採用担当者同士だと、飲みなどの席で「採用基準」の話が盛り上がる。
会社の理念に共感する人がほしい、話の分かりやすい人がほしい、論理的思考力の高い人がほしい、など様々な基準が存在している。
だが一人の方が
「うちは、「自信満々の人には気をつける」っていう基準も使ってる。」
と言った。
皆、興味を持ったようだ。
その方は言った。
「もちろん。色々な考え方があるけど、普通は「自信のありそうな人」を採用したがるよね。」
皆が頷く。
「でも「自信」と「成果」はあまり関係ないんだよね。」
と、その方は言う。
「例えば、人事面談の時に自信満々で「絶対いけます」って言う人の成績が良いのか、といえば、実はあまり関係がないことがわかっている。」
「根拠の無い自信は、アテにならない、ってこと?」
と誰かが質問する。
「そう。全くあてにならない。期首の人事面談の時に、「自信はありますか?正直に答えて下さい」と管理職から質問されて、「ない」と答えた人たちと、「ある」と答えたひとたちの成果はほとんど変わらない。」
「へえ、そうなんだ。」
「単純に「どういう性格か」が出てるだけだってことがわかった。言う人と、言わない人。それだけの違い。」
皆、考えている。自社の人事に照らしているのだろうか。
「でも、採用はハキハキして、明るくて、自信がありそうな方が人気があるよね。」
と別の方が質問した。
「そう、でも自信がありそうな人が全員成果を出せているか、といえば、そうではない。」
「まあ、そりゃそうだけど」
「逆に言えば、自信がなさそうだけど、成果を出せる人もいるかもしれない。」
「ふーん、なるほどね。」
「もちろん、これだけで採用の合否を決めているわけじゃないとは思うけど、「自信がなさそうな人」は、まずハネられてしまう可能性が高い。」
「そうだね。」
「でも、それはおかしいじゃない。成果と関係ないのにイメージだけで落とされる。」
みな、あまり納得していないようだ。
「でも、だからといって逆に自信満々の人をハネることはないじゃない。」
すると、その方は真面目に言った。
「イヤイヤ、自信がありすぎるってのは、頑固で、単に頭が悪いだけかもしれないんだよ。」
皆の顔が変わる。
「だって、いろいろな可能性を吟味すれば「確実」なんてことは何一つ無いじゃない。それでも「自信あり」と言ってしまうのは、様々な可能性を考慮できないか、想像力が足りないか、単なるお調子者なだけだよ。」
皆、考え込んでいる。
彼は言った。
「正確には「自信がありそう、なさそう」というのは、採用の判断基準にならない。でも面接官の人たちは「自信がありそう」な人ばかりを通過させる。
だからこちらから「自信満々はやめてください」って強調しているんだ。「行けそうですか?」聞かれたときにきちんと一歩引いて、「吟味します。」って言う人が欲しいだけなんだよね。」
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「全力を尽くしますが、成果は保証できません」と言ったら、怒られた。という話にも通じるところがあると思う。
私は合理的な採用基準だと考えたのだが、どうだろうか。
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