一度行った旅館のもてなしに感激し、また行きたくなりました。

担当営業マンがとてもいい人だったので、次もその人から買おうと思っています。

 

こういったお客さんを増やすこと、いわゆるリピーターの獲得は、あらゆるサービス業にとって大きなテーマのひとつです。

学校であってもこれは同じことで、生徒や保護者に対し「教育」という名の“商品”を提供している以上、その満足度を上げることは極めて重要です。特に私立学校にあっては、それが学校の評価や生徒募集にダイレクトにつながるため、どこも必死です。

 

では、どうしたら教育の満足度が上がるのか。

それは「いい先生」を育てることです。

私の体験を通して、その方法を考えてみたいと思います。

 

 

数年前のオープンスクールでの出来事です。午前中のプログラムが終わり、参加者をカフェテリアに案内している時に、案内係の先生から声がかかりました。

「先生の前任校の教え子さんが、娘さんと一緒に来られています。旧姓Tさんといって、ぜひ先生とお話しがしたいと・・・」

名字を聞いて、何人かの卒業生の顔を思い浮かべつつ、会いに行きました。

 

「おぉ~、懐かしい。いいお母さんになってるやん!」

高校教師になって二年目、最初に担任として所属した学年団で、2・3年の二年間、私が担任した彼女が、かわいい娘さんを連れて目の前に立っていました。

娘さんの志望校の一つとして本校が候補に挙がっているらしく、学校案内パンフレットに私の写真が載っているのを見つけ、直接、いろいろな話を聞けると思ってやってきたとのことでした。

 

いやぁ〜、嬉しいですね。こうやって、かつての担任を頼って来てくれるなんて教師冥利に尽きます。

当時で、25年以上も前に卒業させたことになる彼女ですが、会えばすぐさま高校時代にタイムスリップ。「あ~だった、こ~だった・・・」と2人が話すのを横にいた娘さんが笑顔で眺めつつ、「それでどうしたの?」って目を輝かせて話に加わってきます。

娘さんとは、この日が初対面。なのに、他人とは思えないこの妙な感覚はいったいどこから来るのか。

 

「どう先生? 自分の孫みたいやろ・・・」

そんなふうに話す彼女を見ていると、自分が担任として接してきた当時の日々が、決して間違いではなかったと確信できます。

「今も毎日言ってるん? シャキッとせ~って!」

「えぇ〜っ、よく覚えてるなぁ・・・」

当時はロングスカートが流行っている、ヤンキー姐ちゃん全盛期。私は、元気のいい彼女たちに、毎日、振り回されてばかりいました。

「いい先生やったと思ってるで・・・」

「だから、娘もお願いしようって。そう思ったねん!」

まだ大学を卒業して間もない、教師としての経験もほとんどない私が、彼女たちにどんなことを教えられたのか。その答えを、いきなりこんな形で見せてくれるなんて、嬉しくて涙が出ました。

 

「久しぶりに会っても感じるもん。やっぱ先生は教師が天職やな。よ~く似合ってるわ!」

一時期、学校とは全く別の世界に身を置いた私ですが、教壇に戻って4年目。改めて教師の世界、教育の現場に魅力と生き甲斐を感じた瞬間でした。

 

そして翌日の朝、彼女からこんなメールが届きました。

おはようございます! 昨日はお会いできて、本当に良かったです。学校の事について知ることができました。ありがとうございました。正直娘も迷っていますが、先生の話を聞いて気持ちにゆとりが持てたように思います。

先生とのお話は、娘にとって希望の光になりました。諦めかけていた私学への進学が、自分の頑張りしだいで実現できるのだとわかったみたいです。

ねぇ・・・まさかですよね。まさか親子でお世話になるなんて、まして、学校も違うのにね。いや~、ホンマに私の担任が先生で良かったです。安居先生、ばんざ~い(^_^)v

ちょうど、昨日のことをブログに書いたばかりだった私は、その連絡も添えて、すぐ彼女に返信をしました。

昨日はご苦労さまでした。ほんと、まさかの再会っていうか、ビックリでしたね。こちらこそお会いすることができて嬉しかったです。お嬢さん、なかなかステキじゃないですか。しっかりしているし、元気がよくて、かわいいし! ぜひ本校に来てほしいです。

そしたら夜になって、彼女からまたメールが届きました。

先生、ブログ見ましたよ!! 娘が 「会話までバッチシやわ~」ってニコニコして読んでいました。メッチャ久しぶりに会ったのに、先生はあの当時と何も変わっていなくて、出会った瞬間に「3年C組」に戻りました。

個別相談の時に、先生が笑顔で娘を見ているのが、すごく印象的でした。「シャキッとせ~よ!」も忘れられません。私も娘にいつも言ってるしね。

私だけでなく、先生が担任した生徒たちは「先生で良かった」と誰もが思っています。ず~っと教師していてくださいね! ヨボヨボになっても辞めないでください!

そして、私たちみたいに「先生が担任で良かった」っていう生徒を育ててください! 先生ホンマ、教師が天職なんやから。教え子が言うてるし、間違いないからねっ。

こんなふうに言ってくれるお母さんになってくれた、それだけで十分です。そして、こういう教え子を持てたことを誇りに思います。

 

 

その後、彼女の娘さんは本校に入学。立派な成績で卒業し、看護学校へ進学。今はステキな看護師として頑張っています。

一生懸命やっている姿は必ず相手に響き、相手を思う気持ちは必ず相手に通じる・・・。

そんなことを感じさせてくれる生徒たちこそ、「私の先生」です。

 

☆☆☆

 

【安達が東京都主催のイベントに登壇します】

ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。


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<2025年7月14日実施予定>

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借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。

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3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう

【登壇者紹介】

安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00

参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。


お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください

(2025/6/2更新)

 

<プロフィール>

安居長敏(Nagatoshi Yasui)←名前をクリックすると今までの記事一覧が表示されます
私立中高校長。

高校で20年間教員をした後、コミュニティFMの世界へ飛び込む。県内で2局を運営、同時にPCオンサイトサポートを個人起業。11年前、再び教育現場に戻り、「生徒が自ら学ぶ学校へ」改革を推進。4年前から現職。

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