なんという表現が適切なのかわからないが、いうなれば「ダサい会社」がしばしば飲みの席などで、話題となる。
どの会社ダサいか、という話は意見が分かれるので、個別の企業の話は差し控えるが、「ダサい企業」というのは確かにある種の共通点があることは間違いない。
・それは「ブラック企業」とは異なる。単に法令違反をしたり、安月給で人をこき使うことは「ダサい」ではない。それはやはり「ブラック」という表現がしっくり来る。
・「サイトや商品、ロゴなどのデザインがカッコ悪い会社」とも異なる。それは単に「カッコ悪い」あるいは「デザインにお金をかけない」だけの会社である。ダサい企業とはちがう。
・もちろん規模や業種、地域などの属性だけで「ダサい」というのも間違っている。
真のダサさ、というのは、もうすこし複雑なコンセプトである。
ではどんな会社が「ダサい」のか。
例えば、売上や自社のサービスの顧客数、あるいはサイトのページビューなどを水増しし、自分たちをただ大きく見せようとする会社は「ダサい。」といえる。
広告で誇大広告をしたり、注意事項などをやたらと小さく、ウリ文句をやたら大きくし、有利誤認を誘発しようとする行為も「ダサい。」
何かしらのランキングを裏で意図的に操作するのも「ダサい。」
細かすぎる契約書を提示し、あとから「ココに書いてあるでしょう。判を押したのはあなたですよ」と主張するのも「ダサい。」
本当はさほど値引きしていないのに「定価から80%引き」などの大仰な表示をする行為も「ダサい。」
こういう行為を指摘すると「業界では普通」とか「キレイ事では済まない」という会社も「ダサい。」
ダサい会社は、たとえそれがどんなに商売として成功したとしても、「ダサい会社である」というレッテルは剥がせない。それは、深く経営者や幹部たちの価値観を反映しているからである。
「少なくともウソはついていない」
「こんな細かいところを客は気にしない」
「マーケティングと心理学で人は操作できる」
「売れれば正義」
「お客さんから何も言われなければ、この情報は勝手に利用させてもらいます」
そういった彼らの「浅い人間観」や「倫理観の希薄さ」が透けて見える会社が、「ダサい会社」なのだ。
こう考えると、「ダサい」に近い表現は「何となくあざとい感じがする会社」と言っても良いのかもしれない。こう言った会社は根本において、人をバカにしていると言える。
認知心理学者のダニエル・カーネマンはこのような企業を「顧客をうまくたぶらかす企業」と呼んだ。
しかし、これは誰にとっても全く身に覚えのないことではないだろう。油断すればすぐに「ダサい行為」に手を染めてしまう可能性は十分にある。
また組織に流されてしまうのが人間だ。「ミルグラム実験」に見るように、人間の倫理感は権威や同調圧力に弱い。Googleは、似たようなコンセプトで「悪を為さない」という経営理念を掲げているが、これは簡単なようで、高度な自律を必要とする。
力を持つ人間には、それだけ高度な倫理観が求められるのだろう。
今世間を騒がせているタックスヘイブンの問題も違法ではない。金持ちがもっとカネを溜め込みたくなる理由もわかる。「皆やっているから」というのも合理的ではある。
しかし、千年前のローマ人の支配者階級や富裕層は、「共同体への義務」を感じ、私費を投じて橋や公共施設を建設させたという。今にも残る遺跡には、そのようなものが数多く残っている。
それに比べれば租税回避は「ダサい行為」であるのは間違いない。タックスヘイブン利用の代償は「どんな立派なことを言っても、所詮「税金逃れ」してたんだよね。」と言われてしまうことにある。
(2025/6/16更新)
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第4回目のお知らせ。
<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>
第4回テーマ 地方創生×教育
2025年ティネクトでは地方創生に関する話題提供を目的として、トークイベントを定期的に開催しています。
地方創生に関心のある企業や個人を対象に、実際の成功事例を深掘りし、地方創生の可能性や具体的なプロセスを語る番組。リスナーが自身の事業や取り組みに活かせるヒントを提供します。
【ご視聴方法】
ティネクト本音オンラインラジオ会員登録ページよりご登録ください。ご登録後に視聴リンクをお送りいたします。
当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。
【ゲスト】
森山正明(もりやま まさあき)
東京都府中市出身、中央大学文学部国史学科卒業。大学生の娘と息子をもつ二児の父。大学卒業後バックパッカーとして世界各地を巡り、その後、北京・香港・シンガポールにて20年間にわたり教育事業に携わる。シンガポールでは約3,000人規模の教育コミュニティを運営。
帰国後は東京、京都を経て、現在は北海道の小規模自治体に在住。2024年7月より同自治体の教育委員会で地域プロジェクトマネージャーを務め、2025年4月からは主幹兼指導主事として教育行政のマネジメントを担当。小規模自治体ならではの特性を活かし、日本の未来教育を見据えた挑戦を続けている。
教育活動家として日本各地の地域コミュニティとも幅広く連携。写真家、動画クリエイター、ライター、ドローンパイロット、ラジオパーソナリティなど多彩な顔を持つ。X(旧Twitter)のフォロワーは約24,000人、Google Mapsローカルガイドレベル10(投稿写真の総ビュー数は7億回以上)。
【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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