先日、あるスタートアップの方と話をさせていただいた時

「能力の高い人が安定した仕事に居続けるのは、社会的な損失」

という話をいただいた。

そこで頂いた話をかいつまんで言えば、次のような話だった。

 

まず、前提として安定した仕事はどんどん減っていく。商品・企業の寿命がますます短くなるからだ。殆どの会社はもう安定した仕事を提供できなくなる。

それに変わり、フリーエージェントに依頼する仕事、専門家に一時的に依頼するような仕事が増えていく。言うなれば「プロジェクト型」の仕事が増える。

現在は労働集約的な仕事がほとんどのクラウドソーシングサービスも、ハイエンドの仕事が今後は増えるだろう。したがって、「プロジェクト型」の仕事が増えるにつれ、フリーエージェントは今よりも遥かに仕事を得やすい環境を手にする。

SNSの発達も、有能な人物のフリーエージェント化の後押しをするだろう。

 

良いフリーエージェントたちは、複数社から仕事をもらい、逆説的だが「1社に頼らない」ことで収益の安定化を測ることができるのだ。それは今の1社に専属で勤めるよりも遥かに安定度が高く、かつ稼ぐことができる。

 

実際、このスタートアップにおいては、正社員と呼ばれる人は働いている方の3分の1程度、後は「フリーエージェント」として、他にも職業を持っているそうだ。

これからの「有能な人」のキャリアは、ますます多様化する。

 

 

一方の不安要素として、フリーエージェントで食べていけるほど能力の高くない人のキャリアはどうなるのか?がある。

その人たちはフリーエージェントというよりむしろ有期雇用という形で安く使われてしまう可能性が高い。

彼らのために、国がセーフティーネットを整備する事は必要だ。だが、全員を助けることはできない。本来彼らに必要なのは、給与はそれほど高くなくても良いが「高度すぎず、安定した仕事」なのだ。

 

だから本来、大企業や官公庁の「安定した仕事」は彼らにやってもらったほうが良い。

もともと、大企業の人材は、本質的に取り替え可能である。確固たるブランド、標準化されたオペレーション、潤沢な資金などが既に存在し、人一人がはいったところで大きく業績が変わるわけでもない。要するに殆どは「普通の人」でも、十分勤まる仕事だ。

だが残念ながら現在、大企業には「能力が高いのに、働かない人」が大量に滞留しており、これも人材という貴重なリソースを浪費していることになる。要するに「宝の持ち腐れ」というやつだ。

 

今も昔も、スタートアップ、中小企業にこそ、能力の高い人材が真に必要とされている。

有名大学の卒業生たちが、安定した大企業や官公庁の職業を独占し、不安定な中小、スタートアップの仕事を避けたのでは、あまりにもリソースが偏っている。

 

もしあなたが自分の能力に自身があるのなら、新卒で大企業にはいり5年〜10年程度働いたら、安定した職場を捨て「プロジェクト型」の仕事にチャレンジしよう。

でなければ、あなたは「既得権益者」となり、社会的な損失を生み出す「老害」となる。

 

 

そんな話だった。

 

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【登壇者紹介】

安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00

参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。


お申込み・詳細
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(2025/6/2更新)

 

 

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