最近、仕事で新しいシステムを導入した。新しくなるということは、知らないものに出会うということだ。

当然、ユーザーは戸惑う。戸惑いを軽減するための手段として「説明」や「広報」がある。説明や広報は、本当に有効なのだろうか。一体どれだけ効果があるのだろう。

 

☆★☆★☆

 

新しいシステムを導入する。事前にマニュアルを配布し、説明会を開催し、メールでも広報した。

限られた時間の中でしていることであり、こちらも手探りでやっている側面も大きいため、全てを伝えることはできない。

やはり、問い合わせは多かった。社会人になって、一番電話が鳴ったと思う。

 

ここまでは想定内。全てを説明できているわけではないのだから、問い合わせが多くなることは当然だ。

ただ、想定外だったのは問い合わせの内容である。広報していないことを聞かれたケースもあったが、多くは既に広報していることだった。事前に配布しているマニュアルや広報のメールを読めばわかることを質問された。

 

「またさっきと同じ質問でした」

「広報していた内容?」

「そうです」

「メールを読んでほしいね」

「読んでいないのでしょうね」

 

……と、ここで思い出した。これは決してユーザーの問題ではない。私の問題なのだ。

 

学生時代にWILLFUという起業スクールに通い、次のことを教わった。

 

1:Said≠Heard

言ったからといって、聞いてもらえたわけではない。

2:Heard≠Listen

聞いてもらえたからといって、聴いてもらえたわけではない。

3:Listen≠Understood

聴いてもらえたからといって、理解してもらえたわけではない。

4:Understood≠Agreed

理解してもらえたからといって、賛成してもらえたわけではない。

5:Agreed≠Sympathized & Convinced

賛成してもらえたからといって、共感し、納得して行動したいと思ってもらえたわけではない。

 

※参照:WILLFUでもらった資料

 

今回は1~3が該当する。広報しても読まない人はいる。説明をしても、聴いていない人はいる。聴いても、理解していない人はいる。

そして、これは読まない人、聴かない人、理解しない人の問題ではなく、広報した人、説明した人の問題である。

 

伝え方が良くなかったのかもしれない。表現の工夫が足りなかったのかもしれない。でも、何より足りていなかったのは「回数」である。

 

相手に伝えるためには、繰り返し言い続けることが大切だ。これもWILLFUで教わった。N人に一度にコミュニケーションする場合には、√N回コミュニケートしないと、1人にコミュニケートしたときと同じ効果は生まれない」らしい。

 

私が広報した人は、200人程度。ということは、14~15回、伝える必要があったということ。1回の広報で伝わると思っていたこと自体がそもそも間違いだったのだ。

 

問い合わせをうけ、個別に説明すると、必ず1回で理解してもらえる。なるほど、1人だから、√1回(=1回)で伝わるということか。

 

習って知ってはいたものの、実感が湧かなかった。実際にその場面に直面して、初めて身をもって理解した。

 

私の広報メールを読んだ人も同じだったのかもしれない。メールを読んでも実感が湧かない。実際に使ってみて、その場面に直面して、初めてメールの内容が理解できる。

 

そういえば私も、説明書とじっくり向き合わずに問い合わせをしたことがある。モノが壊れ(たように見え)、説明書を取り出す。何やらたくさんの情報が書かれていて、よくわからない。

理解するまでに時間がかかってしまいそうだ。よし、コールセンターに問い合わせてみよう。

 

電話すると、丁寧に教えてくれる。あっという間に理解でき、問題は解決した。説明書と向き合っていたら、解決するまでおそらく1時間はかかっていただろう。

 

☆★☆★☆

「相手の立場になって考えよう」とよく言われるけれど、こんなに身近で簡単そうなことでも、全然できていないと痛感した。知識が本当の意味で定着するのには、まだまだたくさんの経験が必要みたいだ。

 

ではまた!

次も読んでね!

 

【生成AI関連ウェビナーのお知らせ】
単なる理論ではなく、現場で成果を出す生成AI活用の“実装方法”を知りたい方に最適なウェビナーです。
本セミナーでは、製薬・バイオ企業でのPoC(概念検証)から得られた実データとノウハウを元に、「どこにAIが効くのか」「どこが難しいのか」を明確に解説します。

製薬・バイオ企業の生成AI導入セミナー

お申し込み・詳細はこちら


【開催概要】
・開催日:2026年2月12日(木)
・時間:12:00〜13:00
・形式:オンライン(Zoom/ログイン不要)
・参加費:無料(定員150名)

製薬・バイオ企業の生成AI導入は、「試行」から「実利」を問うフェーズへと移行しています。
本セミナーでは、13チームのPoCで時間を50〜80%削減したノウハウを余すことなく共有します。適用可否の見極め、評価設計、失敗領域への対応方法、全社展開のガバナンス設計まで、実践的な内容です。:contentReference[oaicite:1]{index=1}

【対象者】
・製薬・バイオ・化学業界のDX/業務改革担当者
・AI導入プロジェクト責任者・企画部門・法務・人事などの全社展開担当者
・PoC設計や効果測定の「型」を学びたい方
・自社の生成AI活用を確実な成果につなげたい実務担当者

【セミナーの内容】
・生成AIの“適用可否”を短期間で見切る方法(PoC設計・評価の型)
・現場で成果を出すAI活用ノウハウ(バックキャスティング/プロンプト構造化 等)
・適用が難しい領域(PowerPoint・OCR 等)の整理と次の打ち手への転換
・横展開に向けたガバナンス設計とナレッジ共有

【登壇者】
奥田 真輔 氏
システム開発やITコンサルティングを経て、
外資系製薬企業で15年以上のITビジネスパートナーとして人事からコマーシャル、 メディカルなど製薬企業の様々な分野のプロジェクトに携わる。
現在はネクセラファーマ株式会社で、システムだけではなく、企業風土改革や業務改善をリードし、
日本発グローバルバイオ製薬企業にむけて、同社の成長基盤の構築に尽力している。

岡田 雄太(ワークワンダース株式会社 CTO)
野村総合研究所に新卒入社後、証券総合バックオフィスシステムやオンライントレードシステムなどの開発に従事。
その後、8 Securities(現SoFi Hong Kong)へ出向し、日本人唯一のエンジニアとして国際的なプロジェクトに携わる。
BOOSTRYでは信託銀行向けSaaSの立ち上げと成長を牽引。
WiseVineではCTOとして開発組織を30名規模に拡大し、プロダクト開発を推進。
2025年4月よりワークワンダース株式会社CTOに就任。AI活用を中心とした開発支援をリードする。


【お申込み・詳細】
こちらのウェビナー申込ページをご覧ください。

(2026/01/19更新)

 

【著者プロフィール】

名前: きゅうり(矢野 友理)

2015年に東京大学を卒業後、不動産系ベンチャー企業に勤める。バイセクシュアルで性別問わず人を好きになる。

著書「数学嫌いの東大生が実践していた『読むだけ数学勉強法』」(マイナビ、2015)

Twitter:@Xkyuuri

ブログ:http://kyuuchan.hatenablog.com/「微男微女」