先日、小3の長男の授業参観に行ってきたんです。
自分の頃どうだったかよく覚えてないんですが、私が今住んでいる地域では、授業参観って土曜日にやるみたいなんですね。
「学校公開日」っていう形で、一日どの学年の授業でも見ていい、っていう形式でして、色んな授業が覗けて面白かったです。学校公開日は気合が入っているのか、それともいつもそうなのか、どの授業も非常に興味深い内容でした。
例えば、「重さと手触り」という限られた情報だけで、いくつかの袋に入った直方体の材質を当てる理科の授業だとか。
魔法陣の書き方に寄り道しつつ、3桁の足し算を効率よく計算する算数の授業だとか。
地図記号を色々勉強しつつ、「もしこういう施設の地図記号を作るとしたらどんなのにするー?」とみんなで考える地理(社会)の授業だとか。
おしばい仕立てで、自分で実際に「この場面での台詞」を考えてみる国語の授業だとか。
俺が子どもの頃こんな面白い授業やったっけなー?と思っちゃうくらいどの授業も面白かったので、個人的にも大変楽しめちゃったりしたんですが。そんな中、一つ感銘を受けた授業があったので内容を紹介してみます。
その授業は、一言でいっちゃうと「百科事典の使い方」という授業でした。
実際に百科事典メーカーの人が教師役として招かれていて、その人が子どもたちに色々説明をしながら、子どもたちは百科事典で調べ物をしてみる、という形式の授業です。幾つか単語が書いてある紙が配られて、その単語が何巻の何ページに載っているかを調べる、というような内容が中心だったと思います。
その人自体、子どもを静かにさせる技術とか、自分の方に集中させる技術とか、「ホントにこの人先生じゃなくてメーカーの人なの?」と思っちゃうくらい教え方が上手い人だったんですが、お話の中でもすごーーく納得が出来るところが色々あったんですよ。
特に感銘を受けたところ、簡単にまとめると、下記のような感じになります。当たり前のことだったらすいません。
・皆、インターネットで調べごとしたことありますか?
・百科事典とインターネットの一番違うところ一つ。百科事典は、「商品の名前」だと引けない。難しい言葉でいうと、「一般名称」じゃないといけない
・例えば、カップヌードルって引いてみてください。載ってない。けれど、「インスタントラーメン」で調べると、ちゃんとカップヌードルのことも載ってる
・インターネットだと、「カップヌードル」でもう簡単に知りたいページにいけるんです。便利だよね
・けど、「これで載ってない。じゃあこの言葉だったらどうだろう?」っていう風に、諦めないで考えると百科事典にも大体のことは載ってる
・簡単に諦めないで考える、ってのはとっても頭の運動になる。だから是非、百科事典も使ってみて、諦めないで考えながら調べてみてください
あー、と思いました。そういう側面はあるのかもなあ、と。
商標の問題か何かなのか、百科事典だと確かに、「商品名」はそのままでは項目として引けないみたいなんです。
「オバケのQ太郎」とか「ドラえもん」とか、創作の作品名は普通に引けたりするんで、それ以外にも何かルールがあるんだろうと思うんですが、まあ細かいことは一旦置いておきます。
そこから、一般名称は何かなー?と考えて、近くてもうちょっと広い言葉を類推して、その言葉をまた当ってみる。それも駄目なら、もっと広くしてみる。違う言い方をとにかく色々考える。
そういう練習は、確かにインターネットでは出来ないことかも知れないなあ、と。小学校くらいでそういう練習をしておくのは、たしかに重要なことかも知れないなあ、と。
不便な方がいい、という話ではないんです。調べるという目的だけからすれば、余計な手間をかけずにすぐに目的の情報に達することが出来た方がいいに決まっています。そもそも一般名詞自体が思いつかなかったらどうすんの?という話もあります。
ただ、「調べるのにもひと工夫が必要」という経験、「ある意味について、どんな言葉が当てはまるかな?ということを色々考える」という経験、それらを実際に分厚い活字と格闘しながらやってみる経験って、あるとないでは結構違うんじゃないか、と思うんですよ。
そこまでクリティカルでない不便さを、先にクリアしておく経験、って言ってもいいかも知れません。
類語って、単に知識として知っているかどうか以上に「思いつく」為のルート検索、その速さが重要になったりしますけれど、そういうことの練習としても大きいんじゃないかなあ、と。言ってみれば、「言葉を思いつく為の練習」。これは、文章力や表現力にも直結する話です。
で、その為に「簡単に諦めない」ということ。これが恐らく一番重要だから、件のメーカーの人も一番最後に、念入りに言ったんだと思うんです。
そうして考えると、百科事典って教材としては決して馬鹿にならんなあ、と。
正直、私自身そこまで百科事典というものに親しんではいなかったので、慣れている人にとっては今更のことかとは思うんですが、感心したので書いてみました。結構お高いものではありますが、ちょっと買ってみようかしらと考えております。私の方が夢中になるかも知れませんが。
子どもが勉強する分には百科事典って結構すげーな、というお話でした。
今日書きたいことはそれくらいです。
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)
【プロフィール】
著者名:しんざき
SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。
レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。
ブログ:不倒城