仕事のチカラ当ブログは、「働き方」に関して新しい知見を提供することをその目的の一つとしていますが、本連載は【仕事のチカラ】と題し、社会人の方々に、働き方や仕事観に関して、いろいろなお話を聞いていきたいと思います。

第一回は、私の旧友の紹介により、株式会社インテリジェンスの三石さんにお話をうかがいました。

 

 

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三石 原士さん

“未来を変える”プロジェクト オーナー兼編集長(株)インテリジェンスで、転職サイトや総合制作グループの立ち上げに従事。企業取材は、500社を超える。その後、マーケティング部門へ。不確実性の高い未来において、これからのはたらき方、楽しみ方を追求すべく、“未来を変える”プロジェクトを起案。現在に至る。

Twitterアカウント https://twitter.com/m_mitsuishi

 

今、どんなお仕事をしていますか?

現在は、株式会社インテリジェンスのマーケティング部門で仕事をしています。具体的には「未来を変えるプロジェクト」というオウンドメディアと、それに付随するイベント運営をしています。

企画の趣旨としては「変化を楽しみ」ながら、働き方を変えていくヒントを、読者の方へ提供できればと思っています。

三石さんも、変化を楽しんでいるようですが?

そうですね、自分自身も変化を楽しんでいます。できるだけ多くの方が変化を楽しみ、もっと働くことに前向きになってもらえれば、と強く思います。

 

なぜそう思ったのですか?

実は弟が料理人をしていて、5年前までパリで修行していたのですが、日本に帰ってくるたび言われるんですよ。なんか日本のビジネスパーソンって、どよーん、としていて、電車の中でいつもケータイをいじっている。なぜか元気がなさそうだと。

で、わたしも丁度同じことを考えていました。わたしも、最初のキャリアがドイツなので、それなんとなく共感したんです。

 

キャリアの最初がドイツですか?

いやいや、大学を卒業するまで、わたしは海外に行ったことが一度もなかったんです。このまま普通に就職したら、二度と海外に行く機会もなく、埋もれちゃうという変な先入観がありまして…大学の先生に無理を言って紹介してもらい、ドイツのブレーメンの設計事務所にインターンのような形でで潜りこませてもらったんです。

最初は言葉が全くわからなかったので、渡独直後はノイローゼになる寸前でした。

その後は語学学校に通いはじめたことと、職場の人に住む家を紹介してもらったことで、なんとか持ち直した感じです。語学学校で着々とドイツ語の理解を深め、日常会話はまったく問題ないほどになり、半年後に職場に加わることができました。社員は全部で20人程度の小さな職場でした。

 

ドイツではどんな仕事をしていたのですか?

職場は、都市やオープンスペースの設計会社でした。当時の私の役割は、都市計画の住民向け説明会のプレゼンテーションファイルを作ることです。

図面を見て、2次元を3次元におこす、よくあるあのイメージ図を作る役割です。で、作ったファイルを印刷して、ボスのプレゼンテーションに同行するんです。クルマでロストックやハノファーなど、ドイツの北の方を回っていました。

仕事はというと週一回、進捗会議があるのですが、そこでコミットラインを示されるので、必死にそれを1周間で終わらせる、というかたちでした。

 

ドイツの人たちは皆、楽しそうに働いていましたか?

少なくとも、いまの日本よりはそう思います。

 

秘訣は何であると思いましたか?

オンとオフのバランスとメリハリは秘訣のひとつだと思います。よくヨーロッパは生産性が高い、みたいな話がありますが、私の現場の感覚は少しちがいました。しゃかりきになって仕事している、というイメージはあまりありません。

その代わり、あの人達は、とにかくムダなことを絶対にしないんです。基本、定時になると事務所から締めだされますから皆、本当に集中して仕事をしているんです。雑談もあまりしませんでした。

2001年当時、職場は週40時間労働だったので、月曜日~木曜日は通常どおりに働き、金曜の14時で週の仕事は終わりでした。午後からみんな休み。

そしてドイツは夏になると白夜で夜でも明るいんです。だから、金曜日はもうとにかく皆遊びます。私はよく草サッカーやビーチバレーをしていました。メリハリのある環境でこれ、楽しくないわけがないです。

こうしてメリハリを生む工夫として「職場から締めだす」というものがあります。私の勤務するインテリジェンスも同じようなことをしてます。午後10時でPCも電気も強制的にシャットダウン。生産性は圧倒的に締め切り効果を導入した方が高くなっていると思います。

また、ドイツでは職住近接が当たり前でした。お昼に家に帰って家族と摂るという同僚もたくさんいました。私も職場から自転車で15分のところに住んでいましたが、一番遠かったと思います。

 

多くのひとがそのようなな感じなのですか?随分と優雅な感じがしますが…(笑)

そうですね…、ただ給料の高いエリート層の方々は死ぬほど働いていると友人に聞きました。

一部の方はとにかく仕事に打ち込み、一部の方は自分の領域の範囲でコミットラインまで生産性高く働く。ただ、あまりにルーティン業務だけの仕事だとあまり面白くない人が増えますから、ガス抜きとして長期休み(ウアラウプ)が設定されている、と言った具合です。

年1度のウアラウプのためにはたらくという方も中にはいました。

 

経営者が法律を破って、無理に働かせようとしたりはしないのですか?

それはないですね、ドイツでは労働組合が強く、そんなことをしたら絶対にストライキが起きます。経営者のほうが困ってしまいますよ。

ただ、日本でこれをやってもうまくいかないでしょうね。難しいのは、コミットすべき領域をどのように決めるか。契約をどう決めるかです。

 

日本において、働き方はどうなっていくでしょう?

まず思うのは、外の世界を知らなさすぎる、ということだと思います。会社に自らをフィットさせようとする方が多いのではないでしょうか。

特に大手企業で地頭がよい方ほど、周りの空気を読み過ぎて自身の強みを伸ばすことができず、成長が滞る傾向があるととある人事の方からお話を聞いたことがあります。

働く人々は無理に職場に適応させようとせず、もっと様々な世界を知り、自身の可能性を知ったほうが良いと思うんです。

様々な働き方や、様々な仕事を知れば、自分にあった世界を模索できると思うのですが…。あ、我々が転職サイトを運営していますが、転職は必ずしもオススメではないですよ。(笑)

多くの人は、もっともっとはたらくを面白くできると思います。

 

三石さんは、今の仕事で何が面白いのですか?

そうですね…やはり自分たちが作った記事が、「役立ったよ!」と言われることが嬉しいですね。とくに「刺さった」というメッセージは特別です。何かが変わるきっかけになってくれたらいいと常に思っていますから。

我々も真面目に、愚直に意見を発信する。そしてそういった「変わろう」とする空気を支援するイベントをやる。これがやりがいと感じます。

 

今後の課題は何ですか?

そうですね、オウンドメディアはまだ見てくれている人が少ないので、もっと広めなければならないと思います。

あともう一つは「演出」の問題です。

私は昔、変化には「演出」が必要だとある人から言われました。ショックなど、心を強烈に揺さぶる何かがないと、なかなか人は変化しない。

例えば、いろいろなことを目の当たりにして、厳しいことを言われて、悔しくて泣いて自分を変える、というのもひとつ。そんなキッカケをどうしたら演出できるかは課題です。イベントや教育サービスなどをオウンドメディアと絡ませて、もっと発信していかなければいけないと思います。

先日、ある経営者に言われました。

「変化を楽しむという理想は賛成。でも、殆どの人がそんなカンタンにはできない。当たり前だが皆、変わりたいと思っているができなくて苦悩葛藤をしている。無邪気に楽しむという人はいない。」

私もそう思います。それだけに、真剣な取り組みが必要な分野だと思います。

 

 

 

徐々に新しい働き方が世の中に広まっていくような気がします。三石さん、ありがとうございました。

 

 

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(文責-ティネクト株式会社 取締役 倉増京平)

 

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