たまたま読んだネットの記事に、年代別の平均貯蓄金額が書いてあった。
その記事によると世代別に、日本人は平均として
20代で220万円
30代で370万円
40代で444万円
ほど貯金をしているという。
正直、僕はこれを読んでかなり驚いた。こんなにもたくさんのお金を貯金して、いったいこの人達は何がしたいのだろう?
もちろん生きるにあたって、ある程度の貯蓄は必要だとは思うけど、お金は所詮お金であり使ってなんぼである。というわけで今日は正しいお金の使い方について書いていくことにする。
幸せになるためのお金の使い方
前に読んだ本に幸せになる比率が最も高いお金の使い方についての記述があった。その本によると最も幸福になれるお金の使い方は、体験へ投資する事だという。
個人的にこの研究結果は非常に腑に落ちる部分が多い。自分自身の人生を振り返ってみても、楽しかった思い出は全て体験に起因するものが多い。
ハワイで体験したスカイダイビング。
インドのガンジス川での荘厳な景色。
フランスのミシュラン三つ星レストランでの素晴らしい食事体験。
この他にも様々な色鮮やかな人生体験があるけども、どれもこれもやってお金の無駄だったと思うものは1つもない。仮にそれに使った金額が、自分の思い出と引き換えに自分の銀行口座に振り込まれると言われても、僕は絶対に譲り渡そうとは思わない。
思い出は人生最良の宝物だ。1つ増える度に人生の色彩が豊かになっていくのを実感する。少なくとも銀行の貯金残高なんかよりかは僕にとっては魅力的なものである。そこには文字通り、お金で買えない価値がある。
お金は傾斜をかけて使うべきである
とはいえ収入は無限ではないので、なんでもかんでも湯水の如くお金を使うことは難しい。大切なのは、しっかり緩急をつけてお金を使うようにすることだ。
こういう事をいうのもなんだけど僕は結構ケチな性分である。自分が体験したいものへの時間とお金への投資は惜しまないけど、その中でもかなり配分には差がある。
例えば僕は海外旅行がかなり好きだけど、自分が重要視する部分にはしっかりお金をかけるのに対して、あまり重要視しない部分にはほとんどお金をかけない。
飛行機は高いビジネスクラスなんて使わず、希望する便のエコノミークラスを数ヶ月前に予約して出来る限り安い出費に抑えるし、ホテルも寝るためだけと割り切っているので高級ホテルはまず予約しないで宿泊費が安い場所を選ぶ。そして余った金額を、高級レストランでの食費とか現地でのガイドを雇う金額に回したりする。
なんでこんな事をするかといえば、自分の優先比率が食事と観光に極端に偏っているからである。僕のやり方が正解というわけではなく、人によっては高級ホテルに泊まる事に人生の喜びを感じるタイプの人もいるだろう。そういう人は高級ホテルの宿泊費にお金を使えばよいと思う。
大切なのは、自分にとって最も彩りある体験を残してくるアクティビティーに、しっかりと自分のお金を投入する事だろう。つまりお金の傾斜配分が大切なのだ。
上では海外旅行を例にあげたけど、日常生活もだいたいこれと似たようなものだ。僕は恵比寿とか六本木のような場所に住む事への憧れは全く無いので、住む場所は家賃が安いところを選んでいる。そして余った分のお金を、外食代やワイン代、年一回の海外旅行代へと回すようにしている。
大切なのは自分が何に最も価値を感じるかどうかをキチンと考え、大切なポイントにお金を重点的に使うべきである。
使えるお金の量には限りがあるが、それをどういう風に使うかはその人の自由だ。なんでもかんでも贅沢にしたらお金がいくらあっても足りない。傾斜をかけてお金を使えば、一部分では結構贅沢な生活がおくれるものである。
お金をケチる場所を間違えてはいけない。
さて話を貯金に戻そう。実は自分は貯金はあまり賢いお金の配分先だとは思っていない。繰り返しになるが、お金は使ってなんぼであり、体験に投資するべきだと思っているからだ。
貯金自体は結構な事だと思う。あまり貯蓄しない僕なんかより、貯蓄しているその人の方が一般的には偉いのかもしれない。
ただ僕には同時にこう見えてしまうのだ。やりたい事を我慢して、限りある人生の残り時間をすり減らして貯金する事に、いったい何の意味があるのだろうかと。
実はお金を貯めるのはそんなに難しいことじゃない。極端な事を言えば働いて家でずっとテレビでもみて生活していれば、年とともにお金はグングン貯まっていくだろう。
けどやりたい事もせずに預金通帳の金額を増やすことに熱心になって、一体どんないい事があるのだろう?
人生は有限だ。体力は年とともに年々下がっていくし、食べられる量もどんどん少なくなっていく。若い頃はインドやアフリカといった場所に1人で出かけるのもあまり苦ではないかもしれないけども、70代になって若い頃と同じレベルでそれができる人はあまりいないだろう。
料理だって、若い頃ならフランス料理のフルコースを軽々と完食できるかもしれないけど、70代でワインをガブガブ飲みながらそれができる人はそう多くない。
繰り返しになるが、貯金は立派な行動だ。そこに異論はない。けど貯金をするために、本当にやりたい事を我慢する事は本末転倒だと僕は思うのである。
銀行の預金残高をみて一喜一憂するような生き方はやめよう。それよりも人生の残り時間の方がよっぽど問題だ。老後の生活が心配なら、老後でも働いてお金を稼げるようになるよう努力すれば十分ではないか。
恐らく必死になって貯金している人の行動原理は定年後の老後の生活のためだと思うのだけど、老後なんていうあるかどうかもよくわからないもののためにお金を貯め込むのなんて、なんていうか勿体無いじゃないですか。
そんな事しなくても、自分がしっかりとお金を稼ぐ事ができれば十分ですよ。超高齢化社会を迎える私たちにとって大切なのは、貯金よりも稼ぐ力ですよ。
死ぬ前に「ああいい人生だったな・・・」と思い残すことなく人生を駆け抜けたいじゃないですか。そのためにも、お金に使われるようになるのではなく、お金を使いこなせる存在になりましょう。
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)
プロフィール
都内で勤務医としてまったり生活中。
趣味はおいしいレストラン開拓とワインと読書です。
twitter:takasuka_toki ブログ→ 珈琲をゴクゴク呑むように
noteで食事に関するコラム執筆と人生相談もやってます→ https://note.mu/takasuka_toki