はじめまして。農家支援プロジェクトメンバーの吉田です。我々は高知県の農家のご支援を行っていましたが、今回は前回の「井上農園」さんから、京都府の奥地に、「同じ志の農家さんがいる」とご紹介をいただき、取材に行きましたので記事としたいと思います。
取材に行った場所は京都府与謝郡伊根町本庄上です。京都府というと、内陸のイメージがありますが、ここ丹後半島の先端にあり、若狭湾に面しています。
当然のことながら、交通はものすごく不便です。今回は、大阪から朝出発しました。一先ず、高速バスにのり、3時間30分ほど田園風景を眺めながら、ようやく天橋立に到着です。
ちなみ、3時間30分というと、新幹線で東京から岡山くらいまで移動できます。
ここからさらに、ローカルバスに乗り換え、目的地を目指しますが、ここで問題が・・・路線バスが1時間に一本しか走っていません。仕方なく、ひたすらバスの来るのを待ちます。
ようやく乗り継いだバスですが、ここからさらに1時間30分ほど走ります。新幹線だと、東京から名古屋まで移動できます。
海の向こうに有名な伊根町の舟屋が見えます。
そしてようやくたどり着きました。藤原さんが経営する、「やさいや土の子」の農園です。藤原さんは1~2年前までは水菜を中心に農薬や化学肥料を使い、大量生産したものを農協に収めていたそうです。
ただ、藤原さんは農薬をまき、人体に影響のある野菜を作り続けることに疑問を感じていました。「農薬・化学肥料を一切排除した野菜を作り、消費者に提供すべきだ」という熱いおもいが日に日に増していったとのこと。
また、農協に納めるものは少量の出荷ですと需要を満たすほどの量がないため、セリなどであまり良い価格がつかないとのことでした。もちろん、地域の農協や農家で連携して野菜を集めればいいと思いますが、様々な思惑や利害調整が非常に大変であり、実現していません。
そこで、藤原さんは無農薬・無化学肥料で、自分たちが価格をある程度決められるようにするためにはどうすべきかを考え、多品種栽培で直売をメインにしていくことに踏み切ったそうです。
藤原さんが作っている主な野菜は以下のとおりです。
・京水菜 ・九条ねぎ ・赤水菜 ・ほうれん草 ・小松菜 ・わさび菜 ・春菊 ・キャベツ ・白菜 ・ブロッコリー ・リーフレタス ・バジル ・ルッコラ ・菜花 ・ニンニク ・玉ねぎ ・トマト ・キュウリ ・いんげん ・さやえんどう など 約40種類
生産した野菜は飲食店に販売・道の駅などで販売・移動販売しているとのこと。やはりこの売先であると多品種で少しずつ販売していく方が消費される方が喜ぶそうです。
ただし、課題も山積みです。
・無農薬、無化学肥料にこだわると、苗づくりも自分たちでやらなければならないので、畑の管理と苗の管理で非常に忙しい。(苗を買ってきて植える農家が多いそうですが、苗の時点で農薬や化学肥料が沢山使用されているため。)
・無農薬、無化学肥料で良いものや病気にならないものを作るためには、土を作らなければいけないのですが、土作りが非常に難しい。
・連作(同じ畑に同じ作物を立て続けに植えること)すると土壌が痩せてしまうため、場所をずらして植えているが、多品種のため、管理が非常に大変。
・直売の需要予測を考え、逆算して苗を植えないといけないので、多品種の管理が難しい。
・直売に持って行って販売しているが収穫量が多くて直売所でも全ては売れない。結果的に自家消費にまわしているが食べれきれないものがある
・販路の開拓が難しい。
消費者を見て良いものを作ろうとすれば売れず、売れ行きを考えると大量生産で農薬や化学肥料を沢山使わざるを得ない、という矛盾にどう向き合うかが、農業経営の難しいところです。
特に販路の問題は最も大きく、奥様が3人の子供を抱えながら、軽バンで町に販売へ出て行っているそうです。
取材を終え、帰宅します。ところが帰路も問題が発生です。高速バスがない時間になってしまったので、路線バスを乗り継いでようやく駅に到着しました・・・が、特急がない。
鈍行列車の発車まで時間があるので腹ごしらえしようとすると・・・・・飲食店がやってない。参りました。
ようやく大阪にたどり着いたのは午前0時をまわっておりました。
総移動距離 400km
総移動時間 12時間
滞在時間 2時間
例によって、ご紹介した生産者の方から直接、野菜を買ってみることにしました。こちらについては別のレポートといたします。
⇒続き 【農業ブログ第11回】 農家の支援を行っているメンバーを、ご紹介します!
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)