今でも大好きです。ジョブズの一番有名なプレゼン。いや、世界で一番有名なセールストーク動画。
iPhoneがはじめて発表された時のジョブズによる基調講演。
子供がディズニーアニメを何回もみるように、オレこの動画を何回もみた。
このプレゼンで特に有名は部分は、冒頭のこの部分です。
ジョブズは「ワイドスクリーンのiPod」「革命的携帯電話」「画期的なネット機器」
の3つを合体させて1つのデバイスを作った。そして、
“Apple is going to reinvent the phone (アップルは電話を再発明する)”と宣言し、
それを「iPhone」と呼ぶ
と紹介するのです。
この時、「ワイドスクリーンのiPod」「革命的携帯電話」「画期的なネット機器」の3つを順番に紹介していて、
一番盛り上がったのが、2番目の「革命的携帯電話」と言った時でした。
当時アップルマニアたちが期待していた製品は、iPodと携帯が合体したものでした。だから「革命的携帯電話」と紹介された時に聴衆は、噂通りのものが出てきたぞ!と沸いたわけです。
しかし、3番目に「画期的なネット機器」と言った時、みな「ポカーン」って感じになりました。
(動画1分40 秒あたりから確認してみてください)
つまり、その時は誰もそんなものを求めていなかったし、期待もしていなかった。
「もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは「もっと速い馬が欲しい」と答えていただろう。」
ヘンリーフォードが語ったとされる、マーケティングの有名な話があります。
この時ジョブズが、もし顧客に彼らの望むものを聞いていたら?
彼らは「もっと使いやすいiPodを、それに携帯電話機能がつけば尚良し」と答えていたんじゃないかと思います。
当時、聴衆が求めていたものは、「画期的なネット機器」ではなかったのです。
Apple Watchを使いはじめて約2週間。
未だ、これがないと困る場面には遭遇してません。ないならないでよかったんじゃ?
そう。ないならないで困らないんです。でも、毎日つけてます。いや、つけなければいけないという気持ちになってます。寝てる時だってつけときたい!(でも、寝ている時は充電しないといけないという地味な欠陥あり)
なぜならば、毎日の運動をアクティビティというアプリが記録してるからです。腕時計してるだけで、何の操作も必要ないのですが、それが罠でして、Apple Watchしてる間に勝手に記録されているんで、Apple Watchを外そうものなら、記録がなくなるわけです。数多の硬軟ビジネス書に書かれている通り、人間は見える化されるとがんばっちゃうんです。
運動している時はもちろん、ちょっとの間もはずしたくない、風呂の中も付けっぱなし、歯磨いてる時だって、寝てる時だって(寝返りとかしてカロリー消費してるだろ?)と、できるならばずっとつけときたいと思うのです。(もう一度言うけど、寝ている時は充電しないといけないという地味欠陥あり)
もうひとつは、iPhoneの通知機能。
多くのApple Watchレビューに書かれている通り、iPhoneを見る回数が圧倒的に減ります。
(参考:Apple Watchを使うと、iPhoneを見る回数は本当に減るのか ITmedia 2015/5/21)
いままで、どうしてもiPhoneをちょこちょこ見てしまってましたが、それがApple Watchに通知がきて、すぐ見た方がいいものかそこである程度判断できるので、iPhoneを手に取る回数が減ったことは間違いないです。
この程度のことって、全然たいしたことじゃなさそうですが、このちょっとしたことが、もしかしたらものすごい大きな差になって、多くの人が使うガジェットになっていく可能性があります。
例えば、Amazonの配送の話。
私は最近AmazonでSWITCH Vol.33 No.5 ジャズタモリ を書いました。最新の雑誌なので、本屋に行けばすぐ手に入ります。歩いて5分以内の場所に本屋があります。でも、Amazonで書いました。欲しいと思った瞬間iPhoneから1クリックで買えるからです。Amazonはどこかに1個でも在庫があれば絶対に買えることが保証されているからです。しかも場合によっては当日届く。本屋だと、もしかしたら売り切れかもしれないって(だって天下のタモ様だから)、頭をよぎりますよね。売り切れの可能性は少なくとも0%ではないですよね。でもAmazonは絶対に100%買えます。
私が住んでるマンションは、1Fが酒屋なんです。なので、ビール買う時って自宅3Fからエレベーターで1Fに行けばすぐ買えるわけです。ですが、私はそこでビール買うことはありません。なぜならば、Amazonで買ってるからです。Amazonだと下に降りることなく、確実にドアの目の前までビール1ケースを運んでくれるからです。1Fにある酒屋よりも、翌日に確実に目の前にビール1ケースを届けてくれる方を選ぶわけです。
Amazonなくても十分に便利な生活なはずなんですが、Amazonがあることでその過去の便利さは全く見向きもされなくなってるわけです。しかも、その差って現実的には微々たる差です。でも、その微々たる差でも、人間は無意識的にも意識的にも合理的に判断を下し、シロクロはっきりさて、やがてある程度時間が経つと、それは目に見えて大きな差となります。それはAmazonの現代の巨大差が物語っています。
iPhoneが世に出た時に、「Phone」と名のついてる通り「すごい携帯電話が出た」と話題になりました。それは、少なくとも「電話」と呼んだ方が、多く人にわかりやすかったですし、単純にその方が「売れる」ってジョブズが判断したからです。
現在、電車の中でみんながみんなケータイを黙々といじっているあの光景みてわかる通り、もう電話なんかではないです。電話というよりもジョブズがプレゼンでひっそり紹介(ほんとはドヤったつもりだったかも知れない)したように画期的「ネット機器」と呼んだ方が、より正しいです。
Apple Watchも、「Watch」と名前がついていますが、iPhoneがもはや「電話」ではないのと同様にそれは実際は「時計」ではないです。ヘルス機器かもしれないし、通知機能かもしれないし、スマホやカメラなどのコントローラーになるかもしれない。
それらの機能は、 現実的には現状に比べてほんのわずかな違いしかないのですが、そのわずかな差でもおそらくどちらかが選ばれます。1回使って便利と感じたら、そっちを使い続けます。Apple Watchに限らずウェアラブルコンピューターと呼ばれるものの本質がそこにあると思います。
ただ、それがどのように使われて、どのように生活の中に入り込んでくるかは、今はわからないです。その可能性がApple Watchにあるとしか言えないです。8年前のiPhoneと同様に。
(了)
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第6回目のお知らせ。

<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>
第6回 地方創生×事業再生
再生現場のリアルから見えた、“経営企画”の本質とは【ご視聴方法】
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当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。
【今回のトーク概要】
- 0. オープニング(5分)
自己紹介とテーマ提示:「地方創生 × 事業再生」=「実行できる経営企画」 - 1. 事業再生の現場から(20分)
保育事業再生のリアル/行政交渉/人材難/資金繰り/制度整備の具体例 - 2. 地方創生と事業再生(10分)
再生支援は地方創生の基礎。経営の“仕組み”の欠如が疲弊を生む - 3. 一般論としての「経営企画」とは(5分)
経営戦略・KPI設計・IRなど中小企業とのギャップを解説 - 4. 中小企業における経営企画の翻訳(10分)
「当たり前を実行可能な形に翻訳する」方法論 - 5. 経営企画の三原則(5分)
数字を見える化/仕組みで回す/翻訳して実行する - 6. まとめ(5分)
経営企画は中小企業の“未来をつくる技術”
【ゲスト】
鍵政 達也(かぎまさ たつや)氏
ExePro Partner代表 経営コンサルタント
兵庫県神戸市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。3児の父。
高校三年生まで「理系」として過ごすも、自身の理系としての将来に魅力を感じなくなり、好きだった数学で受験が可能な経済学部に進学。大学生活では飲食業のアルバイトで「商売」の面白さに気付き調理師免許を取得するまでのめり込む。
卒業後、株式会社船井総合研究所にて中小企業の経営コンサルティング業務(メインクライアントは飲食業、保育サービス業など)に従事。日本全国への出張や上海子会社でのプロジェクトマネジメントなど1年で休みが数日という日々を過ごす。
株式会社日本総合研究所(三井住友FG)に転職し、スタートアップ支援、新規事業開発支援、業務改革支援、ビジネスデューデリジェンスなどの中堅~大企業向けコンサルティング業務に従事。
その後、事業承継・再生案件において保育所運営会社の代表取締役に就任し、事業再生を行う。賞与未払いの倒産寸前の状況から4年で売上2倍・黒字化を達成。
現在は、再建企業の取締役として経営企画業務を担当する傍ら、経営コンサルタント×経営者の経験を活かして、経営の「見える化」と「やるべきごとの言語化」と実行の伴走支援を行うコンサルタントとして活動している。
【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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(2025/7/14更新)
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