先日、ある社内会議に外部協力者として参加した時のこと。
8名ほどの参加者にたいして、議長が「意見はありませんか?」と聞いた。
彼らのうち、3名は意見を述べたが、残りの5名は何も言わなかった。「本当になにもないのですか?」と議長が念押ししても、
「ありません」
というばかりだった。
会議はその後、つつがなく終わったが、議長は先の意見を述べなかった5名に、
「来週からこの会議には出席しなくて良い。」と告げた。
その5名は
「今日はたまたま意見を言えなかっただけです」
「情報を共有したいので、出席します」
というのだが、議長は「議事録は後から送ってあげるから」と言って、取り合わなかった。
議長に後で話を聴くと、「「最近無駄な会議が多い」という課題があり、会議を絞り込んでいる最中です。」という。
「大体、会議に来てぼーっとしている人や、内職をしている人に、会議に出て貰う必要はないですよね。」
「確かにそうですね。」と私が相槌を打つと、
「多分、彼らも「会議になんて出たくない」と思っていたでしょう。だから、両者にとっていいんです。こう言うところから変えていかないと、生産性は向上しないですから。」
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余談だが、「集団を賢くするのは何か」を明らかにするため、MITのアレックス・ペントランドは、数百の小グループを対象に、IQテストを行うなどして、「集団的知性」を検証した。*1
賢い集団と、愚かな集団にどのような違いがあるのか?組織の中で働くことの多い我々にとって、興味が尽きない分野だろう。
そして、この実験結果は意外なものだった。
実験によれば、会社で経営者が気にしているような要素、
・団結力
・モチベーション
・満足度
などについては、統計学的に有意な効果はなかった。
集団の知性を予測するのに最も役立つ要素は、「会話の参加者が平等に発言しているか」だった。
少数の人物が会話を支配しているグループは、皆が発言しているグループよりも集団的知性が低かった。
その次に重要な要素は、グループの構成員の社会的知性、すなわち相手の声のトーンやゼスチャーで相手の考えを察するなどの「雰囲気を読み取る能力」だった。
*1
つまり、会議の生産性を高めたかったら、
1.発言しない人
2.発言しすぎる人
3.空気の読めない人
を会議に参加させてはならない。これは科学的検証に基づいた事実である。
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コンサルタントという仕事についていた時は「会議での発言を観察すること」は、その人の実力を測る上でとても重要であった。
議事録をレビューし、以下のような行動を繰り返す人物は、会議から遠ざけたり、外すことを推奨したこともある。
・すぐにマウントを取ろうとする人物
・人の話をぶった切る人物
・アイデアを出さない人物
・自分の意見を述べない人物
上の要件に当てはまる人物は、いくら個人として有能であっても、「集団的知性」を低下させるため、個人で活動させたほうが良い。そう結論づけたのだ。
会議とは、個人のパフォーマンスを見せつける場ではない。個人を遥かに超えるパフォーマンスを出すために「集団で考える場」なのだ。そのルールを理解しない人物に、会議に参加する資格はない。
(2025/6/16更新)
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第4回目のお知らせ。
<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>
第4回テーマ 地方創生×教育
2025年ティネクトでは地方創生に関する話題提供を目的として、トークイベントを定期的に開催しています。
地方創生に関心のある企業や個人を対象に、実際の成功事例を深掘りし、地方創生の可能性や具体的なプロセスを語る番組。リスナーが自身の事業や取り組みに活かせるヒントを提供します。
【ご視聴方法】
ティネクト本音オンラインラジオ会員登録ページよりご登録ください。ご登録後に視聴リンクをお送りいたします。
当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。
【ゲスト】
森山正明(もりやま まさあき)
東京都府中市出身、中央大学文学部国史学科卒業。大学生の娘と息子をもつ二児の父。大学卒業後バックパッカーとして世界各地を巡り、その後、北京・香港・シンガポールにて20年間にわたり教育事業に携わる。シンガポールでは約3,000人規模の教育コミュニティを運営。
帰国後は東京、京都を経て、現在は北海道の小規模自治体に在住。2024年7月より同自治体の教育委員会で地域プロジェクトマネージャーを務め、2025年4月からは主幹兼指導主事として教育行政のマネジメントを担当。小規模自治体ならではの特性を活かし、日本の未来教育を見据えた挑戦を続けている。
教育活動家として日本各地の地域コミュニティとも幅広く連携。写真家、動画クリエイター、ライター、ドローンパイロット、ラジオパーソナリティなど多彩な顔を持つ。X(旧Twitter)のフォロワーは約24,000人、Google Mapsローカルガイドレベル10(投稿写真の総ビュー数は7億回以上)。
【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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