社会人の方々に、働き方や仕事観に関して話を伺う【仕事のチカラ】。
第四回は、何をやるかを決めずに気の合う仲間と起業する。そんな人生もいい、そう思って会社を辞め、いま起業10ヶ月目のSuper Studio Inc. のCOOである、真野さんにお話を伺いました。
前職はクラウドソーシングのベンチャー企業に在籍していましたが、30までには起業したい、という学生時代からの思いに従い、去年末で前職をやめて、三人で会社を起こしました。
−会社設立の経緯に色々なドラマがあったと伺いましたが?
30までには起業したいと思っていましたが、仲間がいないとできないということも考えていました。私はチームで働くことが好きだし、得意だったからです。ですから、ずっと一緒に起業できそうな仲間を探していました。
そこで出会ったのが、いまの社長です。実は前職の時のお客さんの一人でしたが、同じ年ということもあり、一番話していて面白かったのです。なにか、話していて不思議な感覚がありました。お客さんだけど、親しい。ちょっとふざけた話もできる。そんな人、貴重じゃないでしょうか。
そこで彼に話をしてみたんです。「起業したい」と。そうしたら面白いことに彼も全く同じことを考えていたようです。今ガツガツやれる若い時に、やっておこうと言ってくれました。
−真野さんは社長をやりたいと思わなかったのですか?
自分はもともとベンチャーにいたので、どのようなチームが成功する、失敗するをわかっていました。僕は営業、ひたすら前に進むのが得意です。でも、トップになったら恐らくトップダウンで進めてしまう。
それはやらないように、無理をしないように、大きく夢を描けて、プレッシャーに強い、いまの社長である林にやってもらおうと思いました。
−三人で起業したと伺いましたが、あとお一人はどこから?
林と話して、あとはシステムに強い開発の人間、CTOが必要ということで、意見が一致しました。そこで、林が一人心当たりあるやつがいると言ってくれました。それが、林の中学の同級生だった花岡です。
実は、林と大学も同じだったようなのですが、理系と文系で別れてしまい、学生時代にはすれ違ったくらいだったようです。まともに話すのはずいぶんと久しぶりと言っていました。
花岡は前職は某大手SIerのマネジャーでした。入社して5年間で出世してマネジャーになっていました。さらに、結婚もしていました。正直これを聞いて、「ちょっと無理だろう」とおもっていたましたが、林と花岡と2人で飲みに行った時に、社長がそれでも口説いたようなんです。
そうしたら、実は花岡も副業として、web開発の仕事を一人でをしていたようなんですね。会社はインフラ、バックの仕事が大きくて、技術が伸びないと思い、毎日5時に帰宅してやっていたみたいです。
ですから、もともと独立しようとちょうど思っていたところで、この人やるなら、ということで決心してくれました。
−起業にあたって生活は不安ではなかったのですか?
いやー、もうめっちゃ不安でした。前職手に入れたストックオプションを売ったお金を、当面の生活費当てて凌いでいました、早く仕事をとらなければ、と焦ってましたね。
だから、最初は受託で日銭を稼いでました。あと動画制作です。制作、プロモーションなどを請け負ってやっていました。ただ、仕事を請けるルールは決めていて、こちらが本業になっては本末転倒なので、「知り合いからのみ」仕事をもらっていました。
受託開発や動画制作は今も自分たちで手を動かして、やっていますよ。
−受託はいわば副業だと思いますが、本業を何にするか、全く決めずに独立したと聞きましたが?
実はそうなんですよ。受託をやりながら、平行して、どうすればいいのか?を皆で一生懸命考えました。
でも、大まかにはメディアを作りたかったのだと思います。
ひとまずそのアイデアを形にするため、KDDIの無限ラボというベンチャー支援のプログラムに応募しました。当時は、面白そうでPRにもなるとおもって出したのですが、3ヶ月でサービスを作って、採択されるまでは結構辛かったです。
−どのようなサービスが採択されたのですか?
ものづくりに特化した、メディアサイトです。シンプルに言えば、「DIYの動画」を集めたサイトとでも言えばよいのでしょうか。名前はPUです。
新しい技術、考え方で、まだイノベーションが起きていない市場を狙いたい、と考えた時に出会ったのが、DIY市場なんです。市場規模は国内だけで約4兆円。大きな市場ですが、まだwebの世界では存在感がない市場です。
そして、DIYは特に我々の得意な動画メディアが向いています。
音、微妙なチカラ、リカバリーの方法、見ないとわからないことがたくさんあります。また、動画がスマホで見れるようになったことも大きいです。
言うのは恥ずかしいですが「DIYのクックパッドを目指したい」と思っています。
−今後の展望を教えて下さい。
1年くらいで、DIYのコンテンツ量をNo1にしたいと思っています。当面の一番大きな課題が、コンテンツをどう増やしていくか、であると認識していますので。
特に重視しているのが動画の質です。最近のwebのコンテンツはどうしてもチープなものが多いです。そういったものは最終的には廃れると思います。
まずはDIYの教科書的なコンテンツを充実させ、タイアップコンテンツや取材記事を揃えていくつもりです。
今の人数は6名ですが、「人ありき」で始めた会社なので、ちょっとしたいざこざや、わだかまりが増幅しないよう、結構頻繁に社内コミュニケーションをとっています。月並みですが皆でパーティーやったりゲームしたり、チームビルディングに手を抜かず頑張りたいと思っています。
−真野さん、ありがとうございました。DIYにご興味のある方は、PUを覗いてみてください。
(2025/7/14更新)
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第6回目のお知らせ。
<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>
第6回 地方創生×事業再生
再生現場のリアルから見えた、“経営企画”の本質とは
【ご視聴方法】
ティネクト本音オンラインラジオ会員登録ページよりご登録ください。ご登録後に視聴リンクをお送りいたします。
当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。
【今回のトーク概要】
自己紹介とテーマ提示:「地方創生 × 事業再生」=「実行できる経営企画」
保育事業再生のリアル/行政交渉/人材難/資金繰り/制度整備の具体例
再生支援は地方創生の基礎。経営の“仕組み”の欠如が疲弊を生む
経営戦略・KPI設計・IRなど中小企業とのギャップを解説
「当たり前を実行可能な形に翻訳する」方法論
数字を見える化/仕組みで回す/翻訳して実行する
経営企画は中小企業の“未来をつくる技術”
【ゲスト】
鍵政 達也(かぎまさ たつや)氏
ExePro Partner代表 経営コンサルタント
兵庫県神戸市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。3児の父。
高校三年生まで「理系」として過ごすも、自身の理系としての将来に魅力を感じなくなり、好きだった数学で受験が可能な経済学部に進学。大学生活では飲食業のアルバイトで「商売」の面白さに気付き調理師免許を取得するまでのめり込む。
卒業後、株式会社船井総合研究所にて中小企業の経営コンサルティング業務(メインクライアントは飲食業、保育サービス業など)に従事。日本全国への出張や上海子会社でのプロジェクトマネジメントなど1年で休みが数日という日々を過ごす。
株式会社日本総合研究所(三井住友FG)に転職し、スタートアップ支援、新規事業開発支援、業務改革支援、ビジネスデューデリジェンスなどの中堅~大企業向けコンサルティング業務に従事。
その後、事業承継・再生案件において保育所運営会社の代表取締役に就任し、事業再生を行う。賞与未払いの倒産寸前の状況から4年で売上2倍・黒字化を達成。
現在は、再建企業の取締役として経営企画業務を担当する傍ら、経営コンサルタント×経営者の経験を活かして、経営の「見える化」と「やるべきごとの言語化」と実行の伴走支援を行うコンサルタントとして活動している。
【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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【仕事のチカラ Vol.3】プログラミングを独習し、その勢いで独立した、28歳の凄腕プログラマーの話。
【仕事のチカラ Vol.2】破天荒な26歳が起業したネタは「靴磨き」
【仕事のチカラ Vol.1】「新しい働き方」を演出していく。そんな仕事です。