以前「うちの子、勉強しなくてさ……」とこぼしていた知人が、最近「うちの子も、ようやく一人で勉強できるようになった」と言うようになった。

「どうやって勉強する習慣を身に着けさせたのか」と聴くと、

「どっかで、「リビングで勉強させるといい」と読んだので、毎日の宿題を部屋ではなく、リビングでやるように言ってみたら、これが良かったみたいで、勉強するようになった。」

という。

 

「どうやら、周りにマンガやらゲームやら、誘惑するものがあるとどうしてもそっちに気を取られちゃうから、「勉強するしかない」という状況がいいみたい。」

「リビングって、周りがうるさいんじゃないの?」

「子供にきいたら、あまり気にならないらしい。唯一、テレビだけは気が散るらしいから、家内はテレビを見なくなって、逆に子供と一緒に勉強するようになったと。オレも早く帰ったときは、子供と一緒に自分の勉強をするようにしてるよ。」

 

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少し前、知り合いのエンジニアが「取得が困難」とされている資格を取ったと聞いた。

合格率は5%程度とのこと。なかなか貴重な資格だ。

しかし、彼は結構忙しかったはず。「忙しいのに、よく勉強できたね」と言うと、彼は「勉強をするために工夫した」という。

例えば1つの工夫として、

「会社からまっすぐ家に帰らない」ということをしていた。彼は月1万円程度で自習室を借りていたそうだ。自習室に行くと他に同じように勉強している人がたくさんいて、周りに誘惑もないので、毎日1時間、2時間は勉強できたという。

 

「他には何か?工夫していた?」

「夜、早く寝て朝勉強した」

「夜は疲れていて集中力が無くなるので、どうしてもテレビを見たり、動画を見たりしてだらけてしまってた。多分勉強する気力が無くなるんだとおもう。だから、風呂に入ったらすぐに「寝る」と決めた。」

「へえ、よく誘惑を断てたね。」

「簡単だよ、テレビのコンセントを抜いておくだけ。やっぱり、スイッチひとつで見れてしまうのはよくない。」

「スマホは?」

「枕元に置くとどうしても寝る前に見ちゃうから、スマホの充電スタンドを足元にした。気軽に手に取れるところに置かなければ、寝るしかない。」

「なるほど」

 

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上述のエピソードにはいずれも「習慣化の成功」が含まれており、個人的には見倣いたいと思うことがいくつも含まれている。

そのポイントは「習慣を強い意志で定着させたのではない」ことだ。

 

人の意志は弱いもので、「これをやろう」「あれをやろう」と思っても、いざ始めようとするとなかなか手に付かない、というシーンが数多くある。

意志力のみで、その誘惑に打ち勝つことは、かなり難しい。

疲れて帰ってくればついつい、テレビを付けて飲酒をしてしまい、そのまま寝てしまう……

夜にやろうと思っていた宿題は、できないままになり、「ああ、オレはダメな奴なんだ」と、ますます自己嫌悪に陥る。

 

だが、それらはすべて「意思が弱い」のではない。

「環境をつくっていない」のだ。

 

 

例えば、ダイエットをしたいなら、まずは皿の大きさを小さくすれば良い。

コーネル大学のブライアン・ワンシンクはそう述べる。*1

大きな皿を使えば、それにいっぱい食事を盛るので、人は無意識のうちに過食するという。

 

更に、ペンシルバニア大学では「食べる量を増やす」ことで、ダイエットの後のリバウンドを抑えることに成功したという研究もある。

中身は非常に簡単で、毎日カップ2杯のスープを飲むように指示されただけだった。

ダイエット者たちは満腹感を感じ、食べる量をコントロールできるようになった。

 

また、ホワイトハウスが、ベトナムから戻った兵士の麻薬問題を調査したところ、戦争中は兵士の50%がたまに利用し、さらに20%は長期に渡って深刻な依存症に陥っていた。

しかし、麻薬に依存している退役軍人は1%に過ぎなかった。これは戦前と変わらない割合だ。

周りが麻薬を常習していれば、人は環境に流され、麻薬を使う。しかし、元の生活に戻して環境を変えれば人の習慣は変化する。

 

 

したがって、友人がやっていたようにテレビのコンセントを抜いて、テレビを点けることを難しくすれば、皆テレビを見なくなる。

勉強しようとしているなら、誘惑のない環境を用意すれば良い。

飲酒をしてしまうならば、家にビールを置かない、もしくは冷蔵庫に入れないで置いておき、「飲もう」と思ってから冷やせば、呑むまでにワンクッションあるので、その時に思い直せる。

 

そういった「ちょっとした工夫」が、習慣を形作っていく。

自分にも、子供にも、部下にも、伴侶にも「ガミガミ言う」だけでは、行動は変わらない。むしろガミガミ言われると余計にやりたくなくなる。

 

 

人生を変えたいなら、一番手っ取り早い方法は、転職するか、引っ越しをするかだという方がいたが、まさしくそのとおりだ。

人生で変化を起こそうとしている人々を対象に行なった研究によると、変化に成功したケースの36%は、引っ越しと結びついていた。逆に失敗したケースで引っ越しが含まれていたのは13%にすぎない。*1

 

自分にはどうしようもない、と考えず、

「意志」は「環境」によって簡単に変化すると考えれば、人生をコントロールすることはじつは難しくない。

 

 

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システム開発やITコンサルティングを経て、
外資系製薬企業で15年以上のITビジネスパートナーとして人事からコマーシャル、 メディカルなど製薬企業の様々な分野のプロジェクトに携わる。
現在はネクセラファーマ株式会社で、システムだけではなく、企業風土改革や業務改善をリードし、
日本発グローバルバイオ製薬企業にむけて、同社の成長基盤の構築に尽力している。

岡田 雄太(ワークワンダース株式会社 CTO)
野村総合研究所に新卒入社後、証券総合バックオフィスシステムやオンライントレードシステムなどの開発に従事。
その後、8 Securities(現SoFi Hong Kong)へ出向し、日本人唯一のエンジニアとして国際的なプロジェクトに携わる。
BOOSTRYでは信託銀行向けSaaSの立ち上げと成長を牽引。
WiseVineではCTOとして開発組織を30名規模に拡大し、プロダクト開発を推進。
2025年4月よりワークワンダース株式会社CTOに就任。AI活用を中心とした開発支援をリードする。


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(2026/01/19更新)

 

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