残業が多すぎて、つい「どうせ俺は社畜なんだ」と自虐的に呟いてしまうことはないだろうか。「社畜」という言葉を最近よく聞くようになった。この言葉に、あまり良いイメージはない。
でも、幸せな社畜も確かに存在する。
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そもそもなぜ社畜について語ろうと思ったのかというと、最近面白い会話を聞いたからだ。
A「俺、社畜なんだ」
B「会社にどっぷりなの?」
A「うん。長時間労働だし、休日も少ない」
B「それでもちゃんとお金がもらえるなら良いと思うけど」
C「そうそう。悪魔と契約して充分な報酬が得られるなら良いと思うけど、充分な報酬が得られないなら契約解除したほうが良いと思うよ」
“悪魔との契約”という考え方が面白いと思い、この会話がずっと頭に残っている。Cさんはおそらく「報酬=お金」という意味で言っていたのだろう。
だが、報酬はお金以外にも考えられる。お金以外のものも含めて、本人が納得し、幸せを感じる報酬が得られるのであれば、その契約は実は悪魔との契約ではなく、天使との契約である可能性がある。
社畜とは、文字通り、会社に飼い慣らされた家畜(=社員)のことをいう。私は会社に雇われている以上、多かれ少なかれ皆社畜だと思っている。
皆社畜だが、その度合いが異なるのだ。100%の社畜がいたり、1%の社畜がいたりする。
そしてこの社畜度合いと本人の幸福度は必ずしも一致しない。周囲を見ても、イキイキと働いている100%の社畜もいれば、毎日朝から晩までつらそうに働いている100%の社畜もいる。
会社に染まらず、会社以外の生き甲斐を見つけて楽しそうにしている1%の社畜もいれば、何に対しても無気力でつまらなさそうな1%の社畜もいる。
どの程度社畜であろうと、問題はない。社畜の度合いではなく、本人がその状態を幸せだと思っているかどうかが大事だと思う。
ただ、社畜は社畜でも、会社に飼い慣らされる社畜よりは、会社を飼い慣らす社畜の方が面白そうだ。会社に所属する人間は、会社に雇ってもらっている立場ではあるが、同時に会社を支えている立場でもある。
社員皆で会社を雇っているようなものだと捉えることもできる。
会社は社員を社畜だと思い、社員も会社を社畜(=社員に飼い慣らされた家畜)だと思うという、持ちつ持たれつの関係だと捉えてみたい。
「“会社にとって”優秀な人材になってほしい」
と何度か言われたことがある。会社の立場からすれば当たり前のことであり、会社で働いている以上、それを目指すのが良いとされることはわかる。
だが、社員は会社のために生きているのではなく、社員自身のために生きている。だから社員は逆に「“社員にとって”優秀な会社になってほしい」と思っている。
「“会社にとって”優秀な人材になってほしい」と言った人は、続けてこう説明していた。
「会社にとって優秀な人材になることで、会社に良い影響を与えることができるでしょ。会社が良くなれば、そこに所属する社員にとっても良いことだから、好循環が生まれるんだよ。だから、“会社にとって”とは言っているけど、あなたにとっても良いことなんだよ」
会社にとって社員という社畜はありがたいし、社員にとって会社という社畜はありがたい。お互いがお互いの社畜である。
だが、残念ながら実際は力関係の影響なのか、社員という社畜しか見えてこない。
そんな弱い社員が、「よし、今日から会社を社畜にするぞ」と思ったところで、現実は変わらない。意識や考え方を変えただけではダメなのだ。
ではどうするのか。
会社を社畜にするための一番の近道は、出世することだと思う。
結局、(本来の意味で)100%、あるいはそれ以上社畜となって働き、実績を出し、評価され、出世することが必要だという、現実的な話に落ち着く。会社の社畜となることで、会社を社畜にしやすくなる。
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社員歴1年の私は、(本来の意味の)社畜を楽しんでいる。餌をもらい、毎日成長し、幸せな社畜として生きている。
もしこのまま会社に居続けるのであれば、どんな種類の、何%の社畜になることが自分にとって最適な選択なのか、しっかり考える必要がある。
何も考えずに幸せな社畜として生きて、いつか急に肉として売られないように。
ではまた!
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【安達が東京都主催のイベントに登壇します】 ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。
(2025/6/2更新)
ティネクト代表の安達裕哉が東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。
ティネクトでは現在、生成AIやマーケティング事業に力を入れていますが、今回はその事業への「投資」という観点でお話しします。
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<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
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3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
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・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
【著者プロフィール】
名前: きゅうり(矢野 友理)
2015年に東京大学を卒業後、不動産系ベンチャー企業に勤める。バイセクシュアルで性別問わず人を好きになる。
著書「数学嫌いの東大生が実践していた「読むだけ数学勉強法」」(マイナビ、2015)
Twitter:@Xkyuuri
ブログ:http://kyuuchan.hatenablog.com/「微男微女」