッ素添加、化学プラント、食品防腐剤、自動車などについて、個人的な好き嫌いを言ってもらったうえで、それぞれのメリットとリスクを書き出すように実験の参加者に指示をだしました。
その結果、
・ある技術に好意を抱いている場合は、メリットを高く評価し、リスクはほとんど顧慮しない。
・逆にある技術を嫌いな場合は、リスクを強調し、メリットはほとんど思い浮かばない。
ということが明らかになったのです。
さらに驚くべきことに、これは「英国毒物学会」の会員、つまりは専門家まで同様の回答をした。つまり、専門家ですら安易に好き嫌いで判断することがある、ということです。
———————————–
最初の会話事例では、マネジャーは実際には検討というほどの検討はおこなっておらず、単に彼の中で
「Facebookは良くわからない」⇒「わからないものは嫌い」⇒「嫌いなものは効果がなく、リスクが大きい」
という「感情ヒューリスティック」が発生している可能性があります。
ですから、こんなふうにやり返すと良いのではないかと思います。
———————————–
「経営者はFacebookなんて見ないだろ。」
「いや、見ている経営者もたくさんいると思いますよ。」
「少なくともうちのお客さんは、老舗の企業が多いからFacebookなんて見ない経営者が多いはずだ。」
「いえ、若手の方もいるはずです。実際に数字を見て下さい。」
「……だいたい、Facebookで変なコメントが付いたらどうするんだ。お前は責任を取れるのか。リスクはどのくらいか、きちんと見積もったのか。」
「おっしゃるとおり、リスクは有ると思いますが、マネジャーは逆に、メリットはどれくらいあるか、考えていらっしゃいますか?」
「メリット?」
「そうです。」
「そんなもの、なんでオレが考える必要があるんだ。」
「いえ、「感情ヒューリスティック」というものがありまして……マネジャーはFacebookについて、明らかにリスクばかりを強調されていました。
嫌いなものは、リスクばかり目につくというバイアスが人間にはあります。ですから、客観的に見ていただくために、マネジャーにもメリットについて考えていただきたいと思いました。」
「お、おう……。そうか…。」
———————————–
いかがでしょうか?
実は「メリットを考えることで、その案が好きになる」というバイアスも「感情ヒューリスティック」に存在します。
ですから、マネジャーに積極的にメリットを考えもらいましょう。きっとあなたの案に賛同してくれるはずです。
これなら万事OKです。
因みに、感情ヒューリスティックの話を持ちだした時、マネジャーがキレてしまえば、少なくともロジカルシンキングでは勝つことができるでしょう。
これをやることによって、マネジャーに嫌われてしまうかもしれませんが……。
(2024/1/22更新)
東京都産業労働局
からのご案内です。
東京都の公的サービス「デジナビ」が都内の中小・零細企業や個人事業主に対してIT導入補助金、デジタルツール導入助成金のご提案をお手伝いします
【都内中小企業向けデジタル技術導入促進ナビゲーター事業】
都内中小企業に対し1社につき1人専任の「ナビゲーター」がデジタル化のアドバイスを行い、経営課題の解決に向けた最大5回のサポートを無料でおこなうものです。
業種別デジタル化成功事例を公開中
<医療業> クラウドストレージを導入し、業務に必要な情報を共有化
<運輸業> デジタルとアナログの両輪体制による健康経営への道
<卸売業> クラウドサービスの活用で全国の情報交換が円滑に
<建設業(建築)> システム導入で本来の仕事に専念
<建設業(設備)> ICTの活用で残業のない働き方を実現
<建設業(土木)> 設計から施工まで一気通貫でICTを導入
<製造業> デジタルサイネージで従業員との熱意をつなぐ
<不動産業> 効果的なICTを実現し、顧客視点の全員参加経営へ
<福祉業> 医療連携と最新のICTで利用者の健康を守る
<飲食業> POSレジとキャッシュレスツールで作業負担を軽減
詳細は東京都産業労働局サイト都内中小企業向けデジタル技術導入促進ナビゲーター事業をご覧ください。
お申込みフォーム→
都内中小企業向けデジタル技術導入促進ナビゲーター事業 参加申込ページ
・筆者Facebookアカウント https://www.facebook.com/yuya.adachi.58 (フォローしていただければ、安達の最新の記事をタイムラインにお届けします))
・筆者Twitterアカウントhttps://twitter.com/Books_Apps (フェイスブックではシェアしない記事も扱います)
・Books&Appsフェイスブックページ https://www.facebook.com/BooksApps/(いいね!してただくと、安達以外の記事を購読できます)
・ブログが本になりました。
※1