ある方と最近話題になったのが、
「お客さんとの飲み会は、残業時間にカウントしていいのか?」
というテーマだった。
その方とのやり取りは、概ね下のようなものだった。
「一回webで調べたんですよ。大体の意見は「カウントしていい」とか言っているわけです。でも、法律的には残業なんでしょうけど、残業時間にカウントしたらそれこそ結構な時間を残業としてカウントしなけりゃなりません。
でも私はそれをやる勇気はないですね。多分上司に怒られます。みんな、どうしてるんですかね。」
「上司から「絶対参加」といわれたりするんですか?」
「そんなことは言われないですよ。まあでも、残業代を請求したらまず言われますね。お前は仕事をナメているのか、って。
まあ、もう諦めてますけどね。お客さんが飲み好きだと、断ることも難しいですよね……。まあ、営業活動の一環だから仕事ではありますけど。」
「なるほど」
「まあ、でも若手から聞かれるわけですよ。「今日の飲み会、お前も同席してくれって軽く言われましたけど、残業代はつくんですか?」って。私も答えられないので、部長に聞け、って言いました。
そしたらあいつ、本当に部長に聞いたらしくて。残業つけてもらったらしいですけど、部長は「あいつはダメだな」って評価は最低になりました。
それ以来、彼、大事なお客さんから外されているらしいですよ。ま、仕方ないですよね。」
「そうなんですか。」
「どこまでが仕事で、どこまでがプライベートか、って正直本人たちにしかわからないですよね。会社のカネを使って飲み食いして、更に残業代までって、調子良すぎだ、って部長は言うんです。」
「……」
「まあ、そりゃ言い過ぎだと思います。私も思うんです。若手たちも給料安いわけですよ。時間を拘束される割には。で、昔とちがって昇給もボーナスもあまりない。そりゃ残業代もほしいですよね。」
「そうですね。」
「「会社のために自己犠牲を払えば、長期的には報われる」って言う時代は残業代なんか請求するんじゃない、っていう論理が通用したと思います。
でも、今は会社が結構裏切りますからね。リストラとか昇給ボーナス無しとか。そりゃ、その場その場で精算して欲しい、という若手の気持ちもわかりますよ。」
「……結局、どうしたらいいんですかね」
「ま、今の慣行だと飲み会で残業代を請求したら、殆どの会社では評価は下がるでしょうね。「飲み会の文化がおかしい」とか「残業代を払うべき」という正論を言っても、それが現実です。」
「そうですね」
「全部残業代として請求して、飲み会も行きたくなければ行かない。パフォーマンスだけで評価される。
それに対して残業代はつかない、飲み会に出る、結果が出なくても守ってもらえる。
これ、どっちがいいんですかね。」
「どっちがいいと思っているんですか?」
「私は前者……と言いたいとこなんですが、やっぱり後者ですかね。そんな自信はありません。でも会社も最近は守ってくれないからなあ……。どうしたらいいんですかね。」
日本は労働時間の割には生産性が低い、と言われるが、結局のところ実態はこんなものなのかもしれない。
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)
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