「働かざるもの食うべからず」という言葉がある。文字通り、「働きたくない人は、食べてはいけない」という意味だ。
出典は聖書らしいのだがそれが本当かどうかはともかく、この言葉に対して同意する人は多いだろう。
そうした背景もあってか、「生活保護」など、働かずしてお金がもらえる制度に対しての世間の目は非常に厳しい。具体的には生活保護の改正などが取り沙汰される状況になっている。
もちろん、不正受給は問題があるが、不正受給の割合は全体から見れば0.5%程度であり、取るに足りない数字である。
むしろ摘発に余計なコストを掛けるほうが国のコスト負担は増えそうなものなのだが、どうやら不正受給を放置することを感情的に認められない人はたくさんいるようだ。
要は、「オレがまじめに仕事しても月20万しか稼げないというのに、働かないで30万ももらえるのか、不合理だ!」という訳だ。
もっといえば、「こんなにつらい思いをして働いているのに、それ以上に楽をしてお金をもらっている人がいるのは、許せない、ムカつく!」と言っている。
言い分はよく分かる。つらい仕事を毎日続けても、ラクをしている(ように見える)生活保護の人よりも生活レベルが低いのは我慢できないだろう。
不正受給の話を聞けば、更に感情的になってもおかしくはない。
さて、生活保護については上のような状況なのだが、会社の内部においても同じような話がある。
「あいつは大した仕事をしていないのに、オレと給料や地位が一緒だ、ムカつく!」というやつだ。
場合によっては、「アイツのせいで、モチベーションが下がってしょうがない」という話にもなり、常に人事評価の際に話題になる。
実は、生活保護を非難する人と、社内の他人の給与を気にする人にはある共通点がある。それは、
「仕事が嫌い」
ということだ。
根っこは同じ。「オレがつらい思いをしているのに、あいつが楽をしているのは許せない」という感情だ。
本当に仕事が好きな人は、そんなことは気にしない。
「他の人がいくらもらっているか」はどうでもいい話だと思っているし、仕事が好きなので「自分の負担が増えた」とも思わない。
むしろ、「もっと仕事をさせてくれ、君の分まで」という気持ちだろう。
「働かない奴はムカつく」という人は、実は「仕事が嫌い」であり、「こんなにつらい仕事なんかしたくない」とムカついているのだ。
その矛先が、「お前も俺と同じように苦しめ」と、他人に向かってるだけである。
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

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借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
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3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)