以前、とあるメーカーで営業をしていたときに、先輩からこんなことを言われました。

「敵の半分は身内にいると思って仕事をしろ」

正直、この人は何を言っているんだろうか、ちょっと距離を置いたほうがいいのではないか、そんな風に思ったものです。しかし、ほどなくしてその意味を理解するときが来ました。

 

営業職においては取引先との商談こそが命です。取引先には担当者がいて、話の合う人、合わない人、優しい人、厳しい人、いろんなタイプの方がいます。

当然ながら、話の合わない人や厳しい人との商談は辛く、しんどいものです。とは言え、数字を上げるためにはその担当者とも上手く付き合っていく必要があるわけで、そこは営業の腕の見せ所でもあります。

当然ながら、やりにくい担当者と契約が成立した際には喜びも大きく、帰り道にニヤけてガッツポーズなんてことも本当にあるくらいです。

 

ただ、そこに落とし穴があります。

やりにくい担当者と仲良くなるためには、当然ながら良い製品を納め、お互いに利益を出しながら関係を築くことしかありません。

商談は待った無しです。多少の無理(価格や納期)を言われても、即答できないと競合他社に持っていかれることもあるわけで、少し犠牲を払ってでも、ここで貸しをつくっておこうとか、いろいろ打算するわけです。

しかし、これらの苦労を全く知らず、理解すらしない上司や製造現場の人間がいるのです。

「利益は下げられない。」

「納期は早められない。」

通り一遍の決まりきった返事しかできない人間が。

 

ちょっと待ってくれ。一体これまでの苦労は何だったんだ。俺は嫌われているのだろうか。こんなことなら、やりやすい取引先とだけ商談していれば良かったと心が折れそうになりますし、いじけて地面の蟻と遊んでしまいそうになります。

長い長い商談の末、やっと担当者がこちらを見てくれたというのに、あんたはどこを見てるんだと。自分の保身のみを考えていないかと。

これか、これが敵の半分は身内にいるってやつか!?

 

ただ、少し時間が経って冷静になると、いろいろ見えてきます。そもそも無理を言っているのは取引先の担当者であって、身内に落ち度はない。

あらかじめ上司や製造現場に根回しすることができたのではないか。その場しのぎで答えてしまった自分が悪いのではないか。

 

こう考えることで、今度は上司や製造現場に下手(したて)で交渉できるようになります。まるで上司がやりにくい担当者になったつもりで交渉するのです。

「実は、どうしてもあの取引先と関係を築きたい」

「あらかじめお話を通していなかった私が全て悪いです」

「やっと先方がこちらを向いてくれました。なんとか応えたいのです」

すると、敵だと思っていた身内が、

「そうか、お前も苦労しているんだな」

と、一転して強力な味方になってくれます。

 

これが、「敵の半分は身内にいると思って仕事をしろ」の真意だったのです。

外側にも内側にも交渉上手でなければいけない。私が営業職の醍醐味を理解した瞬間でした。

 

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(2024/3/26更新)

 

【著者プロフィール】

名前: ゆうせい 企画、執筆、編集、モデルを提供する「カンパニオ」代表。

ぱくたそでフリー素材モデルとして不倫素材や、記者風素材を提供している。映画大好きの愛妻家を自負しているが、恋愛映画や恋愛系コラムは苦手。とにかく水曜どうでしょうが大好きでしかたがない。

Twitter:@wm_yousay ブログ:http://huniki.hatenablog.com/「雰囲気で話す」