日本人の特性のひとつとして「空気を読む」ことが良しとされる風潮があります。

その場の空気やノリに合わせないとダメだという雰囲気や、普通とは違うことをする人をダメだと多くの人が言ってしまいます。こういう空気感が日本を停滞させている一つの要因なのだと私は感じています。

みんなと同じようにしなければならない。みんなと違うことをしてはいけない。などと過剰に同調を求められてしまう空気感。これが同調圧力と言われるものの正体です。

誰かと違うことは恥ずかしいと思い込まされている

私はこの日本社会の一番の問題はこの目に見えない圧力であると思っています。

そしてこの圧力の渦を作っているのは大人なんです。「誰かと違うことは恥ずかしい」「みんなと同じじゃなきゃいけない」という行き過ぎた価値観を持っているのです。これが日本社会の基本的な価値観なのです。

つまり日本の社会で生きていくためには、自分を出すことよりも自分を殺すことが重要なのです。そして大人は子供達にそんな社会に適応させようと必死に教育させます。私はそんな現状に危機感を感じています。

チームのためではなく自分のために

日本は集団や組織の為に、個人を犠牲にするという価値観が強くあると思います。過度に周囲に合わせなければならないという強迫観念や同調圧力はこのいきすぎた価値観が根元にあるのだと思います。

しかし、私はサッカーというスポーツの本質を考え続けてきた結果、わかったことがあります。

本当に良いチームというのは個々人の力が表現されることなしに成り立たないということです。大リーガーのイチロー選手がこう言ったことがあります。

「一般的に「俺は自分のためにプレーしている」と言うと、チームの輪を乱していると受けとられる。ただ、そういう人が集まったとしても目指すところが同じであれば何の問題もない。というより、それが一番強いと思うんです。目指しているところが違うとややこしくなりますが、最終到達地点が同じならそれでいい。」

イチロー×豊田章男社長が語る「理想のリーダーと強いチームの条件」(TABI LABOより引用)

チームワークの本質とは

私はチームワークの本質ってこういうことなのではないかなと思うんです。

日本人はとてもチームワークを大切にする人種だと思うんです。学校でも会社でも、自分を犠牲にして他者を尊重することが美しいという価値観があります。それが常識となっていて、当たり前のこととみなされています。

実際これは素晴らしいことだとも思います。しかし、問題なのはこの価値観が過剰に尊重されすぎていることなのだと思うのです。

我々日本人の美徳である自己犠牲の精神が行き過ぎたが故に、個性の表現が失われ、行き場を失った人たちが苦しんでいるのではないかと感じています。

もっと一人一人の個性が表現できるようになればチームとしてのクオリティも上がると私は考えています。

人と違うことを恐れるな

私たちが意識するべきことは、周りに流されず、自分で考えて自分で行動していくということです。そして同調圧力に負けない子を育てる為には、子供たちにも自分で考え、行動する主体性を身につけさせることです。

常識にとらわれず、自分で考えた結果を尊重するよう意識付けしていくのです。人と違うことを恐れなくていいんだよ。人と違うことは当たり前のことなんだよと教えてあげなければなりません。

私はこれをサッカーを通じて伝えることができると思います。サッカーというスポーツは、自分で考えて、行動することの連続だからです。サッカーというスポーツの本質の一端はそこにあるのです。

これはサッカーに限らず多くのスポーツ、またはビジネスにおいても同じことがいえるのではないかと思います。

サッカーの本質を追求する旅はつづく

 

【筆者プロフィール】

KEI IMAI
桐蔭横浜大学サッカー部時代に風間八宏氏(現川崎フロンターレ監督)にサッカーの本質を学び、同時期にスエルテジュニオルスで育成年代のサッカーの指導に携わる。

その後半年間、中南米をサッカーしながら旅をし帰国現在都内で働きながらブログ「大人になってから学ぶサッカーの本質とは」を運営し、育成年代の現場の取材、指導者や現役選手にインタビューをしサッカーの本質を伝える活動をしている。

・大人になってから学ぶサッカーの本質とは http://keikun028.hatenadiary.jp/

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