大した話ではないんですが、ちょっと個人的な所感を書かせてください。
しんざき長男、10歳。小学4年生。将来は電車の運転手になることを固く決意している、清く正しい電車少年です。
先日、長男の夏休みの宿題が終わりました。全て終わったのは8/24でした。
なんか長男が通ってる小学校は25日から始まるそうで、「8/31に泣きながら宿題追い上げ」という風物詩も最近はあまり聞かない言葉になりつつあるんですかね?
なんにせよ、長男にとっては8/24が宿題のタイムリミット、デッドラインだった訳です。
実を言いますと、今年の長男の夏休みの宿題は、ある意味で破綻プロジェクトでした。
以前、こんな記事を書きました。
2年前の話です。この年の夏休み、私は長男に初めて「タスクを細かく切り分ける」「計画を立てる」「計画を見直しながら進める」というノウハウを伝えて、そこにITを絡めてみました。
計画立ても、長男に色々ヒアリングしつつ、基本的には私がやってみせました。
で、去年の夏休みは、計画立てから長男が自分でやりました。
途中でちょこちょこ様子は見て、無理がありそうな部分があったら見直した方がいいよと助言はしつつも、そもそも宿題の絶対量がそんなに多くなかったこともあり、危なげなく宿題は完遂されました。
長男にとっては、「自分で計画を立てて、それを運営する」という、人生初の成功体験です。
で、今年は初めから「ぼくが全部やるから!」と言いましたので、私はほぼ干渉しないことにしたのです。
長男は、一昨年、昨年と覚えたノウハウそのままに、「この日は〇〇と××をやる!」「この日は△△だけ!」といった計画を立てました。手慣れたものです。
ただ、今年の計画には一つ大きな落とし穴があり、それに長男は気づいていませんでした。というか、気づいてはいましたが、それ程重要視はしていませんでした。
長男は今年から塾に通い始めており、この夏も夏季講習に行く予定だったのです。
塾で出される課題もそれなりの分量ある筈で、一日に出来るタスク量、学校の宿題に割ける時間はその分目減りすることが予想されました。
私や奥様も一応その点気にして、「塾の課題大変じゃない?」とか「課題の分量も計画に入れた方がいいんじゃない?」と言ってはみたんですが、長男は「大丈夫だよー、学校の宿題とは別の時間にやるから」とだいぶ軽く見ている感じです。
干渉しないと決めた手前、私もそれ以上は言いませんでした。
ある程度予想していた通り、夏休みも中盤にさしかかる頃、長男の宿題進捗にはかなりの遅れが出ていました。初めての夏期講習は、やっぱり長男には負荷が大きかったようです。リスクの顕在化です。
旅行に行ったり、スプラトゥーン2を遊んだり、祖父祖母の家に遊びにいっていたこともあり、ずるずると進捗遅れが出てしまった長男の宿題は、「終わるかなあ…?」と長男が泣きべそをかくくらいの量になってしまったようでした。
ここで、実は一つ、私は長男に謝らないといけないなーと思っていることがあります。
私は昔から長男に、「どうしても無理だ、嫌だと思ったらやめちゃっていい」と教えています。部活でもそうですし、塾でもそうですし、習い事でもそうです。
例えばいじめが発生した時とか。長男の心に、何かが重くのしかかってきた時とか。それで潰れてしまうくらいなら、逃げて別の選択肢を探した方がずっと良い。
私はそう思っているし、人生には時として「逃げる」という選択肢を選ぶことも重要だ、とも思っています。だから、長男にそう伝えてきました。
ただ、これについては賛否あるだろうなーとは思っていて。「ちょっと大変なだけでも逃げちゃう子に育つんじゃない?」と、私は昔指摘されたことがあります。
そんなことない、「最後の逃げ道」を心に抱えておくことは、むしろ心の弾力を保つ為に役立つ筈だ。そう思っていながらも、私も心のどこかで、長男に「逃げ癖」がついてしまうことを心配していた。それは正直否定出来ないんです。
ところが長男は、今回、「夏休みの宿題大ピンチ」という、いわば「プチ窮地」から逃げませんでした。
計画が破たんしてしまったことは冷静に認めて、その上で「逃げずに頑張る」という道を選びました。親に頼って手伝ってもらうという選択すら、言い出すらもしませんでした。
そして、実際に今回の窮地は、「逃げずに頑張る」という選択で打倒することが出来たのです。
24日の夕方頃、仕事中にかかってきた電話に出ると、長男は喜色満面の声で「宿題終わったーーーー!」と叫びました。
私は一言、「よくやったな」と言いました。
「逃げずに頑張る」という選択は、良し悪しです。例えば社会に出て、万一いわゆるブラック企業に勤めてしまった時、「逃げずに頑張る」という選択をとってしまったが故に、心を病んでしまったり、時には命さえ失ってしまったりといったことだってあるでしょう。
だから、「どうしても無理だ、嫌だと思ったらやめちゃっていい」ということを心に刻んでおくことは、多分重要なことだと思うんです。
けれど一方で、私は「すぐ逃げる子になってしまうかも」という、心のどこかにあった懸念を捨てることにしました。
長男は、「逃げずに頑張る」こともちゃんと選べる子でした。「まだ、これは無理じゃない」という判断の元、困難に正面から立ち向かうことも出来る子でした。
「無理だったら逃げていい」という言葉は、長男を「逃げる子」にすることはなく、むしろ「戦うべき時にはちゃんと戦える子」にしてくれていた。そう思っています。
夏休みの宿題程度で何をおおげさな、と思われるかも知れません。
けれど私は、「夏休みの宿題」という程度のものが、小学生にとっては十分、真剣な、強大な、恐ろしい強敵であることを知っています。
大人にとっての困難なプロジェクトと同じくらい、子どもにとって困難なプロジェクトであることを知っています。
だから私は、今後も自信を持って、「どうしても無理だ、嫌だと思ったらやめちゃっていい」と伝えていこうと思うんです。本当に逃げないといけない時に、大事な何かを失わないように。
よく頑張った。私は、長男の頑張りを尊敬します。自分も負けてられないな、と思います。
一方、今回長男の計画がリスク顕在化で破綻したことも事実は事実なので、長男には「プロジェクト運営上のリスク管理」「リスクが顕在化した時の対応ノウハウ」というものも教えないとなーと思い、また折を見てノウハウを伝えていこうかなーと思った次第なわけです。
いやホント、リスク管理と計画の見直し重要ですよね。計画立案の次くらいに重要だと思います。
今日書きたいことはそれくらいです。
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【プロフィール】
著者名:しんざき
SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。
レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。
ブログ:不倒城
(Photo:Marco Nedermeijer)